#何気ないツイートから始まる物語 (3話)〈会場選び〉
何気ないツイートをきっかけに、スポーツビジネス界の大物と地方都市に住む一般人であるぼくがイベントを企画・実施することになり、その後の人生に大きな影響を与えることになったことを記した、ちょっとした物語。
以下のリンクは〈はじめに〉
前回まで
何気ないツイートから、岡部さんへTwitterの手ほどきが始まり、そこから「よくわからない関係」を築けたことで、イベントの開催に向けて走り出すことになったが、主催者となるぼくは、過去を振り返ると、いわゆるイケている奴ではなかった。
だからこそ、この契機に形にすれば、きっと自分にとっても大きく有意義なものになるだろうと思えたからこそ、動き始めることにした。今回は、動き始めについて。
会場をどこにするか......
イベントを開催する、といっても、会場が決まらなければ開催のしようがない。新潟県は縦に300km以上あり、高速道路で北から南まで抜けようと思っても平気で3時間以上はかかる土地だ。
交通アクセスを考えれば、可能な限りアクセスの良いところで場所の確保をすべきで、場所を探し始めたものの、なかなか適当な場所が決まらない。
当初、開催は2018年W杯前の5月で組む予定だった。2月の最終週にその話になったものだから、残りの期間は3ヶ月もない。
岡部さんからは「東京でイベントをやるとなれば100名は集客できている」と、それなりに圧力を感じてしまう発言を受けてしまうものだから、どうにかしなければならない。
確かに過去に開催されたイベントをいくつか調べてみると、定員数が100名をボーダーラインにしており、岡部さんが登壇する予定のイベントは大概が100名を越えて参加しているようだった。
「さて、どうしようかなぁ......。」
会場選びはもちろんなのだけど、自分一人でこのイベントを開催できるとはとても思えない。そもそもマンパワー的にも全くたりてないし、誰に助けを借りればいいのか......。
そんな風に、ちょっとだけ投げ出しがちな気持ちを抱いているところへ、ある方から連絡が入った。
福田拓哉さん
「やったね、遠藤さん。いい感じじゃん!」
揚々と軽快に口から言葉が発せられている。この声の主は、九州産業大学の福田拓哉さんだ。
福田さんは、大家友和ベースボールクラブ、京都パープルサンガ、福岡ソフトバンクホークスマーケティングを経て2007年から新潟経営大学にて大学の準教授の肩書きを持ちながら、研究者としてのキャリアをスタートさせ、スポーツマーケティング、プロスポーツビジネスが専門的に研究されています。
福岡ソフトバンクホークス、アルビレックス新潟後援会、ルートインBCリーグなど、地域密着型プロスポーツ組織との産学協働プロジェクトを多数手掛けた上に、"福田ゼミ"として読売新聞東京本社主催・読売巨人軍主催「大学生のベースボールアワード」での全国最多受賞歴(大賞4回、優秀賞8回)を誇り、自らだけでなく、学生たちへの指導でも大きく定評がある上に評価をされている方です。
ちなみに、北海道小樽市生まれで、2017年春に新潟を離れるまでは10年弱ほど新潟に住んでいたのもあり、新潟は第二の故郷だと言ってくれていた。
元々、福田さんのことを認知したのもTwitterで、ぼくがアカウントを持ったのは2010年からなんだけど、スポーツ関係でフォローする人を探していたら、「すごい経歴持ってる人が新潟にいるな」と思い、フォローさせてもらった。
それだけでなく、彼が新潟経営大学に在籍している頃、ぼくはスポーツ系専門学校アップルスポーツカレッジのスポーツビジネス学科を担当していたものの、自分自身も勉強を重ねなければならない立場だったのもあり、彼にスポーツマネジメントやスポーツのビジネスにおける要点を学生へ伝える非常勤講師としてお願いしていた。
それはぼくの前任者である小池光徳さんが仕掛けていたことで、彼は学生に混じって福田さんの講義を受けていたこともあるそう。
ちょっとした裏話をすれば、ぼくの所属していた専門学校は新潟県内では有名なNSGであり、専門学校などの教育関連事業を中心に大きな組織にまで発展させたグループ会社だ。(ちなみに、アルビレックスと名のつくスポーツチームも含まれる。)
スポーツビジネス系の話題であれば、グループ内から適任者を探し、声を掛けるのが、一応の筋(すじ)ではあるものの、明らかに際立った福田さんの経歴に目をつけ、グループ外の大学に所属する福田さんへ非常勤の依頼を出していた。
ぼくは、その跡目を引き継いだだけなのだけど。
「田舎でやろうよ」
それだけなら仕事上の関係だけなので、今回のような電話をくれるような関係になるのかといえば、そんなことはない。
その外部講師対応の合間に、いろいろとプロクラブやチーム運営、学生指導などについて話をさせていただいた。それだけでは飽き足らず、新潟の中でスポーツで何とか頑張ってる人たちを集め、福田さんを中心とした小さな飲み会をぼくが主催した。
一度だけでなく複数回にわたり、開催させていただいたし、中には当時、SAP JAPANのCIOであり、vice presidentだった馬場渉さん(現:パナソニックノースアメリカ株式会社 副社長:三条市出身)との会食をぼくが設定したのもあり、大変よくしていただいている、スポーツの未来について語り合ってくれる友人だ。
ただ、ぼくはスポーツの世界から意識的に離れるように意識していたのもあり、今回の岡部さんとの企画も、全くの無名で何をしているのかさっぱりわからない「無名の自分」ではなく、福田さんにお願いしようと思っていたぐらい。そう、実をいうとぼくは当初、消極的だったのだ。
そんなぼくの考えとは裏腹に、福田さんが弾んだ声で二言目にはこう続けた。
「もう、場所はおさえたから。」
何をいっているのかさっぱり分からなかったので、聞き直した。
「どういうことですか?どこですか?」
「いやね、ロシア(W杯)があるじゃない。東口(G大阪)が入るか入らないかって感じなんだけど、卒業生だってのもあるし、それに絡めて、今回の遠藤さんの動きの根幹的なメッセージにしたいなぁ、と思ってね。「本人の行動次第によって、いくらでもできるようにはなるんだから場所なんか関係ないんだぞ」ってメッセージを発信するために、あえて"田舎"でやろうよ。加茂(新潟経営大学)で。私の後釜である本間さん(新潟経営大学准教授)には話つけてあるし、一度3人で打合せしましょ。」
ありがたい話だったし、聞いてみれば会場費はかからない状態でできそうだ。確かに交通アクセスは決してよくはないものの、なんといっても岡部さんだし、それ以外のゲストだって豪華にするつもりだった。
それだけ価値のあるゲストが東京のような都会ではなく、「新潟」で集まる機会をつくれれば、それなりの事例として扱ってもらえるだろうし、東京から来るにしても、新幹線で新潟駅まで来るのと、燕三条駅まできて乗り換えて加茂まで来るのだったら、大した違いはないかもしれない。
「ありがとうございます!ぜひ、甘えさせてください!」と、二つ返事でお願いすることにした。大丈夫。それなりのメンツを呼べるだけの自信と手応えはある(気がしていた)。重要なのは場所ではない!(当時はそう思っていたが、開催後には大いに反省をすることに......)
(つづく)
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#何気ないツイートから始まる物語
地方に住む「普通の人」であるぼくが、ある業界の大物に何気ないツイートで絡んだところから、イベントを企画・実施するところまでを追ったちょっと…
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