光は常に正しく在り その⑮:ユートピアから愛を込めて
みんなはとても強いから、つらいことや哀しいことがあっても、自分で乗り越えていける。ぼくに何か手伝う余地なんてないくらい、あなたたちはどこまでも行ける(それらは余地があったとしても、きっと自分でがんばらなくちゃいけないこと)。
いつだって一緒にいる必要はないし、いつもそばにいる必要はないし、同じことを思っていなくたっていいし、同じものを見ていられなくたって良い。
だからせめて、あなたが必要な時だけで良いから、力になりたい。これは祈り。
遠くまで歩くための靴のように、雨から身を守る傘のように、現在地を示すコンパスのように、寒さを和らげる毛布のように、その勇気を象徴するお守りのように。そんな風に力になれたら。そうやって生きていられたら。だから、古くなったら捨ててもらって構わないんだ。
ましてや、ぼくの存在がその可能性を奪うのなら、ぼくがいることで、あなたが笑顔になれる瞬間を邪魔してしまうくらいなら、喜んでこの全てを消し去ってしまうことを選ぶ。
一緒にいられないのなら、そばにいられないのなら、同じことを思っていられないのなら、同じものを見ていられないのなら、せめて同じ世界にいたいと思うけれど。それがみんなのためになるのなら、ぼくの本当の想いよりも、ずっとずっと、そっちを優先していたい。これは祈り。
半分こされた月がうっすらと朝のきらめきの中に面影を残している。見えないだけで、昼間の星は夜と同じように微笑んでいるのなら、あなたの想いが見えなくても、キラキラまぶしく輝いてると心で信じる。
心とは、いま目の前にある現実に囚われない信じ抜く心。
世の中はクソで、大人たちは最低だから、ぼくもいつも死ぬことばかり考えている。だから、「想い」を剣にして、この「世界」っていう魔王をぶっ倒しに行くよ。
雨は虹をかけるために降っているわけではないのと同じように、この気持ちはサービスじゃないんだ。
そう、これは祈り。
その微笑みがずっと横に延びていくような、眩しい日が続くことを願っている。
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