ビタミンのまとめ➁脂溶性ビタミン
前回の記事に引き続き,今回もビタミンのまとめ.
今回は,脂溶性ビタミンのまとめ.
■各脂溶性ビタミンの特徴
1.ビタミンD
摂取の目安量5.5μg/day.
カルシウムの腸管吸収を亢進させ,骨芽細胞を活性化するので,骨のビタミンといった感じです.
日照量の少ない環境では,プロビタミンD(ビタミンDの前駆物質)がビタミンDへ変換されないので,欠乏します.
くる病は,ビタミンD不足による骨の石灰化障害ですが,母乳に含まれるビタミンDは少ないため,完全母乳栄養の乳幼児などで起こりやすいです.
また,腎障害や肝障害では,ビタミンDが活性型にならないため,欠乏症状を来たすことがあります.
ビタミンD欠乏症
カルシウム低下,リン低下,くる病(新生児~乳幼児),骨軟化症(妊婦に多い)
アルファロール®・ワンアルファ®
① 骨粗鬆症,②CKD(高リン血症に注意),③副甲状腺機能低下症
用法用量:①②0.5-1μg/day/1x,③1-4μg/day/1x
2.ビタミンE
摂取の目安量7.0mg/day.
微量元素のセレンとともに抗酸化物質として働きます.
植物油に豊富に含まれるので,普通の食事をしていると欠乏することは少ないです.
喫煙者は不足しやすい傾向にあります.
ビタミンE欠乏症
溶血性貧血、深部感覚異常・小脳失調、不妊症、筋萎縮症 等
ビタミンE過剰症
骨粗鬆症
ユベラ®
①Vit.E欠乏症、②[外用]凍瘡、指掌角皮症、尋常性魚鱗癬
3.ビタミンK
摂取の目安量65-75μg/day.
ビタミンKの作用は,①プロトロンビン合成,②骨芽細胞補助(オステオカルシン合成)の2つです.
欠乏の原因としては
・肝硬変患者(脂溶性ビタミン,特にビタミンKの吸収が低下する)
・腸管障害
・新生児
・妊婦
・抗生剤使用(腸内細菌叢変化)
などです.
自然界に存在するビタミンKには,ビタミンK1とビタミンK2が存在します.
■ビタミンK1
植物由来
体内でビタミンK2に変換される
半減期は比較的長い(90時間くらい血中に留まる) ⇒予防投薬に適している
ケーワン錠®
適応➀ビタミンK欠乏症の予防及び治療
各種薬剤・新生児・肝障害による低PT血症,胆道及び胃腸障害に伴うビタミンKの吸収障害
適応➁ビタミンK欠乏が推定される出血
用法用量:5-15mg/day/1-3x
■ビタミンK2
菌由来であり,腸内細菌も作っている
半減期短い(12時間程度で血中から消失するとされる) ⇒拮抗薬に適している
グラケー®(ケイツー®)
適応➀ビタミンK欠乏による分娩時及び新生児の低PT血症
適応➁抗生剤による低PT血症(×肝障害)
用法用量:10-20mg/day/1x(中毒時:1回20mg,1日2回まで)
4.ビタミンA
網膜の光受容色素であるロドプシンの生成に必要です.
欠乏の原因としては
・不十分な摂取
・脂肪吸収不良
・肝硬変
などです
ビタミンA欠乏症
初期症状:暗順応障害→夜盲症
その他,発疹や,眼球乾燥症,角膜軟化症