8/9開催【ドコモベンチャーズピッチ】IoTが叶える身近で便利な暮らし~超具体的ソリューションを幅広くご紹介~
皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年8月9日(火)に行ったイベント、
【ドコモベンチャーズピッチ】IoTが叶える身近で便利な暮らし~超具体的ソリューションを幅広くご紹介~
についてレポートしていきたいと思います!
本イベントでは、IoTに関連する事業を展開し、新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ5社をお招きしピッチをしていただきました。
・IoTソリューションに興味のある方
・IoT関連への投資や事業連携をご検討されている方
・スマートシティやスマートホームにご興味がある方
・新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方
・最新のサービストレンド、テクノロジートレンドに興味のある方
にぜひお読みいただきたい内容となっております!
以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!
■1社目:株式会社バカン
1社目は、バカン 河野様にご登壇いただきました!
<株式会社バカン 代表取締役 河野 剛進 様>
・バカン社の事業内容
バカン社は、「待つをなくす」ことをテーマに活動する会社で、社名も、英単語「”vacant” - 空いている」に由来します。バカン社のミッションは、「いま空いているか1秒でわかる、優しい世界を作る」です。河野様ご自身の経験として、ご家族で商業施設に訪れた際のことを話してくださいました。お昼ご飯を食べようとお店を探すも、どこも混んでおり、なかなか食事にありつけず、さらには河野様のお子様が泣き出してしまったそうです。こういったご経験を何度かされ、しまいには外出が億劫になってしまったという河野様。
このように、人は混雑していると気持ちに余裕がなくなってしまいます。バカン社では、空き情報を可視化し、人は多いが混雑のない社会を創ることで人々が優しくなれる、そんな世界の実現に取り組んでいます。
・「待つをなくす」プラットフォーム
バカン社では、IoTと人工知能によるプラットフォーム「vCore」を使うことで、「センサーや画像認識を使用し、スマートフォンで広域マップを表示して、混雑状況を確認できます。観光施設やホテル・旅館、飲食店や土産物店、トイレなど、様々な場所での対応を目指しています。
vCoreは、以下の3ステップで成り立っています。
vCoreは、これらの3ステップを一気通貫でサポートします。混雑を可視化することで、お客様が効率的に施設内を回遊することができ、顧客満足度や売り上げの向上を実現できます。また、コロナ禍において人混みを避けたいという方に対しても、安心を届けることができます。
・トイレの空き情報を「見える化」
バカン社では、「VACAN AirKnock」という、混雑状況を可視化するサービスを展開しています。このサービスの概要は以下の通りです。
これらの一連の流れにより、トイレの「回転率」を上げていくことを目指しています。河野様いわく、この取り組みにより、「周りの人が困っているのが分かれば、人は他人のために行動する」ことがわかったそうです。
また、サービスの取り付けに関して、たとえばウォシュレット用のコンセントなどを活用できるため、電気工事が介入することは限定的だそうです。
・実用例
バカン社ではホテルの朝食レストランや大浴場での混雑を可視化したりするなど、施設ごとに最適な遠隔混雑対策サービスを提供しています。お客様が「待つこと」を体験せずストレスフリーで回遊することで、ユーザー体験価値を向上することができます。
実際に、サービスを導入中の全国100ヶ所以上の宿泊施設より、導入効果に関する多数のポジティブな意見を受けているそうです!バカン社のサービスを導入することで、フロントへの混雑状況に関する問い合わせが、70%削減したそうです。
さらには、バカン社では、広域の空き情報の管理にも取り組んでいます。たとえば、災害に備えた活用事例として、200以上の自治体、13,000以上の避難所でバカン社のサービスが利用されています。2022年7月の参院選でも、51以上の自治体の投票所でこのサービスが利用されたそうです。
座席や行列の管理の際はタブレットを使用します。具体的には、お店で順番待ちをする際、「待つ」というボタンを押すことで、自分の前に何組並んでいるのか、およそ何分ほどかかるのかがタブレット上に表示されます。こうすることで、待ち時間が明確になり、時間を有効に使うことができます。
■2社目:LiLz株式会社
2社目は、LiLz 大西様にご登壇いただきました!
<LiLz株式会社 代表取締役社長 大西 敬吾 様>
・LiLz社の事業内容
LiLz社では、「機械学習とIoTの技術融合で、現場の仕事を”ラク”にする」というミッションのもと、「LiLz Gauge」と呼ばれる遠隔点検IoTサービスを提供しています。LiLz社が取り組んでいる課題は、現場で行われる設備保全のための巡回点検です。LiLz社によれば、日常点検における目視の割合は87%にも上るそうです。また、日常点検を自動化したいというニーズがあっても、現場に電源とネットワークがないために、自動化するための新しい技術を導入することが物理的に困難というケースが多いそうです。
・LiLz Gauge(リルズゲージ)
この日常点検の課題を解決するのが、「LiLz Gauge」です。これは、静止画撮影専用のIoTカメラで、アナログメーターなどの点検対象の前に設置します。このカメラで1日3度撮影すると、カメラの電源が連続で3年間稼働します。また、電源・ネットワーク工事をすることなく、屋外や暗闇の中など、あらゆる場所に簡単に設置することができます。これにより、現場での日常点検の自動化において課題の一つだった、「現場に電源とネットワークがない」という状況も打破することができます。
また、雨天時、アナログメーターの針に水滴が付いていても、撮影・読み取りが可能です。さらに、「画像ズレ検知」という機能を搭載しており、施設の振動や風などでカメラが動いてしまった場合でも、振動によるズレに追従しながら撮影するため、精度を担保しながら撮影をすることができます。
LiLz Gaugeでは、カメラでアナログメーターを撮影するごとに、画像がクラウドに保存されていきます。そして、タブレットやパソコンに表示された画像を、簡単な設定でデジタル化することができます。
現在、LiLz GaugeのAIは、円型、矩形型、7セグメント型、フロート型、ランプ型など、合計7つの形状に対応(ランプ型は2022年8月にリリース)しており、様々なアナログメーターをデジタル化することができます。デジタル化された値は、閾値の管理をしたり、CSVでエクスポートしたりすることで、装置の状態が一目でわかるようになります。こうすることで、点検をリモートで行うことができ、省力化をすることができます。計測したデータが溜まると、予知保全にも活かすことができ、点検現場が更にラクになります。
そして、LiLz社のカメラは、低消費電力定点カメラであるため、1日1回以上の日常点検においても電源・ネットワーク工事は不要です。スマートメーターというソリューションもありますが、現場の多くは屋外点検箇所およびアナログメーターの種類も多く、全てをスマート化するという手段は非常に高額になり、現実的ではありません。後付けであらゆるアナログメーターに対応できるLiLz Gaugeは、現実的にコスト削減可能なソリューションです。
・実用例
LiLz Gaugeを導入している業界は幅広く、企業施設、病院、研究所などに加えて、最近では、産業・医療ガス、化学・製鉄・上下水プラントでの利用も増えています。また、アナログメーター点検以外の用途例として、河川水位、害獣の罠、風力発電におけるナセル点検、人の滞留を測定する取り組みなど、ますますその幅が広がっています。
■3社目:株式会社PacPort
3社目は、PacPort 沈(シェン) 様にご登壇いただきました!
<株式会社PacPort 代表取締役 沈 燁 (シェン・イェ)様>
・PacPort社の事業内容
物流関連のソリューションプロバイダーであるPacPort社が取り組む課題は、「物流クライシス」です。物流クライシスとは、ネットショッピングなどの普及に伴い、宅配荷物量などが急激に増え、物流のキャパシティがオーバーしてしまうことです。今後も、荷物の量が増え続けるとされる一方で、働き方改革関連法による年間時間外労働時間の上限の制限により、物流業界では再配達率の低下を含めた配送効率の改善が必須となってきています。
では、PacPort社が課題解決に取り組む、マンション宅配の現状と課題について見ていきましょう。マンション宅配では、
①在宅確認
②セキュリティ扉解錠
③(在宅時)対面受け渡し
④(不在時)ロッカー投函
⑤(不在時)持ち戻り
など、様々なステップが存在しますが、この既存の方法には多くの課題が存在します。たとえば、住人の呼び出し応答待ちにおいて配達効率に改善の余地があったり、生鮮食品などは宅配ロッカーに投函できないケースも多数見られます。
これらの問題を解決するために、PacPort社では、2021年、インターホン業界最大のアイホン社との協業関係を結び、集合住宅向け新サービス「Pabbit」を共同で発表しました。
・荷物認証による非対面配達「Pabbit(パビット)」
Pabbitは、荷物の伝票番号をエントランスインターホンの認証キーとする荷物認証宅配システムです。Pabbitは、以下の3つの機能から成り立っており、Pabbit Cloudと呼ばれるクラウドが全ての情報を管轄します。
PacPort社は提供するIoTスマートロックを使えば、既存の宅配ボックスをPabbit Lockerとして活用することができます。また、モバイル通信に対応したタブレット端末を外付けすることができるため、新築マンションだけでなく、既設物件もPabbit対応にすることができます。
Pabbit導入のメリット
〈顧客〉:「配達員」ではなく、「モノ」を確認して受け取りできるため、配達員のなりすまし防止や、非対面接触による配達の実現、配達時の在宅が不要
〈配達員〉:問い合わせ番号が集合玄関機の解錠鍵になるため新たな業務端末が不要
〈集合住宅会社〉:集合玄関機にてセキュリティ扉を解除するため新設備が不要
〈マンションの管理会社〉:入館できる業者をwebツールで楽に管理できる
などが挙げられます。
今後の展開としては、集合住宅のみならず、シェアオフィスでの商用利用を確立していきたいそうです!
■4社目:株式会社アクセルラボ
4社目は、アクセルラボ 宇田川様にご登壇いただきました!
<株式会社アクセルラボ 取締役/COO 宇田川 大輔 様>
・アクセルラボ社の事業内容
アクセルラボ社は、「暮らしを次のフェーズへ」というミッションのもと、スマートホームの普及のために活動しています。現在の日本のスマートホーム普及率は、全世帯のうち約6%ほどですが、約5年後の2026年には、市場規模は1兆円にも上ると予測されています。さらに、国内ではスマートホーム未開拓市場が大きく、コロナ禍により自宅で快適に過ごしたいというニーズも高まっていることから大きなポテンシャルを秘めている分野です。
・日本のスマートホーム市場の現状
スマートホーム市場を牽引している米国では、スマートホーム普及率はおよそ40%近くであると言います。米国でのスマートホームの普及において、セキュリティサービス事業者や通信事業者(主にCATV事業者)などのプラットフォーマーがその火付け役となってきました。このことから、日本国内においてスマートホーム市場を拡大させるための一つのキーポイントは、住居全体をコントロールできるプラットフォーマーの存在だとアクセルラボ社は考えています。
しかし、昨今増えてきているスマートホーム事業者は、鍵、照明、家電、それぞれにおいて専用アプリを提供していることが多いため、ユーザー側が場合に応じてアプリを使い分けなければいけないという実態があります。そこで、アクセルラボ社ではスマートホームにおけるプラットホームを提供することで、様々なデバイスを一つのアプリで完結させました。
また、スマートホーム市場が普及している米国と日本の大きな違いとして、日本ではDIYがあまり一般的とは言えず、単体で販売されているスマートデバイスを自力で取り付けられないユーザーが多いことが挙げられます。そのためアクセルラボ社では、新築物件に自社のサービスを組み込みインクルードさせ、実際にお客様にその便利性や安全性を体感してもらうBtoBのビジネスを展開しています。さらに、商流を一元化し、デバイス調達、設置、サポート、保証などを全て一元管理することで、ユーザーは住み始めると同時にスマートデバイスを使うことができるようになります。
・IoTプラットフォーム「SpaceCore(スペースコア)」
アクセルラボ社の提供するIoTプラットフォーム「SpaceCore」は、スマートホームにおけるIoT機器の制御・操作に必要なクラウド型ソフトウェアサービスです。入居者向けのスマートホーム機能と、不動産管理会社向けのリレーション機能から成り立っています。
SpaceCoreの利用ユーザー数は18,000件、導入者数累計は180社にも上るそうです!
・「SpaceCore」のBuilt-in
また、今後の取り組みとして、IoTエンジンSpaceCoreのコア技術を進化させ、不動産サービス、セキュリティ、ペット、介護事業者、無人化ビジネスなど、様々な事業者に対してBuilt-inとしてIoTエンジンの提供を進めていくそうです。
■5社目:株式会社LiveSmart
5社目は、LiveSmart 上田様にご登壇いただきました!
<株式会社LiveSmart 代表取締役社長 上田 大輔 様>
・LiveSmart社の事業内容
LiveSmart社は、AI・IoTを活用しながら住宅のOSをつくり、「人々が抱える課題を解決する新しい社会インフラになる」ことをビジョンに活動している企業です。AI・IoTを活用した生活空間におけるサービスプラットフォーム事業として、生活空間に関わる事業者に向けたBtoBサービスとして展開しています。
たとえば、時間によって電力プランが変動していく市場連動型の電力プランを提供する電力会社アストマックス・トレーディング社と連携し、電力価格が高くなる時間帯にスマートデバイスが自動でエアコンを切ったり、温度調整の提案をしたりと、電力プランと連携したサービスを進めています。
LiveSmart社の提供価値としては、住宅・生活空間のIoT化や、顧客接点を生かしたリレーション強化です。LiveSmart社が掲げる提供価値は主に3つで、
これらの価値を様々な企業に提供していくことを目標としています。
・LiveSmart社 3つの特徴
LiveSmart社の特徴は、以下の3つです。
①国産自社開発
スマートホームのソフトウェアである「ハブ」を完全に自社開発しているため、様々な会社の機器や設備を自由に接続することができます
②エネルギーマネジメント
電力の可視化や、太陽光パネル・蓄電池などの設備のコントロールや最適化によって、省エネかつお得を実現します。また、①と連動して、一番効率の良い電力の使い方を提供します
③事業者向けサービス
アプリなどのコミュニケーション基盤や賃貸管理用ダッシュボードなどのDXソリューションや、OEM/APIを展開しています
LiveSmart社では、②のエネルギーマネジメントに特に力を入れている他、③の事業者向けサービスとしてのOEMプロダクト開発やOEMプロジェクト支援も行っています。今後も持続可能な未来を牽引するために、新しい社会インフラを目指されるそうです。
まとめ
今回は、IoTに関連する代表的な5社のお話をお聞きしました。
IoTの発展により、生活が一段と便利になった世界は非常に楽しみですね!
今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!
引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!