12/13開催【ドコモベンチャーズピッチ】テクノロジーが作り出す新しい音楽の世界~誰もがクリエイトできる時代へ~
皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年12月13日(木)に行ったイベント、
【ドコモベンチャーズピッチ】テクノロジーが作り出す新しい音楽の世界~誰もがクリエイトできる時代へ~
についてレポートしていきたいと思います!
本イベントでは、音楽の領域で新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ4社をお招きしピッチしていただきました。
音楽や作詞作曲に興味のある方
音楽関連への投資や事業連携をご検討されている方
新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方
最新のサービストレンド、テクノロジートレンドに興味のある方
にぜひお読みいただきたい内容となっております!
以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!
■1社目:Studio ENTRE株式会社
1社目は、 Studio ENTRE 山口様にご登壇いただきました!
<Studio ENTRE株式会社 代表取締役 山口 哲一様>
・Studio ENTRE社の事業内容
もともと音楽プロデューサーとして活動していた山口様は、世界に遅れをとる日本の音楽業界のデジタル化を進めたいと考え、Studio ENTRE社を設立しました。
・Studio ENTREとは
Studio ENTREはエンターテックをテーマにしたスタートアップスタジオです。
という二つの特徴があります。
エンターテック領域での起業に興味のある起業家を集め、コミュニティを運営しています。そして、その中に可能性のある事業があれば、まずはスタジオ内で半年ほど事業として仮説検証を実行。一定の成果が出れば、法人化し、投資家から資金調達を行い本格的なサービス運営のサポートを行う仕組みになっています。
Studio ENTRE社のスタートアップスタジオでは、コミュニティで起業家と日常的にコミュニケーションをとりながら、まずは社内で案件化し、うまくいけば法人化するというKPIで事業を運営しています。
Studio ENTREでは、
などの領域に特化しています。
また、今後期待されているインバウンド領域でのスタートアップの創出にも取り組んで行きたいと考えています。
の2つの軸で事業を立ち上げており、日本の最もDXが遅れているメディア/コンテンツ領域のDXを促進するスタートアップを生み出していくことも、Studio ENTREのミッションではないかと山口様は言います。
Studio ENTREでは、主にシードの前の段階の創業期にあたるタイミング、いわゆる0→1の伴走支援を行っています。また、人への出資ではなく事業開発に対して資金提供する傾向があるそうです。
実際にいくつもの案件を法人化しています。
コミュニティ活動を通じて、経験豊富なメンター陣がひざ詰めでサポートしてくれることもStudio ENTREの特徴だと山口様は言います。
また、スタートアップ起業環境の整備にも取り組んでおり、行政との協業や教育機関と連携しプログラムを運営するなど、複数のプロジェクトを実行しています。
・ベンチャーコビルド
Studio ENTRE社では、事業会社との共創も行っています。それがベンチャーコビルドです。
ベンチャーコビルドでは、インキュベーションプログラムを提供し事業会社の事業アセットや人材、要望に合わせた企画提案を行いスタートアップを設立します。
また、外部の起業家とマッチングし、事業会社がもつ課題を解決することも行います。法人化したスタートアップを事業譲渡や株式譲渡し、事業会社の子会社にすることも可能です。
■2社目:株式会社Virtualize
2社目は、 Virtualize 今様にご登壇いただきました!
<株式会社Virtualize プロジェクトマネージャ 今 悠気様>
・Virtualize社の事業内容
家にいながらバーチャル音楽活動ができるアプリ「StarLi」の開発・運営を行っています。
アバター×ライブ配信×音楽を組み合わせたサービスとなっており、アプリで簡単にアバターをつくり、バーチャルライブを行うことができます。
・バーチャルライブの重要性
バーチャルタレントの市場は右肩上がりで成長しています。バーチャルタレントは、ファンに応援してもらいながら、2Dから3D化をし、バーチャルライブを目指すという文化の流れができていると言います。一方でバーチャルライブの開催には、大きなコストが掛かり、大手のVtuber事務所以外は、あまり開催できていないといった課題があります。
そこで、Virtualize社では、ライブの演奏を自動化するテクノロジーにより解決を目指しています。音楽の解析技術と、音楽と映像を組み合わせる繊細なノウハウより創り上げたAIにより他社がコストをかけて手作りで行っているバーチャルライブを、ノーコストで開催することが可能です。
・StarLiの全体像
StarLiでは、ユーザーは、
の3つを行います。
StarLi内では、リアルに近いグラフィックのアバターをスマートフォンのみで作ることができます。
さらに、活動が進むと
など、バーチャルタレントとしての活動を行います。
・AIバーチャルライブ
AIバーチャルライブではStarLi内で、
この2点を行うことでAIバーチャルライブを簡単に開催することができます。
また、楽曲に合わせてダンスを披露することも可能です。
さらに、ギフトを贈るとタレントとステージがレベルアップしてきます。
など、現実の音楽シーンの流れをバーチャルで再現しています。応援度を数値化してさらに楽しくタレント活動にストーリー性を持たせる設計となっています。
・アプリ内イベントでさらに応援
Virtualize社では、これらのタレントに送るギフトや、イベントで課金いただくことでマネタイズする仕組みです。その他広告や、ファンクラブなどでもマネタイズの案として考えています。
■3社目:SIX/COTODAMA
3社目は、 SIX/COTODAMA 斎藤様にご登壇いただきました!
<SIX/COTODAMA Creative director 斎藤 迅様>
・SIX/COTODAMA社の事業内容
SIX/COTODAMA社は、Lyric Speaker(リリックスピーカー)を開発するクリエイティブディレクターチームで組織されたスタートアップです。
ご自身でもバンド活動をされるなど音楽に関わる斎藤様は、歌詞は音楽において感動する大きな要素の一つと考えています。しかし、過去に比べ現在は、歌詞を楽しむことに重きが置かれていないように感じたと言います。そこで、歌詞と向き合い、歌詞を通じて作品を楽しむ体験・感動を作りたいと考えました。
さらに、ストリーミングサービスなど量にフォーカスしたテクノロジーに対して、音楽体験の質にフォーカスしたテクノロジーがあってもいいのではないかと考えたことが原点となり、音楽のデータを活用した、より感動するプロダクトを作れないかと考え、自社プロダクトでLyric Speakerを開発しました。
ヨーロッパ随一の音楽テクノロジーインキュベーションプログラムであるアビー・ロード・レッドへ選出された経験があり、Lyric Speakerはグローバルでも高く評価されています。
・Lyric Speakerとは
Lyric Speakerとは音楽を再生すると映像と歌詞が表示される新しい形のスピーカーです。
スピーカーと楽曲のメタデータを蓄積したサーバーが連携しており、楽曲が再生されるとリアルタイムで歌詞が表示されます。
Lyric Speakerのシステムを使い、ライブでのモーショングラフィックを活用した演出を行うことも可能です。DJイベントの演出や、ミュージックビデオの作成など色々な場面で活用されています。
音を再生するとモーショングラフィックで歌詞が表示される仕組みにより、臨場感や幻想的な空間を生み出すことができます。
現在、Lyric Speakerは3つのモデルを展開しています。
Lyric Spaker Boxは、再生した曲の歌詞を自動的にモーショングラフィックスで表示する独自技術「Lyric Sync Technology」を搭載した箱型の次世代型Wi-Fiスピーカーです。
Lyric Speaker Canvasでは、音楽を再生すると、その楽曲の歌詞が前面のボードに浮かびあがり、歌詞をビジュアル化してインテリアを楽しむことができます。
また、音楽配信サービスAWAと技術提携し、スマホで歌詞のアニメーションが表示されるプロダクトも開発しています。
今後は、音楽ストリーミングサービス以外にVRやVtuberなど音楽に関連する機会であれば、歌詞の演出という面で様々な提携が可能と考えています。さらに、日本発の海外進出のクリエイティブサポートも可能とのことです。
■4社目:株式会社Amadeus Code
4社目は、Amadeus Code 井上様にご登壇いただきました!
<株式会社Amadeus Code CEO 井上 純様>
・Amadeus Code社の事業内容
Amadeus Code社はAIを活用し、音楽を作成することでクリエイターを支援しています。
「誰もが輝ける世界の実現を音楽で加速する」をミッションにZ世代クリエイターに向けてサービスを展開しています。
これまでAIでの作曲を前提に、AI作曲の社会実装、事業化に挑戦してきたというAmadeus Code社は、音楽出版事業とEVOKE MUSIC事業の2つの事業を展開しています。
・音楽出版事業
音楽出版事業ではこれまで
の楽曲を出版しており、音楽出版社として、約61,300曲の著作権、原盤権を管理運用しています。
・EVOKE MUSIC事業
EVOKE MUSICとは、動画配信など誰もがクリエイターになれる時代においてクリエイターのカンブリア的大爆発に対応するAI作曲の音楽配信サービスです。
となっており、そのうち
となっています。ユーザーのうち約3人に1人がZ世代です。
また、これまでの2年間に約60,000曲(AI楽曲)を作成してきました。
・AI作曲のテクノロジー
EVOK MUSICでは、メロディーの生成に特化したGenerative AIを利用しています。
といった特徴があります。
Aメロ、Bメロ、サビのような音楽の様式をインプットした無数のデータが自社サーバーに蓄積されており、その中から、適切な様式をAIがピックアップし、自然言語処理のAI技術を応用して、音の組み合わせを計算します。4秒間で約10万通りの計算が行われ、過去にヒットした楽曲を元にした正解モデルが一つ導きだされる仕組みになっています。
これらをメロディ、ハーモニー、リズムなどでそれぞれ行い、それぞれの正解モデルを組み合わせることで一つの楽曲が完成します。
そこに、自社独自の「売れる曲の黄金比」のノウハウを掛け合わせて、楽曲を仕上げていきます。
生産は全てオンライン上の高度自動化工場「CDPFactory」で行われます。
顧客が欲しい曲と似ている既存の曲を以下の6つの要素に分解します。
そして、それぞれの要素でAIによる正解モデルの作成が行われます。それらを組み合わせて顧客が求める楽曲を製作する仕組みになっています。
・クリエーター音楽制作OSとなる
今後は、有料ユーザー以外のYouTubeの広告収益をクリエーターエコノミーに還元することに注力し、誰もがオンリーワンな曲を作れて、自分の世界観を演出できる世界をEVOK MUSICを通じて目指したいとを語って頂きました。
まとめ
今回は、音楽の代表的な4社のお話をお聞きしました。
AI作曲や、バーチャルライブなどが身近なモノになってきました。専門的な知識がなくても誰でも、音楽を作ることができるサービスも増えているように感じました。
音楽テックサービスが普及した世界は非常に楽しみですね!
今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!
引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!