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2015年8月の記事一覧
8.ぼくら、二十一世紀の子供たち (4)
思い返してみれば、自分自身と過去の出来事とは、実際に何の繋がりがあったのか、はっきりしないのでした。でも自分の思い込んでいる自分の過去を――いわば妄想を、否定してみると、確かに自分は空っぽなのだと分かるのでした。それでも左腕は誰のものでもなくなり、幻影だけが残り、そこには、代償としての赤黒い甲蟲が居座っているのでした。
「赤毛のお姉ちゃんが、脚をくれたんだ」
不意に、死角から少年の声がしました。
思い返してみれば、自分自身と過去の出来事とは、実際に何の繋がりがあったのか、はっきりしないのでした。でも自分の思い込んでいる自分の過去を――いわば妄想を、否定してみると、確かに自分は空っぽなのだと分かるのでした。それでも左腕は誰のものでもなくなり、幻影だけが残り、そこには、代償としての赤黒い甲蟲が居座っているのでした。
「赤毛のお姉ちゃんが、脚をくれたんだ」
不意に、死角から少年の声がしました。