1. はじめに
この講義を聴いている人の中には 18, 19 歳くらいの人から,社会人を経てもう一度学校に入り直した人まで,背景は人それぞれだと思われるけれども,おそらく誰しも「腫瘍」ということばを一度は耳にしたことがあるだろう.
皆さんはこの「腫瘍」という言葉から何を思い浮かべるだろう.私の友人に同じような質問をしてみたところ,「だんだん大きくなる,良性と悪性がある,ぶよぶよしている」という答えが返ってきた.なんだかよくわからないけれども大きくなって悪そうなもの,といった印象が多いだろう.
だいたい合っているし,そのようなイメージは重要.もちろんそのイメージから卒業しないといけない.
多くの大学や専門学校で行われている病理学総論の講義は「病因論」から始まることが多い.しかし,具体的なことが少なく抽象的すぎて実感がわきにくい.どの教科でも総論は具体性が乏しいのは仕方ない(もともとそのようなもの).
そこで,初回の講義はこの「腫瘍」にスポットライトを当てて,総論の中でもある程度具体的なイメージをつかみながら,病理学の講義をスタートすることにしよう.
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