学校や園で求められる「治癒証明書」って本当に必要?小児科医が解説!
はじめに
お子さんが感染症にかかり、学校や幼稚園、保育園を休んだあと、「治癒証明書を出してください」と言われた経験はありませんか?
「治癒証明書って本当に必要なの?」
「どんな感染症なら提出しなきゃいけないの?」
「もらうのに費用はかかるの?」
そんな疑問をお持ちの保護者の方も多いと思います。実は、全ての感染症で治癒証明書が必要なわけではなく、しかも発行には費用がかかることが多いのです!今回は、学校や園を休まなければならない感染症と、治癒証明書の必要性について、小児科医の視点からわかりやすくお話しします。
1. 学校や園を休まなければならない感染症って?
感染症によっては、学校保健安全法に基づき、一定期間は登校や登園が禁止されるものがあります。これらの感染症は、他の子どもたちへの感染拡大を防ぐために、しっかり休むことが必要です。
★ 出席停止となる感染症(学校保健安全法で定められているもの)
〈第一種感染症〉
→ 発症したらすぐに医療機関で適切な対応が必要。
✅ エボラ出血熱、ペスト、SARS(重症急性呼吸器症候群)など
〈第二種感染症〉
→ 一般的な子どもの感染症がここに含まれます!
✅ インフルエンザ(発症後5日&解熱後2日経過するまで)
✅ 水ぼうそう(すべての発疹がかさぶたになるまで)
✅ おたふくかぜ(耳の下の腫れが消えるまで)
✅ 咽頭結膜熱(プール熱)(症状が消えて2日経過するまで)
✅ 風しん・麻しん(はしか)・百日咳・結核など(医師が感染の恐れがないと判断するまで)
〈第三種感染症〉
→ 条件によっては出席停止になるもの。
✅ 溶連菌感染症・RSウイルス・手足口病・マイコプラズマ肺炎 など
➡ 医師が「登校・登園OK」と判断すれば行ってもよい。
2. 治癒証明書は本当に必要?
学校保健安全法では、「感染の恐れがなくなるまで休ませる」ことは定められていますが、治癒証明書を求める規定はありません!
★ 実際にはこんな運用になっている!
✅ インフルエンザ・水ぼうそう・おたふくかぜなどの「第二種感染症」
➡ 多くの学校や園では、医師の治癒証明書の提出を求めることが多い。
✅ 溶連菌感染症・RSウイルス・手足口病などの「第三種感染症」
➡ 医師の証明書なしでも、症状が落ち着けば登校・登園OKなことが多い。
3. 治癒証明書をもらうにはお金がかかる!?
ここで気になるのが、治癒証明書を発行する際の費用です。
「うちの自治体は小児医療費が無料だから大丈夫」と思っている方も多いかもしれませんが、実は治癒証明書の発行には別途費用がかかることがほとんどです。
★ なぜ費用がかかるの?
✅ 治癒証明書は「診断書」の一種だから!
➡ 診断書は保険適用外の「自費診療」となるため、自治体の医療費助成制度があっても無料にはなりません。
✅ 料金はクリニックによって異なる
➡ 一般的には500〜2,000円程度ですが、医療機関によって異なります。
★ 保護者が「治癒届」を提出すればOKな場合も!
最近では、「医師の治癒証明書ではなく、保護者が記入する治癒届でOK」とする自治体や学校・園も増えています。
➡ 「保護者の記入だけで大丈夫ですか?」と学校や園に確認してみるのもおすすめ!
4. 小児科医としてのアドバイス!
✅ 「元気でも、すぐに登園しないほうがいい感染症もある!」
→ 例えば、おたふくかぜは腫れが引いても感染力が残るので、焦って登園すると他のお子さんにうつしてしまうことも。
✅ 「登園OKの目安は、本人の体調をよく見ること!」
→ 熱が下がっても元気がない・食欲がない場合は、もう少しお休みを。
✅ 「治癒証明書を求められたら、まず園や学校に確認!」
→ 「保護者の記入だけで大丈夫ですか?」と聞いてみると、証明書が不要なケースも多いです。
✅ 「どうしても必要なら、クリニックにお願いする!」
→ 費用がかかることを理解したうえで、診察の際に発行してもらいましょう。
5. まとめ
✔ 学校保健安全法で決められた感染症は、一定期間出席停止が必要!
✔ 治癒証明書は、法律上必須ではないが、学校や園のルールで求められることがある!
✔ 治癒証明書は、小児医療費が無料の自治体でも、別途費用(500〜2,000円程度)がかかる!
✔ 「保護者記入の治癒届」でOKな場合もあるので、事前に確認しよう!
✔ お子さんの体調が万全になってから、無理せず登園・登校させよう!
お子さんの健康を守りながら、周りのお友達にも配慮することが大切です。わからないことがあれば、かかりつけの小児科医に相談してみてくださいね!