映画感想文 『バーバラと心の巨人(原題: I KILL GIANTS』
##なに書いた
「バーバラと心の巨人」(原題「 I KILL GIANTS」)を鑑賞した感想を書いてます(ネタバレを含んで書いてますが、ネタバレ以降はわかるよう記載しています)
どうも、えんどう @ryosuke_endo です。
ボク、映画が好きなんですよね。いわゆるB級映画も鑑賞を楽しめます。
「楽しめます」っておかしな表現ですが、とにかく映画を鑑賞することが好きで、子どもの頃には映画を鑑賞できるような施設が近くになかったのと、両親が飲食店を営んでいたのもあり、鑑賞しにいく機会がありませんでしたので、その反動かもしれませんね。
ただ、子どもの頃から"金曜ロードショー"や"土曜プレミア"、"日曜洋画劇場"といった地上波で確認できる映画を視聴するのが大好きでしたし、今でも時間さえあれば映画は観たいと機会を伺っている次第です。
そこで、たまには映画紹介なんかもしていこうかな、と参考になれば幸いです。
屈折してる厨二病の少女と巨人の闘い
(Amazonプライムビデオで鑑賞しました)
あらすじ
風変わりな少女バーバラにはある使命があった。それは、やがて襲来する巨人を倒すこと。しかし姉のカレンやモル先生、初めて友達になった転校生のソフィアでさえも、すぐそこに迫る巨人の存在を信じようとせず、「現実から目をそらすな」というばかり。しかし、遂にバーバラの目の前に巨人が現れる。果たして巨人がバーバラにもたらす試練とは―?(Filmarksより)
あらすじをお読みいただいて「どんな映画か」と思うでしょう。ボクはそう思った一人です。
映画冒頭から本作品の主人公であるバーバラは姉や兄といった家族関係から、学校の教員や友人たちとの関係が上手く築けない、築けていない様子が描かれています。
そもそも「巨人ってなんだよ...」って話なのですが、巨人はどういうわけかバーバラとバーバラや家族の暮らす街を狙っているとバーバラは"実感している"のに、この巨人はバーバラにしか見えません。
バーバラにしか見えないため、バーバラ以外の人たちが巨人と対峙することはできません。つまり、バーバラと巨人の一騎討ちの構図となっているわけです。
巨人が街を破壊したり、街に住む人たちを襲うことを危惧しているバーバラは迎撃するための仕掛けを街のあちこちに準備をするのですが、巨人の襲来を"実感しない"上に、存在も"信じる足らない"とする家族や周りの人たちは、そんなバーバラの行動を「奇行」だと捉えます。
冒頭から序盤、イギリスからの転校生で唯一の友人ソフィアの登場などがありながらも、一切の説明もなくバーバラが実感している鑑賞者は巨人の存在を受け入れざるを得ない状況で物語は展開していきます。
バーバラの周りにいる人の立場になって考えてみても、バーバラは年齢的にも行動的にも明らかに「厨二病」であると感じながら物語は"真相"を隠しながらも、核心へと向かっていくこととなります。
(以後ネタバレを含みます)
巨人の正体は「受け止められるかどうか」
学校でのバーバラは「巨人の襲来に備えることに忙しい」と、彼女の「何かを知っている」職員がサポート(カウンセリング)しようとする態度も、いじめをしてくる同級生すら相手にしません。
また、所々、バーバラのお姉さんが何やら弱っている様子が描かれ、どうやらバーバラの「奇行」に困っているだけではなさそうだとわかります。
物語中にはバーバラが巨人と直接対峙する場面が何度かあるのですが、やはりその姿はバーバラ(と映画鑑賞者)にしか実感できず、他の人間には息吹や雰囲気を感じることすら叶いません。
友人となったソフィアも、どうにかバーバラのことを信用したいと考えつつ接するものの、物語の最後に至るまで彼女が巨人を視認することはできませんでした。
物語の中盤から終盤にかけて「巨人の正体」が明らかになります。
どうやら「母親が病気であり、長くはもたない」ことがはじめて鑑賞者側に共有されます。ここでやっとバーバラの抱く苦しみや悩み、それまでの奇行までを含めて理解と納得を与えられます。
それまで一切情報が出されなかった母親の存在が出てきたこと、その母親が病気で、間もなく...と決して喜ばしい情報ではないことを鑑賞者として受け止めることが難しいのですが、その感情は劇中のバーバラが抱えるそれと(大きさは異なれど)被ります。
その情報が明かされたところでバーバラが巨人を倒したいと考えていることに変更はありません。大事にしていた巨人を倒す唯一無二の武器を破壊されたことや、秘密基地をグチャグチャにされたことにより、「巨人を倒せない」と狼狽するなど、まったく変わる様子がないのです。
ただ、ここまでくると、ボクたち鑑賞者は知っています。
ハッピーエンドではないだろうけれど
彼女が倒したい「巨人」とされる存在、それが何なのかを。
彼女が倒さなければならない(乗り越えなければならない)のは「受け止められない現実」であり、「自身の未熟さ」であり、「母親を失う恐怖心」なのです。
それができなかったがために、バーバラは母親に会うことができませんでしたし、会いに行こうと思うことすらできませんでしたが、最後の最後に巨人(タイタン)と対決のうえ、何とか倒すことができました。
倒すことができたことで、乗り越えることができたかどうかはバーバラにしかわかりません。鑑賞者として第三者的には「そうなのかもしれない」と思えるものの、それは主観的ではありません。
ただ、バーバラは一切避けてきた母親と会うことを決断します。
そして、どうしても伝えたかったセリフを述べることができたことによって、何かを乗り越えたのだっろうと判断できますが、そのまま受け入れていいのかどうかは判断が難しいものでした。
本作は主人公のバーバラにとってハッピーエンドなのかもしれませんし、ハッピーエンドといえないのかもしれません。
一つ実感したのは、何かを乗り越える機会に向き合えることができるのは、それを受け入れることができた人間だけなのだってことです。
レビューサイトなどでは評価が高くはない映画ではありましたが、複雑な心情を表現することを「面倒な厨二病」として表現した点も含めて、面白いと感じた映画でございました。
そんなところで、作品に対するボクの評価は以下の通り!
評価: ★★★★☆
ぜひ、鑑賞してみてください!(そして、感想をシェアしてもらえると嬉しいです!)