アミオダロン(アンカロン®)の副作用のまとめ

アミオダロンは,不整脈に対して使用する薬剤で,さまざまなチャネルに作用する抗不整脈薬(Ⅲ群)です.

その多面的作用ゆえに,心室性不整脈,心房性(上室性)不整脈,双方に使用され,また,(多くの抗不整脈薬が禁忌となる)器質性心疾患を有する症例でも使用可能なことから,使用頻度は少なくない薬剤です.

但し,副作用が厄介なため,使い慣れていない場合,敬遠されるかもしれません.

今回は,そんなアミオダロンの副作用のまとめです.


アミオダロンの副作用

アミオダロンの主な副作用は以下の通り

・甲状腺機能異常(最多)
・肝障害
・皮膚障害
・肺障害
・眼障害


内服開始時は,甲状腺機能,肝機能,スパイロメトリー,眼科診察などを,使用前のコントロールとして試行しておきましょう.

また,経過を見るうえでも,甲状腺ホルモン値,肝機能,胸部レントゲン,KL-6/SP-D,アミオダロン血中濃度などは,適時followしていきましょう.

以下では,頻度の多い甲状腺機能異常と,重篤化するアミオダロンによる肺障害について深堀します.


■アミオダロンによる甲状腺障害

アミオダロンの薬剤組成には,ヨードが多量に含まれており,また,半減期が100日と非常に長いことから,その蓄積のリスクがあります.

このことに起因するヨード過剰摂取や,甲状腺組織の直接的障害が,アミオダロンによる甲状腺障害の機序と考えられています.


甲状腺機能スクリーニングでは,薬剤開始前に甲状腺機能として,TSH, FT4,FT3,場合によって抗TPO抗体もチェックしておきます.

使用継続中の症例では,これらのマーカーは,最低でも3−6ヶ月毎にfollow
しましょう.

以下は,アミオダロン誘発性甲状腺中毒症の2病型と,甲状腺機能低下症の比較です.

アミオダロンによる甲状腺障害 ぷーオリジナル

重要なことは,アミオダロン投与下の甲状腺機能低下症は,アミオダロンを中止しなくてもいいこと,です.基本的には甲状腺ホルモン薬(チラージン®)を使用するかどうかを検討すれokです.


■アミオダロンによる肺障害

アミオダロンによる肺障害の頻度は,0-10%の範囲で報告されています.

そこまで頻度は多くないのですが,いったん発症したときの死亡率は1-33%の範囲で報告があり,重症化する可能性を十分に考慮すべきであり,認めた場合は,原則薬剤(アミオダロン)は中止です.

肺障害のリスクとされているのは,60歳以上,投与期間半年以上,男性,COPD,腎不全などです.

疫学的には,投与開始6年間は徐々に発症数が増加し,その後プラトーに達します.

ゆえに,薬剤開始から数年間は,発症リスクあることを十分に念頭においてください.(数カ月間投与して大丈夫だったからと言って油断しない)

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