レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)のまとめ

今回は,意外に専門分野を問わずに遭遇することのある疾患,レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)のまとめです.

レストレスレッグス症候群とは

レストレスレッグス症候群は,下肢または上肢に起こる,反復性の筋収縮ないし蹴るような運動であり,しばしば夜間不眠,日中過眠の原因となります.

中高年に多く発症し,男性より女性に多い,とされます.

原因はわかっていません.(中枢神経系におけるドパミン神経伝達の異常が関与しているのでは,とされます.)

レストレスレッグス症候群の症状

症状の特徴は,”動かそうとする衝動”が強いことで,安静時や夕方~夜に増悪します.一方で,運動時には改善するのが特徴です.その他,精神的なストレスなどでも症状は悪化します.

症状の程度はさまざまで,発作がたまにしか起こらず問題もほとんど生じない場合もあれば,週に何回も起こる場合もあります.

症状が重度の場合,眠くても眠りにつくことができず,睡眠障害(不眠)うつ病の原因にもなります.

不眠の原因が,実はレストレスレッグス症候群だった,なんてことは稀なことではありません

レストレスレッグス症候群のリスクファクター

レストレスレッグス症候群の原因はわからないものの,リスクファクターとされる因子はいくつかあります.

➀鉄欠乏性貧血
中枢における鉄欠乏の関与が示唆されています.
血中フェリチン濃度が50ng/mL以下は注意が必要です.

➁人工透析患者
軽度の症状も含めると,透析患者の3人に1人は,レストレスレッグス症候群を認めるとも言われています.

➂妊娠
透析ほどではないですが,5人に1人くらいが発症するとされます.

➃喫煙

➄肥満

➅抗うつ薬や抗精神病薬の服用

レストレスレッグス症候群の治療

原因がわからないので,根治療法はなく,対症療法になります.

➀生活習慣の是正
カフェイン・タバコ・アルコールは,レストレスレッグス症候群を悪化させるので禁止します.

➁鉄剤投与
リスクの項でも言及しましたが,フェリチン<50ng/mLの場合,鉄剤投与を検討しましょう.

➂抗うつ薬や抗精神病薬を服用中なら休薬
症状増悪因子です.

➃パーキンソン病の治療薬
プラミペキソール,ロピニロール,ロチゴチン(パッチ剤)などが有用とされます.
保険外適応となります.

➄脚のマッサージ

➅抗てんかん薬・抗けいれん薬
クロナゼパム,バルプロ酸,ガバペンチンなどが効果的とされます.



レストレスレッグス症候群治療時の注意点

症状が,不眠やうつ症状で現れることがしばしばであり,勘違いして通常の睡眠薬や抗うつ薬を使用すると,かえって症状が増悪する可能性があります.


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