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脳内VOD『最上義光』(完結編~栄光と落日)

割引あり

 悪名は無名に勝るというべきか、同じ伊達政宗のライバルでも、最上義光の同学年にあたる佐竹義重は、(映像媒体での扱いも含めて)影が薄い。人取橋での対政宗戦、沼尻(栃木県栃木市)での対北条戦-、国衆寄せ集めの大軍勢をこしらえて、それを自分が指揮して見せた、義重のフィクサー的手腕はやはり只者ではないと思うのだ。
 関ケ原合戦後、秋田への国替えという受難はあったものの、佐竹氏は幕末まで、伊達氏と同格の大名として残った。よって、伊達氏としては、たとえ過去の因縁があるにせよ、二次資料(=公式の藩史など)で悪口は書けない。これは義光のひ孫の代で、旗本に降格になった最上家との大きな違いである。
 上山家支援や大崎合戦で勝手に仲裁を仕切った保春院を、輝宗も政宗も、伊達家中一同も苦々しい思いで見ていたことは、想像に難くない。朱子学が官学化した、江戸時代的視点で見れば、こういう婚家に不忠を貫く奥方は、ますますもって評価が低くなる。だが、だからと言って、二次資料であたかも「後継者問題を引っかき回して、政宗と弟を争わせた毒親」などと書かれては、それは「歴史修正主義」というものだ。
 「西郷輝彦さんの片倉小十郎最高っす!」「ジェームズ三木先生は神様です!」、そういう意見は個人の勝手だ。だが、そこで思考停止してしまう人が、「歴史通」などと軽々しく名乗るものではない。

<登場人物紹介⑪佐竹氏・蘆名氏>
【佐竹氏】
佐竹義重(さたけ・よししげ) 演:柳葉敏郎
 常陸(茨城県)大名。人取橋の戦いで政宗をフルボッコにし、蘆名氏に次男・義広を養子として送り込んで乗っ取る。政宗にとっては、義光と並んで好敵手だった。
 尚、本人は、自分はストレートだと言い張っているが、実は蘆名盛隆に惚れている(何度か文通が宝寿院にバレそうになっているらしい)。 

佐竹義宣(さたけ・よしのぶ) 演:磯村勇斗
義重の子。石田三成とは小田原征伐(忍城攻め)の時から昵懇の間柄。七将攻めの際も、自邸に光成を保護している。関ケ原合戦では、一門・家中の意見統一に失敗し、佐竹氏の秋田国替えの原因を作ってしまう。

宝寿院(ほうじゅいん) 演:伊東美咲
義重の正室。輝宗の妹。義宣・蘆名義広の母。義宣のデビュー2戦目で、政宗との和睦交渉で出動している。人取橋の合戦では、義重に土下座で、1日での撤退を取り付けている。関ヶ原合戦後は江戸で過酷な人質生活…と思いきや、芝の伊達藩邸をお忍びで訪問など、悠々自適の老後のようだ。

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