野球県
「野球県」
香川県が「うどん県」を宣言したニュースが全国を賑わせたのを覚えているだろうか?あれは笑い話で済んだが、まさか他の県が真似をするとは思わなかった。数ヶ月前、岩手県が突然「野球県」を宣言したのだ。
「岩手県といえば野球!だって、大谷翔平の出身地だからね!」という謳い文句だった。しかし、多くの異論が出た。
「いやいや、野球といえば大阪桐蔭高校を擁する大阪府だろう。」
「ドカベンの出身地とされる神奈川県も忘れちゃ困る。」
それぞれの県が主張し始め、収拾がつかなくなった。そこで、都道府県対抗戦で決着をつけることになったのだ。各県は選手の補強に必死だった。
そんなとき意表を突くニュースが入ってきた。岩手県がポスティングで佐々木朗希を獲得。やられた〜!しかも北海道は大胆にも日本ハムファイターズを丸ごと買収する始末。そして宮城県は「逆ポスティング」という謎の手法でダルビッシュを獲得した。ちなみにダルビッシュは大阪出身だが、細かいことは気にしないらしい。
しかし、最大の問題は史上最高の選手、大谷翔平の取り合いだった。岩手県が「うちの誇りだ!」と主張すれば、大阪府が「金ならある万博もカジノも中止すれば10億ドル出せる!」さらに、海外からアーロン・ジャッジやブライス・ハーパーなども参戦すると噂され、ますます混沌としてきた。
そんな中、大阪府が「スタントン選手」を獲得と発表。驚きの声が上がったが、実際に出てきたのは、あのヤンキースのジャンカルロ・スタントンではなく、昔阪神にいた役立たずの助っ人、別名「打タントン」ことリロイ・スタントンだった。2019年に亡くなられているはずなんだが……。
さらに、謎の「詩人チーム」が現れ現場を混乱させた。メンバーには「大島健夫って誰だ」「佐藤ユーポピック、メジャーリーガーか」「蛇口、ふざけた名前だ」と、いかにも野球とは無縁そうな名前が並ぶ。
こうして始まった全国野球県大会。初戦の結果に注目が集まったが、いざ試合が始まると、多くの女子選手がグラウンドに立っていた。どうやら、多くのチームが野球と他のゲーム、つまりソフトボールと混同していたらしい。
結局、試合はまともに進まず、大谷翔平が「もう、俺ひとりで全部やります!」と叫ぶまで混乱は収まらなかった。結果、ただ一つ、岩手県が正式に「野球県」を名乗る権利を手に入れたことだけは確かだ。
その後、静岡がサッカー県を、奈良が蹴まり県を、埼玉が……え〜っと何だっけ? まぁ、とにかく名乗る宣言をした。