ナゴヤダルマガエルのお話、その1
みなさんどうも
Twitterで僕のことを認知されてらっしゃる方、自称ナゴダル狂いでお馴染みのどぶりあです。
そうでない方ははじめまして、ナゴダル狂いのどぶりあです。
僕がこのnoteに本種の記事を書いた理由は単純明快、ナゴダルについて(考察モドキや持論モドキなど諸々…)語りまくりたいからです。
しかし本気の研究職でやっているわけではないので、あくまでも「カエル好きシロウトはこう思ってるんだな〜」くらいの気持ちで読んで頂ければ幸いです。
ナゴヤダルマガエルの基礎知識
ではまず、ナゴヤダルマガエルについてざっくりと復習していきましょうか。
そんなん知っとるわボケ、って方はどんどん飛ばしてもらって構いません。
ナゴヤダルマガエル(学名 Pelophylax porosus brevipodus)は、両生綱-無尾目-アカガエル科-トノサマガエル属 に属する、日本固有のカエルです。
ざっくり言えばトノサマガエルの親戚みたいなもんです。
体長は3.5〜6.5cm、5月上旬から7月中旬にかけて産卵シーズンは続きます。
トノサマガエルとの主な相違点として
・全体的に小柄
・鼻先が尖らず丸っこい
・四肢が短い
・背中の斑紋が繋がらず独立する
・隆状は目立たず、繋がらない
などなど。しかし全ての個体に当てはまるわけではないので、判断基準としてはあくまで参考程度に留めておきましょう。
体色バリエーションはバカみたいに多いのでここでは紹介しきれません…
環境省レッドリストの「絶滅危惧IB類」に指定されており、 危惧レベルとしてはアマミノクロウサギやニホンウナギなんかと同じくらいの段階であり、かなりヤバい状況下にあります。
(岡山種族が生息する山陽地方では絶滅危惧種I類に指定されている場所も)
絶滅が心配される主な原因としては
・開発による生息地の破壊
・乾田化による幼生の死滅
・ウシガエルやアメリカザリガニなどの捕食
・トノサマガエルとの交雑による遺伝子汚染
などが挙げられています。
本州で最もレアなカエルと言っても過言ではないでしょう。
一方で環境が良ければわんさか生息している場合もあり、多種を押し除けて本種が優占種となっているような場所もあります。
分布域としては本州太平洋側、愛知から岐阜、三重、滋賀や京都を通って大阪、兵庫、岡山そして広島までの範囲となります。
この他の分布域だと、長野や福井なんかにもマチマチ生息しています。
一般的にナゴダルは、愛知から兵庫にかけて生息する名古屋種族と、兵庫から広島にかけて生息する岡山種族の遺伝的に異なる2つの種族が存在するとされています。
両者の違いとしては主に
・名古屋種族よりも岡山種族の方が体型が丸っこく、四肢が短い
・名古屋種族においては背中線や腹の模様が有ったり無かったりするのに対し、岡山種族は背中線を持たず腹に模様がある
・鳴き声が違う
名古屋種族「グギギギギギギ…」
岡山種族「ギィーーーッ、ギィーーーッ」
などがあります。
が、一概には言えないのがこいつらの難しいところ。
名古屋種族のように鳴く岡山種族に、逆も然り…
なおヘッダー画像の個体は名古屋種族です。
この2つの種族は兵庫県の加古川あたりで分断されていましたが、近年何らかの原因で接触、交配が発生しているようです。(何があったんだろうね)
ナゴヤダルマガエルの生活史
さて、続いてはナゴダルの生活史についてです。
言い換えれば、卵から生まれて成長して繁殖するまでの順序ですね。
こういったカエルの生活史の説明だと、アマガエルやヒキガエルあたりが毎回のようにフィーチャーされて、ナゴヤダルマガエルの生活史が取り上げられている例は一度も見たことがありません。
今までにないなら、僕が最初になってやるまでです。
1.産卵
4月末から5月上旬。初夏の暑さが顔をのぞかせる頃、ナゴダル達は長い長い冬眠から目を覚まします。
田んぼに水が張られる少し前あたりから、少しずつカエルの気配が現れてきます。
田に水が流され"水田"になると、オス達は一斉に大合唱を始めます。
一般に夜中に大合唱をするイメージが強いカエルですが、本種は昼夜問わず鳴きまくってるのでとにかくやかましいのです。
しばらく経つと、オスの声に惹かれて、卵を抱えでっぷり太ったメス達がやってきます。
メスは基本、はじめは水田ではなく水田近くの水路に溜まって様子見(?)をしているようです。
【ここで激ヤバトラップの紹介タイム1】
コンクリート整備などされた水路だと落ちると終わりです、マジで死。
実際に個体数減少の原因としてはかなりデカいと言えます。もし側溝に落ちたカエルを見かけたら助けてあげてください。
うまく巡り会えたペアはそのまま抱接し、産卵まで至ります。
卵塊は同属のトノサマガエルに比べて小さく粘り気があり、胚自体も一回り小さいです。
2.成長と変態
産まれたオタマたちは他の一般的なカエルと同じようにスクスクと成長し、脚を生やして上陸します。
後脚が大きくなる頃には背中の特徴的な模様も現れ、トノサマガエルとの判別もできなくはない、かな? といった具合になります。
それでも上陸直前で突然模様が消えたり現れたりするので、一概に決めつけるべきではありませんね。
【ここで激ヤバトラップの紹介タイム2】
前足が生え揃う前に「中干し」が行われると、その水田のオタマは死滅します。
加えて、水田に水が入る時期のズレや中干しの影響により、それまではトノサマガエルと産卵時期をずらすことで交雑を避けてきたのが被ってしまうようで、交雑個体が産まれてしまう遺伝子汚染が起こり、純粋な遺伝子を持つ個体の減少に拍車をかけています。
米作りの効率化や近代化における変化は仕方のないことですが、なんとかならないものでしょうか…
3.上陸から冬眠、目覚めまで
なんとか難を逃れ上陸したベビーは、とにかく大量の餌を食べまくってガンガン成長します。
1.5〜2cm程度だったのが、順調に成長すれば冬眠前(10月末頃)には4cmほどになります。
(あれ?成長率そんな大したことない?)
室内飼いで冬眠させない場合は冬にもガンガン餌を与えられるので、翌年4月ごろには5cm前後には成長しているでしょう。
先述したように、10月末までにはほぼ全ての個体が冬眠へと入ります。
成功率はマチマチなようで、本当に運が全てを左右するようです。
冬眠は大抵の場合6ヶ月以上に渡り、つまり1年の半分以上は寝てるってわけ、羨ましい。
翌年春に目覚めた亜成体達はさらに成長を続けます。
少し早めに上陸した個体は繁殖に参加できるという、成熟がめちゃくちゃ早い。
高地に生息している場合はそれが一年遅れるようで、もう少しばかり成長してから繁殖となるんですね。
地域によってはかなり遅い時期までオタマがいるみたいで、以前ヤフオクに出品されていた(!?)ものだと9月下旬の時点で前足が生えるか生えないかの状態でした。
おそらく繁殖シーズンの最末期までフィーバーしてたペアの子供なんでしょうが、いくらなんでも時期が遅すぎるよ…
そういえば、生き物は親が若いほど子が長生きするって話がありますね。
アレはカエルにも当てはまるんでしょうか?
もし実験できるならやってみたいところです(先ずは今いる個体の繁殖に成功してからですが)。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
次回(その2)では、ナゴダルの観察と飼育についてより詳しく掘り下げていきたいと思います。