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カメラマンデビューの話
10年位前のお話です。
当時の私は会社員をしていました。プライベートでは写真史や現代の写真作品についてを学んだり前回の記事に書いた新しいカメラを購入し作品を作ったりしながらぼんやりと写真のお仕事がしてみたいと考ていました。
会社員だったのでスポットでできるような副業でまずカメラマンというお仕事を体験してみようと思い、某マッチングサイトで未経験可の案件を検索し幾つかエントリーをしてみました。
今から思うと未経験可と言っても何の実績もなく、プロが使用する機材を持っているわけでもないので受注できるはずもないのですが、奇跡的に一件だけ本当の素人向けの案件を受注することができました。
業務内容は竣工写真で、条件はフルサイズ機は不要(APS-Cで可)、広角レンズを持っていることとフォトショップが使えることでした。
スポットのお仕事と聞いていたのですが面談があり、当時は特に建築に関わるような作品はほとんどなかったのですが、趣味で撮影をしていた地方の美術館の建物の写真を見繕ってブックを作り、面談に臨み受注することができました。
数日後にご依頼の詳細情報が送られてきて初めてのお仕事に臨むことになりました。
ご依頼内容というのが某駅のお手洗いのリニューアルしたファサードの撮影でした。
今でこそ様々な種類の竣工写真や資材の納入事例のお仕事があることは理解しているのですが、当時はこのような種類のお仕事があることにとても驚いたことを覚えています。
当日は面談をしてくださった担当の方立合いのもと撮影を進めました。
全くの素人ということもあって撮影から編集までたくさんのダメ出しをいただき、作業時間と報酬が見合わない案件となってしまいましたが、この分野のお仕事がどのようなお仕事なのかを垣間見るとても良い機会になりました。
以降、このご依頼主からは継続的にご依頼が来たので面談があったということは継続的な付き合いのできるカメラマンを探していたのだなと理解をしました。
このご依頼主からは戸建住宅から教育機関や商業施設まで様々なご依頼をいただきましたが、きちんとこの仕事に取り組みたいと思うようになり建築カメラマンのアシスタントに採用されたタイミングでお付き合いは終了となりました。
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改めて当時の写真を見てみると機材のスペック不足やそれを補えるだけの自身のスキルも不足していて恥ずかしくなりますが、新しいことに挑戦をはじめて四苦八苦している当時の自分が思い出されて熱い気持ちになりますね。
ここに限らずですが、何かのタイミングで過去の現場の近くを通る時は立ち寄ってしまいます。