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【安全第一】事故や故障に際し、横付けした鉄道車両へ渡り板で乗客を移動-週末に瀬戸大橋線で列車が長時間立ち往生

@shibanta72172024年11月10日 午後9:34
@rrryyy23022024年11月10日 午後1:16
@TKR_107_F2024年11月10日 午後4:06

四国の各地で停電(ブラックアウト)が発生した翌日

日曜の午前7時半過ぎに高松駅発・岡山駅行のマリンライナー10号・7両(四国側から5000系M2編成+223系P5編成+223系P2編成)

が架線切断・パンタグラフ損傷(3基全て)・停電のため(児島坂出ルートで最も本州側の)下津井瀬戸大橋(櫃石島寄りの位置)で緊急停車しましたが、乗客の救助に6時間、走行不能となった車両を2700系ディーゼル車(3両編成)で移動し、架線を張り替えるのに、半日以上もかかりました。(午後8時4分に運行が再開されました。)

架線が破断した現場(下津井瀬戸大橋)JR四国
マリンライナーは約500メートル前方で緊急停車
(下津井瀬戸大橋)JR四国
マリンライナーは約500メートル前方で緊急停車
(下津井瀬戸大橋)JR四国

現行のマリンライナーの編成は本州側が223系、四国側が5000系(鉄仮面)です。5000系の先頭車(1号車)はダブルデッカー(2階はグリーン席・1階は指定席)です。

破損したパンタグラフ(進行方向の後尾から)

※ スライダー(集電舟・摺り板)とホーンがほぼ脱落した後方ほど損傷が大きいようです。

3号車

破損したパンタグラフ(マリンライナー)JR四国
5号車

破損したパンタグラフ(マリンライナー)
7号車

破損したパンタグラフ(マリンライナー)

事故や故障で立ち往生した車両に横付けした救援車両へ乗客が渡り板で移動する様子を初めて(映像で)目にしたのは、7年余り前の東京モノレールの事例でした。

15~25メートルも下に地面や海面が見える東京モノレールではしっかりした手すりの付いた渡り板(タラップ?)が映像に写っていましたが、扉が両開きで数も多い通勤通学列車とは異なり、扉の幅が狭い車両(例えば、新幹線700系の扉の幅は 710mm、車椅子対応車両の扉の幅は 1010mm)では、伸縮する(新幹線)非常用渡り板や

新幹線非常用渡り板

新幹線車輌に搭載し、非常の際に他の列車へ乗客を誘導又は車外へ避難救助する際に使用する渡り板です。本体重量は約17㎏なので、どなたでも簡単に持ち運びと設置が可能です。

横幅を半分に折り畳める(車椅子の介助等に使用される)ケアメディックス社のケアスロープ(実際に使用されている映像や写真は見当たりませんが、もしかすると、住友ゴム工業の子会社のダンスロープ、シコク社の段ない、他も)を車両の間に渡して、手すりの代わりにロープを張ることが多いようです。

※ 下記写真に写っているのはケアスロープ CS-150(70 cm × 150 cm)。(ニュース映像の中ではテロップ「長さ 175 cm」も入りますが...)

※ 下記写真に写っているのはケアスロープ CS-175(70 cm × 175 cm)。

※ 下記写真に写っているのはケアスロープ CS-200(70 cm × 200 cm)。

※ 下記写真に写っているのはケアスロープ CS-150(70 cm × 150 cm)。

※ 下記映像に写っているのはケアスロープ CS-175(70 cm × 175 cm)。

瀬戸大橋の下層部の路床は格子状の鋼材で造られていますが、鉄道の上り線と下り線は一般的な複線線路の上り線と下り線の間隔より離れて敷設されているため、昨日の乗客移動にはしっかりした渡り板が使用されたようです。

ダムラー旅行記~放浪旅編~

車両間に設置された縞鋼板製の渡り板(おそらく伸縮可能)は特注品かもしれませんが、スタンション(stanchion)にロープを張って手すりにする構造は工事現場の足場よりも船舶の乗降に使用するワーフラダーに似ているかもしれません。

また(愛称)瀬戸大橋線のうち児島駅以南の本四備讃線を管轄するJR四国は(単独あるいはJR西日本と合同で)事故や故障や悪天候に備えて定期的に訓練を実施しているそうですが

昨日は日曜日であったため、おそらく、役員や上席職員の判断・決定に通常より時間を要したと推測されます。パンタグラフ3基全てが破損して自走することができない7両編成のマリンライナー10号を牽引するディーゼル車を高知運転所から移送する必要もあったようです。(瀬戸大橋線の停電時に高知運転所や徳島運転所から牽引目的でディーゼル車を派遣することは予め段取りされていたのかもしれません。)

破損したパンタグラフ(進行方向の後尾から)

※ スライダー(集電舟・摺り板)とホーンがほぼ脱落した後方ほど損傷が大きいようです。

3号車
5号車
7号車

架線が切れた場所は(架線が二重に敷設されている)エアセクションの直前ないしエアセクションの端部ですが、松山駅発・岡山駅行のしおかぜ4号がマリンライナー10号の少し前に上り線を走行した際には問題はなかったようです。マリンライナー10号のパンタグラフ3基が全て破損しているそうですので、マリンライナー10号が現場を通過したときには既に架線が切れていたのかもしれません。何れにしても、架線切断の原因解明にはしばらく時間がかかりそうです。

切断した架線には熱が加わった形跡があった。架線を支持する設備や金具類にも損傷を確認した。

JR四国によると、瀬戸大橋上での長時間の立ち往生は強風によるものを除けば2012年以来。断線した部分の設備は24年前に設置されたもので、今月の目視での点検や9月の専用車両による点検では異常が確認されなかったという。

尚、新しいトロリ線を開発した企業のプレス・リリースによれば、瀬戸大橋線(本四備讃線)の架線設備の更新が計画されているそうですが、JR四国の台所事情は厳しいので、更新が完了する時期については不明です。

以上、事故車両・故障車両に救援車両を横付けして渡り板を使用する事例を眺めてきましたが、東京モノレールには乗客が(手荷物は持たずに)らせん状・垂直に地面まで降下することができる脱出シューターが装備されているそうです。


※ 昨日の事例とは無関係かもしれませんが...


建設の機械化(1988年3月号)瀬戸大橋完成特集







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