8/4開催【京都Startup Ecosystem連携企画】グリーンイノベーション編〜京都発の電源系スタートアップをご紹介
皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年8月4日(木)に行ったイベント、
【京都Startup Ecosystem連携企画】グリーンイノベーション編〜京都発の電源系スタートアップをご紹介
についてレポートしていきたいと思います!
本イベントでは、グリーンイノベーションに関連する京都スタートアップ・エコシステムのポテンシャルを確認した後に、新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップを3社をお招きし、ピッチをしていただきました。
グリーンエネルギー関連技術に興味のある方
スタートアップへの投資や事業連携をご検討されている方
新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方
最新のサービストレンド、テクノロジートレンドに興味のある方
京都のスタートアップに興味のある方
にぜひお読みいただきたい内容となっております!
では、イントロセッションの内容を紹介します!
・イントロセッション―京都の魅力―
「イノベーション」という文脈で京都の魅力を確認していきたいと思います。
京都にはスタートアップ・エコシステムの形成に貢献している、以下の3つの要素があると考えられます。
強力なブランド力
人材確保の優位性
豊富な文化遺産
京都には大企業から政府機関までが多く集まっており、本イベントに登壇する電源系のスタートアップや大企業も多く存在しています。大学を中心に様々なスタートアップが生まれており、それを支えるVCも多く存在していることも京都の特徴です。特に近年は首都圏を中心に活動しているVCが京都に拠点を設けるという動きも増えてきました。
制度と文化、リソースのすべてが整っていることが、京都の魅力であると言えます。
ではここからは、各スタートアップにピッチしていただいた内容をご紹介します!
■1社目:AC Biode(エーシー バイオード)株式会社
1社目は、 AC Biode 久保様にご登壇いただきました!
<AC Biode株式会社 代表取締役社長 久保 直嗣様>
・AC Biode社の事業内容
AC Biode社は化学、材料科学、電子工学をベースにしたクリーンテックのスタートアップです。京都と英国で創業して以来、欧州でも事業を展開しています。欧州連合EU傘下のVC:EIT InnoEnergy等から出資を受け、灰リサイクル、交流電池と付随する回路、廃プラスチック解重合触媒等の開発、製造販売をしています。
・事業紹介
AC Biode社の事業は大きく分けて下記の3つです。
交流電池・回路開発
Plastalyst: 廃プラスチックのケミカルリサイクリング用の触媒開発
CircuLite: 灰などの廃棄物の吸着剤、抗菌剤等の開発
今回のピッチでは1の電源関連の話題について進めていきます。
・AC(交流)バッテリーの有用性
これまで世の中に存在するバッテリーは直流電源で、直流で充放電しています。パソコンや軽機材は直流で十分なのですが、交流が使えるとメリットの大きい世界があります。それは送電や高電圧が必要は装置やEVなどへの適用です。また、交流は変圧が容易なことからエネルギーロスも最小化できます。バッテリー活用が様々なところで進む中、交流で充放電、活用できることの有用性が出てくるのです。
そういった背景の中、AC Biode社は、世界初の独立型AC(交流)バッテリーの開発に成功しました。これにより、容量不足、新開発に要する時間とコスト、安全性といった従来の電池が抱える問題を解消することが期待されています。
水力発電や風力発電などの回転を用いて発電するものは交流で放電されるため、中長期的にはこうした分野にも進出することを検討しています。
さらに、回路における全体ロスの削減と、既存素材の利用によるコストの削減なども期待されています。特に容量(Ah)については、「コッククロフト・ウォルトン回路」という、交流によるインプットを必要とする回路を組み込むこと等で約10%の増加に成功しており、これによりモビリティや蓄電への効果的な利用が期待されています。
現時点での研究及び事業の進度は、次のような段階です。
特許の取得に関しては、日本と欧州を中心に進めており、すでに複数の特許が登録されています。
■2社目:株式会社Space Power Technologies
2社目は、 Space Power Technologies 古川様にご登壇いただきました!
<株式会社Space Power Technologies 代表取締役CEO 古川 実様>
・Space Power Technologies社の事業内容
Space Power Technologies社は、マイクロ波によるリモート・ ワイヤレス電力転送機器の開発・製造・ 販売を行うスタートアップです。京都大学で長年研究されてきた宇宙太陽光発電研究のうち、 電力をマイクロ波で宇宙から地上へ伝送する技術を、まずは地上で実用化することを目指しています。 2021年の10月にはJ-Startupに認定されました。
2022年5月には総務省の電波法省令改正により、 マイクロ波送電が制度化され、工場倉庫内での利用が可能となりました。そうした改革を踏まえて、 3年後を目処にスマートフォンなどの様々な機器へのワイヤレス給電実現を目指しています。
・Space Power Technologies社が解決できる課題
今後製造業を中心にIoT機器の導入がなされていく中で、製品が潜在的に抱える給電をどのように行うかという課題が生じると予測されます。たとえば工場内の高所に取り付けられたセンサーの電池交換など、現状そのメンテナンスには相当の労力がかかります。本技術は、そうした課題を電源の無線化によって解決することができます。
他にもインフラ点検の高度化、ライフスタイルの向上、遠隔地への電源供給の高度化なども可能になると考えています。
現在はスマートフォン端末に見られる、数ミリ程度のワイヤレス給電が基本ですが、本技術は1m以上のWPT方式(ワイヤレス電力伝送方式)として、日本で世界に先駆けて制度化されています。
・ターゲット
ワイヤレス給電の対象になるのは数日から数週間の電池寿命の製品で、将来的にはスマートフォンなどの時間単位で充電が必要なデバイスを対象にすることを検討しています。
事業として扱うのは、ワイヤレス給電を可能にする高出力の送電器と受電器で、受電器が動いたとしても送電器がトラッキングする機能も実装されています。現在は無人エリアでの給電を進めていますが、2025年ごろを目途に、Wi-Fiのようにワイヤレスかつ自動で、有人エリアでも使用可能な段階を目指す予定です。
・残されている課題と課金方法
残されている課題は、給電のためにエネルギーが広範囲に出力されるため、機器から数メートルの範囲内には安全性の観点から人が立ち入れないようになっていることです。
今後は送電した電波がほとんど受電されるように、高い周波数帯での実用化を目指して開発を進めていく予定です。
料金については、たとえば公衆エリアでの使用では、ワイヤレス給電器を設置する側への課金を検討しているそうです。ワイヤレス給電ができる空間は、価値が高まることから、整合性のある課金方法であると考えられます。
■3社目:フォロフライ株式会社
3社目は、 フォロフライ 中尾様にご登壇いただきました!
<フォロフライ株式会社 COO 中尾 源様>
・フォロフライ社の事業内容
フォロフライ社はファブレス生産で低価格と開発スピードアップを実現するEVスタ ートアップです。2021年10月1日に、 国内自動車メーカーとしては初めての国外生産(ファブレス生産) による1トンクラスの宅配用電気自動車のナンバーを取得しました。
・ファブレス生産の強み
フォロフライ社の特徴は、既存の自動車メーカーのように一から車を作るのではなく、顧客の要望をもとに、ファブレス方式で生産までを行うという点です。
販売までの流れは、顧客との商品企画に始まり、世界中のメーカーから選定して供給に向けた交渉を行い、日本向けに部品を改良したうえで、国土交通省の認証を得るという形です。
従来メーカーでは避けられない、時間や金額といったコストの面を大幅に削減できる点が優れており、商品主体のビジネスモデルから顧客主体の商品開発に注力している点も大きな特徴です。
・車の優位性
フォロフライ社が販売を行う1トントラックの優位性は、以下の3点です。
バッテリーに対しては5年間または12万kmまでの保証もついており、従来通りの充電や交換も可能です。他にも顧客からの意見をもとに、2022年6月には冷蔵・ 冷凍の対応も検討にいれた自社開発2台目となる平ボディタイプの 「EV F1 TRUCK」を発表し、物流業界の脱炭素化を推進しています。
・開発における課題
フォロフライではお客様の要望に対応し、右ハンドル変更から、車体安全性向上のための強度設計、安全性機能の追加等、世界に誇る日本基準の安全性を追加開発しています。
小修正とはいえ、車両の設計変更では数億円の開発費が必要であり、認証や追加開発、型変更には様々な課題がありますが独自の技術とノウハ ウにより数年のうちに生産台数を段階的に増やしていく予定です。
・まとめ
今回は、グリーンイノベーション関連の代表的な3社にお話を伺いました。
お話の中で「世界初」といった言葉が登壇者の方々から何度か出てきました。グリーンイノベーションの分野でそれほど先進的な技術が生み出されていること、京都の街で生まれていることに感銘を受けました!
スマートシティが実現されていくのに欠かせないこうした技術には需要があると考えられるため、数年のうちにメディアで頻繁に目にするような企業へと成長しているかもしれません。
今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!
引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!
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