【内科医は知っておこう】女性の急性腹症を見逃さないようにするチャート
女性の急性腹症は,女性ならではの疾患を意識しなければなりません.
しかも,婦人科救急疾患は,致命的となることも少なくなく,(急性腹症の対応が求められる)内科医であるならザックリとした理解は必要でしょう.
今回は,9年目内科医の私が,女性の急性腹症のザックリとした鑑別チャートを紹介します.
女性の急性腹症ザックリ鑑別チャート
▼卵巣腫瘍茎捻転, 卵巣出血
典型的にはacute onsetで,片側性.
卵巣腫瘍茎捻転は,S上結腸のない右側が好発側.奇形腫が原因として最多.
▼月経困難症(月経随伴症状)
月経期間中に下腹部痛,嘔気,頭痛.
基本的には対症療法
月経随伴症状は,初経から2,3年で始まることが多く,25歳未満が43.1%.
※続発性(器質性)月経困難症の原因
子宮内膜症,PID,子宮筋腫,子宮腺筋症,IUD挿入,術後の癒着,骨盤内うっ血,子宮形態/位置異常
▼PID pelvic inflammatory disease
卵管炎,付属器炎から上行性に感染
性行為感染症の既往をチェック(パートナー含む)
症状としては,発熱(50%),下腹部痛(生理や性交時,腹膜刺激症状),不正性器出血(30%)
右上腹部痛が併存していた場合,Fitz-Hugh Curtis症候群を疑う.
治療は,マクロライド系抗菌薬(クラミジア感染の頻度が多くなってきているため)