光は常に正しく在り その⑧:ハートのかたちpart3
ぷかぷかうかんでいる。
ただ、ただ、ただよっている。
ぷかぷかと、夜明け前の白い月のように。
遠くから見たら、月の表面がとてもまぁるくて、きれいに見えるのと同じように、なんとか外側だけでも美しくしようとした、いびつで、グチャグチャで、鉛みたいに灰色なトゲトゲ。限りなく黒に近いグレーなトゲトゲ。
それがぼくのハートのかたち。
こんなにトゲトゲだから、誰かといると、傷つけてしまうのではないかと思ってしまう。そして、それは、決して思いやりではなく、誰かを傷つける自分でいることが嫌なだけっていうひとりよがりなんだ。それはただの思い上がり。
あたたかいものは、いつか冷めてしまう。ならずっと冷たくて良い。もらったら、いつかなくしてしまうかもしれない。なくすくらいなら、なにもほしくない。何か喋ると、くだらないバカの戯言が口からズラズラ出てくるのに耳が耐えきれないから、黙っていたくなる。ずっと絶望していれば、それより下はないから、心が軽くなる。だから、しあわせでいることはとても怖い。期待すると、それが叶わなかったときの悲しみが膨れ上がるから、裏切られることをいつも勘定にいれている。誰かといると、一緒にいないときのさみしさに耐えられなくなるから、ひとりでいようとしてしまう。初めから誰にも会わないでいられたら、とっても楽になれるのに。
みんな少なからずこんな気持ちでいることはあるだろうけれど、ぼくは32歳になっても大真面目にこんな考え方で生きている。とてもちっぽけで、ダサいね。
なのに、どうして、みんなぼくにやさしくしてくれるんだろう。ぼくと一緒にいてくれるんだろう。言葉では伝えきれないくらい感謝の気持ちでいっぱいなのに、ぼくは何も返せない。この手ではいつだって我が身を守るだけだ。
もう、なにもわからない。なにもわからないんだ。
なにもわからないけれど、それはきっとうれしくてかなしいこと。
やさしくしてくれなくてもいいから、ぼくのそばにずっといてほしい。ぼくのためにおこってほしい。愛想を尽かさずぼくを見ていてほしい。ぼくがいなくなっても、帰ってくるのを待っていてほしい。「バカだね」って笑いかけていてほしい。
これが月の裏側みたいに、ぼくが隠してきた本心なんだ。本心だから、別に病んでいるわけでも、急に悲しくなったわけでもなく、20年くらいずっとこんなことを考えている。いつか言葉にして伝えなくちゃと思っていた。伝えられた方は困るのなんて分かりきっているのにね。
いままで、いろんなことを大袈裟に書いたり、歌ったりしたけれど、たったこれだけのこと。ただ、これだけのことなんだよね。赤ちゃんかな?ウケるよね。
こんなくそみたいな文章を読んでくれたみんな、本当にありがとう。ぼくは結局、この先どうしたいのかよくわかんないままなんだけどさ。それでも、何も捨てず、この中身のままで、借りたものを返しに、きっと行くから。それだけは約束する。
また会えるのを楽しみにしてる。
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