物語が必要だ

「物語が必要だ」という言葉を聞いたのは、もうずいぶん前です。

村上春樹さんが言っていたように記憶していますが、定かではありません。

初めて聞いた時は何と言うこともない言葉でしたが、暫くしていろいろな意味を考え始めました。


人は死にます。

必ず死ぬ。

好むと好まるとにかかわらず死んでしまいます。

死後はどうなるのか分かりません。

分かっているという人もいますが、私には分からない。

その分かっているという人の、分かっているという所が物語ではないのかと思い始めています。


死ぬことは避けられません。

そして一度死んでしまうと、殆どの場合は戻って来ません。

戻ってくることを想定して、土葬したりミイラ化させたりするという人もいます。

これもまた物語のなせる業ではないかと思っています。


一度、死ぬと戻ってこない。

だから死後のことは分からない。

たぶん。

無くなってしまうんだろうと思います。

肉体も精神も無くなってしまう。

存在しなくなる。

今まで存在していた自分が存在しなくなる。

それが死ぬと言う事だろうと思います。


そのことに耐えられないんじゃないか。

だから人は物語を作るのではないか。

そう思っています。


宗教も

科学も物理も

死後の世界もスピリチュアルも

死んだ後のことを、生きているうちに考えるために作られたのではないか。

そう思っています。


しかし人は死ぬ。

死後の世界は私には見えないし聞こえない。

だとしたら物語に生きるよりも、今現在を存在することを味わうような生き方も出来るのかもしれない。

無くなってしまうまで。

今を生きる。


物語は物語に留まりません。

人は意味や理由を考えます。

この性向も物語を考える思考が出来たからではないかと思っています。

意味は人の思考が作ったものではないか。

そう思っています。

2020/10/01

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