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製品マニュアル評価サービス「ManualDock2」をリリースしました。
こんにちは、ドキュメントハウス代表の本間です。
本日、弊社は製造業企業向けの製品マニュアル評価サービス「ManualDock2」をリリースしました。
http://www.dhouse.co.jp/mdock/
先月末の、企業リスク評価サービス「i-CRAS2」に続く新サービスリリースです。
取り扱い方法、注意事項など製品に関わるあらゆる情報が記載されるマニュアルを制作するには、専門的な事項を分かりやすく伝える「テクニカルライティング」が必要とされます。私たちドキュメントハウスは、30年前にそのテクニカルライティングから出発した会社で、今回のManualDock2のリリースにはかなり想いが入っています。
i-CRAS2はリリース以来数多くのお問い合わせをいただき嬉しい限りです。こちらのManualDock2も多くの企業様にご興味をお持ちいただけると嬉しいと思っています。
このブログでは、ManualDock2のご紹介に加えて、製造企業が抱えるマニュアルの課題、マニュアル評価の重要性、そして私たちの想いなどをお話したいと思います。
国際規格「IEC82079-1」への適合度合をリアルタイムで測定。25段階の格付け評価、対応指針と変更案を提示
ManualDock2は、マニュアルの国際規格である「IEC82079-1」への適合度合を測定するもので、「IEC82079-1」の中でも特に重要な100項目を厳選して評価項目に設定しています(※企業独自の評価項目を10問まで追加可能)。なお、「IEC82079-1」は全ての製造業種に適用され、日本だけでなく海外市場でも適用される、パスポート的な存在の規格です。
評価方法は、自社社員最大3名を評価者にアサインして行う「自己評価」です。開発関連部門だけでなく、営業、広報など社外とのコミュニケーションを担う部門の担当者をアサインすることで、よりユーザー側の目線に立った評価を行うことが可能です。すべての評価者が入力完了するとリアルタイムで「品質アセスメントレポート」を生成し、25段階の格付け評価が提示されます。
ManualDock”2”とある通り、”1”もあります。1にあたる「ManualDock」のリリースは2014年で、これまで多くの製造企業にご利用いただいています。今回は以下の大幅なアップデートを加えています。
① 自己評価型への転換とサブスクリプション型の料金体系の導入により、大幅コストダウンを実現
以前のManualDockでは評価者は弊社のテクニカルライターでしたが、今回自己評価型に転換し、プロセスを極力自動化しました。さらにサブスクリプション型の料金に変更し、料金を大幅に安くできました。ManualDockの料金は評価1回で50万円~でしたが、ManualDock2では単一企業のシングルプランは年9.4万円~(税込)、コンサルティング会社や代理店などを想定した複数企業向けのマルチプランは16.6万円~(税込)まで下げています。プランには年間登録料と評価1回が含まれます(追加評価は1回7万円)。登録期間中は評価データが保持され、データの閲覧や経年変化のモニタリングが可能で、「マニュアルアセスメントレポート」をリアルタイムで出力できます。複数回評価を実施後には「品質比較レポート」の出力も可能になります。品質比較レポートでは、マニュアル改善のビフォアーアフター比較、他社製品との比較などの2者間(2評価間)の比較が可能です。
② スマートフォン対応
外出機会の多い評価者の方、リモートワークの評価者の方もいらっしゃいます。様々なIT環境下で対応できるようスマートフォンに対応しました。評価者は職場や自宅PCからはもちろん、外出先でもスマホから簡単に評価を行うことができます。
③ 対応指針の提示と変更案
以前のManualDockでは評価者が弊社のテクニカルライターで、改善点は後日対面でのコンサルティングを行っていましたが、ManualDock2では、不適合項目の対応方針についてテクニカルライター監修のアドバイスが自動で表示され、すぐに改善に向けて着手することが可能になりました。また、その対応指針に基づく改善後のイメージサンプルも提供し 、修正のイメージが分かりやすくなりました。
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※サービスや料金などの詳細はプレスリリースをご覧ください:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000112350.html
マニュアル制作は製品開発の下流プロセス。短期間で制作し、十分な品質改善・検証プロセスが行われていないことも
弊社がManualDockを開発した背景は、製造業企業から自社で制作したマニュアルの品質評価や改善の依頼が多かったためです。多くの企業が、「マニュアルから欲しい情報を見つけられないという問い合わせが多い」「マニュアルの分かりにくさにクレームが入った」などの問題を抱えていました。
大きな原因は、品質改善・検証プロセスが不十分なことです。大企業では専門部隊がマニュアルを制作し、その後品質に問題がないかを客観的に評価する会議にかけられ、品質が担保されます。しかし、主に中堅中小企業では、マニュアルが技術者によって作成されたり、その後の品質改善・検証のための会議に掛けられることなくリリースアウトされてしまうケースが多々あります。
なぜこのようなことが起こるかというと、マニュアル制作が製品開発の下流プロセスだから。企業の戦略上、製品をいつ発売するのかは非常に重要であり、綿密に計画されています。しかし、上流プロセスが後ろにずれ込む程、下流プロセスであるマニュアル制作に掛けられる時間は短くなります。中には発売日を後ろ倒す企業もありますが、多くの企業は発売日をずらさず、短い制作期間で制作し、十分な検証を行わないままマニュアルを発表するのです。
従って、品質改善・検証プロセスに要する時間を少しでも短縮することには大きな意味があります。ManualDock2により評価プロセスが自動化され、大幅に時間を短縮されれば、その後の改善プロセスに多くの時間を確保することが可能になります。
現代のマニュアルの問題点―ユーザー視点でつくられていないマニュアルがまだまだ多い
技術者が制作し、検証プロセスが不十分なマニュアルの問題点は、ユーザー目線からは難解な、作り手目線のマニュアルに陥りがちだということです。
イメージしやすい例を挙げると、インデックスが目的・悩み別ではなく機能名になっていたり、イラストが実際にユーザーが操作する角度で描かれていなかったり、ユーザーが知る必要のないパーツ名が記載されていて情報過多で情報の取捨選択が必要、などが挙げられます。産業機械や医療機器などユーザーの専門性が高い場合はそれでも問題ないかもしれません。しかし、一般消費者向けの製品の場合はクレームに繋がります。
マニュアルとは、本来「企業とユーザーを繋ぐコミュニケーションツール」です。もし、ユーザーがマニュアルを分かりにくいと判断してしまうと、企業や製品に対する信頼感は簡単に崩れてしまいます。そうした事態を回避するためにも本来は検証プロセスをしっかり踏むべきなのです。
マニュアルはリスクから自社を守る役割も持つ
最近ではiPhoneのように直感的に使用できるプロダクトも増え、「マニュアルレスの時代」と言われるようにもなりました。しかし、マニュアルがなくなることはありません。マニュアルレスのプロダクトの開発にはかなりの資本と時間の投資が必要で、ごく一部の大手以外は厳しいです。
そして、何よりも大きいのが、もし重大事故に自社製品が関わってしまった時に、製造物責任法(PL法)から会社を守ってくれるのがマニュアルです。
ある工場が産業機械のエンジンからの出火によって全焼した事故がありました。出火元の産業機械を製造したメーカーが賠償責任を問われるものかと思われましたが、マニュアル内に「屋内での使用を禁止する」記載があったために、責任を免れました。たとえ、誰の目にも明らかに屋内で使用すべき機械ではなかったとしても、この記載がなければメーカーは工場への賠償責任を負う必要があったかもしれません。
また、海外展開をしている企業にとってはリスクの高い市場の一つに北米市場があります。日本よりも前からPL法が存在し、訴訟文化の北米では、訴訟されるリスクも訴訟時の請求額も日本とは桁違いです。訴訟を回避するためにも、マニュアルに様々な注意事項を含めてリスク回避をすることは大切です。
なお、ManualDock2の評価項目では、こうしたPL法に関する評価項目もカバーしています。
私たちの想いー「企業とユーザーを繋ぐコミュニケーションツール」であるマニュアルがもっとユーザーに寄り添ったものであってほしい
私たちは、ManualDock2を通じて、マニュアルがもっとユーザーに寄り添ったものになるよう、品質を底上げしたいと考えています。先程もお話ししましたが、マニュアルは「企業とユーザーを繋ぐコミュニケーションツール」です。
マニュアルを制作に携わる方々は、製品の開発に関わった技術者の方であったり、皆製品に愛情を持つ方々です。その彼らの作るマニュアルが、ユーザー視点を取り入れることで、消費者に伝わるものであって欲しい。困った時にすぐに手に取りたくなるものであって欲しいと考えています。そのために、ManualDock2を通じてユーザー視点を伝え、よりよいマニュアルに改善を行うための橋渡しを担いたいと思っています。
令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成