「世界と戦うフィルムたち」を鑑賞した
「世界と戦うフィルムたち」という映画を鑑賞した。その映画は、若手の映画監督が、自分の長編映画を海外の映画祭に応募しまくる一部始終をドキュメンタリーにした映像作品だ。その映画を鑑賞して最初に思ったことは、この人達は物語の力を信じているんだろうなぁという感想だった。今生には様々な物語、もといストーリーが溢れている。人を感動させるストーリー、人と恋に落ちるストーリー、はたまた会社の上司を納得させるストーリーなど、人間は人に影響を与えたいと感じた場合、ストーリーを多用する。人間は論理的思考や損得勘定なんかより、ストーリー性に魅力を感じてしまう習性があるんだと再認識した。もちろん、自分自身もストーリーに多大な影響を受けてきた人間である。学校でひどい扱いを受けた時には、涼宮ハルヒに励まされ、人生について考えたいときには、新世紀エヴァンゲリオンに感動させて貰った。これからも物語に影響を受けて、感動で涙が止まらなくなるし、人生について考えが止まらなくなると思う。映画監督並びに映画関係者はストーリーを創造していく立場だ。面白いことを考えまくって、他人に影響を及ぼしまくる。自分も他人に影響を与えられるようなストーリーテラーになれたらいいなぁと思った。
また、亀山監督(世界と戦うフィルムたちの作成者)は、面白いことを考えていた。映画館のロビーに、ポスターサイズの紙を二枚つなげ合わせて、そこにポストイットに夢を書いたものを張り付けるというものだ。舞台挨拶後に主役の映画監督が「皆さんの夢を張り付けていってください。映画の公開が終わる頃までには、映画を見てくれた人の夢でいっぱいにしたいと思っています。」と言っていて、私はそれを聞いて絶対に自分の夢を張り付けようと思った。
けれど、いざポスターの目の前に立ったとき、夢を張り付けることができなかった。いや正直に書くと、自分の目標がとても陳腐なものに思えて、恥ずかしくなったのだ。映画公開初日だったためか、ポスターには映画関係者が張り付けたと思われるものが多く、「英語を話せるようになって、海外の映画に出演する」とか「海外の映画祭で監督賞をとるぞ!」とか、まぶしすぎる言葉が張り付いていた。誰の夢かなんてわからないけれど、おそらく映画業界の関係者で、亀山監督とも相互認知はあるんだろうな、と感じさせる。その中に、自分の目標である「早く就職先を見つけるぞ!」はどうしても気後れしてしまって張り付けることができなかった。(大絶賛求職中)上映後、映画関係者の交流がエントランスの各地で発生していて、仲間内で場を共有している場所でしか発生しない雰囲気が立ち込めていた空域から、ゆっくりと立ち去った。(雰囲気を感じてしまった。本人たちは不本意だったかも、、)
でも、ポスターに「就職先を見つけるぞ」を張り付けなかったことを後悔している。きっと大きな成果を出せる人間っていうのは、躊躇なく自分の夢を他人に見せることができる人だろう。いや本当は躊躇しているのかもしれないけれど、躊躇を悟られないように自分の夢を他人に晒す行為は、何かを成し遂げるってことの始まりだ。もちろん、何かを成し遂げるためには、それだけではないことも重々承知しているつもりだ。一歩一歩努力するひたむきさとか、生まれ育ってきた環境も大事。
しかし、内なる空間から一歩踏み出して、目標を他人に向かって発信することは本当に大事だと感じる。巷でたまに耳にする「引き寄せの魔法」ってやつは、あながち間違いではない。夢は必ず叶うわけではないけれど、他人に晒さなかった夢は絶対に叶わない。これからは自分の夢を、少しだけでも積極的に空気に晒していこうと思った。
”12月のカイ”を映画祭に応募しまくり世界を飛び回った映画監督と、匿名性が確保されたポスターに目標を張り付けることができなかった自分が重なる。海外の映画祭という言葉も価値観も全く違う評価軸に飛び込んでいった映画監督と、映画関係者がたくさんいた空間に居心地が悪くなりゆっくりと離れた自分とが重なる。
この映画には本当に考えさせられた。頭がずっと回転していて、何度も一時停止ボタンを押したいと思った。(英語を必死に聞き取ろうとして、さらに内容についていけなくなった笑)
これまで、ドキュメンタリー映画は、EARTHとかSEAとか自然動物を題材にしたもしか見たことなかったけど、「世界で戦う映画たち」を見ることで、自分の人生を振り返って考え直すいい機会になり、本当に良かった。絶賛人生に悩み中で、このまま現職の業界で仕事を続けても大丈夫だろうかと考えていたが、違う業界に目を向けてもいいのかなと思えた。
躊躇しなくなることは不可能なのかもしれないけれど、少なくとも他人に躊躇していることを悟られないように、夢を語れる人間になりたい。
今後、亀山監督の作品は積極的に追っていこうと思う。
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