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人気の秘密は黄金期の週刊少年ジャンプ感!?ドラマ「半沢直樹」

9月13日のTBSドラマ「半沢直樹」がますます盛り上がって来ました。
以前に「半沢直樹」を現代版の忠臣蔵と例えましたが、それに加えて黄金期の週刊ジャンプ感が色濃く出ています。
なぜその様に感じたかをドラマの内容と共にご紹介したいと思います。
(ご参照;以前に「半沢直樹」を忠臣蔵で例えた記事はコチラ↓↓↓
併せてお読みいただければ幸いです)

今回のあらすじ(9月13日放送第8話)

「タスクフォース合同報告会」で、開発投資銀行と共に債権放棄を断固拒否した半沢(堺雅人)は、花(上戸彩)から智美(井川遥)が元銀行員で、かつて中野渡頭取(北大路欣也)の部下だった過去を聞く。
一方、大和田(香川照之)は「銀行員生命をかける」とまで言った債権放棄の受け入れの提案に失敗した紀本常務(段田安則)をここぞとばかりに追い落としにかかるが、逆に先の合同報告会が原因で中野渡頭取に参考人招致の噂があると突きつけられてしまう。政界のドン・箕部幹事長(柄本明)がついに牙をむいたのだった。紀本は政府とつながり一体何を企んでいるのか?
そんな中、帝国航空の山久(石黒賢)からタスクフォースの再建草案を見せられた半沢は、赤字路線の羽田・伊勢志摩路線が撤退リストから外されていることに気づく。伊勢志摩は、ほかならぬ箕部の選挙地盤であり、建設に尽力した彼の功績を讃え、地元では「箕部空港」とも呼ばれていた。
すべてのカギを握っているのは箕部だと確信した半沢は、あらゆる手段で手がかりを探す。 そんな中、黒崎(片岡愛之助)もまた箕部を追っていると知って…。
こうして半沢は、東京中央銀行が抱えるとてつもない“闇”の扉を開くことになるのだった…。
(出所;公式サイトより)

※以下ネタバレあり

前回はタスクフォースからつきつけられた債権放棄案を銀行側が辛くもつっぱねることができ、一安心。

しかし敵は手を緩めません。

中野渡頭取の参考人招致というカードをちらつかせ、あの手この手で銀行側を揺さぶってきます。

そんな中、ラスボス箕部と裏切り者の紀本常務との繋がりに何かあると踏んだ半沢たちはそれを調べるうちに銀行と箕部との過去の怪しい金の流れを見つけます。

そしてその件には中野渡や紀本、智美の元上司でもある以前自殺した牧野元副頭取が関わっていることを知るのです。

そんな折、半沢と大和田はついに箕部と直接対面。

牧野元副頭取が不正融資に関わっていたとする証拠をもとに中野渡への責任追及をちらつかせ箕部は半沢たちにこれ以上深入りしないことを約束させるのでした。

さらに箕部は自分のことをマークしていた金融庁の黒崎検査官も異動していまいます。

今回はラスボスの強さが遺憾なく発揮され、半沢たちを為す術がありませんでした。

ただ、半沢達もこのままで終わるわけはありません。

その点はまた次週以降のお楽しみです。

黄金期の週刊少年ジャンプ感

今回の「半沢直樹」を観て思ったことは黄金期の週刊少年ジャンプ感満載だということです。(ジャンプ黄金期は様々なご意見あるかと思いますが、ここでは1980年代後半から1990年台中盤までを指します。)

黄金期のジャンプ感とは

巨大な敵にかつてのライバル達が力を合わせて

負けても挫けず何度も立ち向かっていき

最後には勝利するという

という「友情・努力・勝利」の3大原則に則ったストーリー展開です。

「ドラゴンボール」を筆頭に「キン肉マン」、「聖闘士星矢」、「魁!!男塾」、「ろくでなしブルース」、「幽遊白書」などはどれも最初は敵として登場したキャラクターが戦いを通じてお互いを理解しあ伊(友情)、より巨大な敵の出現により一度は倒されますが諦めずに挑戦を重ね(努力)最終的には敵を打ち破る(勝利)というジャンプの3大原則に則ったストーリー展開です。

今回の「半沢直樹」は実に良く黄金期のジャンプ感を醸し出しておりますが、そのジャンプ黄金期を支えた少年たちが今大人になってちょうど主人公の半沢と同世代がリンクします。

大人になるにつれてどこかに忘れてきてしまったジャンプ魂を思い出させてくれる。

自分の代わりに半沢がヒーローになって「友情・努力・勝利」を実現してくれる。

そんなジャンプ黄金期世代の元少年たちの夢や希望を体現してくれているのが「半沢直樹」なのでは無いでしょうか。

最後に

ドラマ「半沢直樹」も残すところあと2回です。

ジャンプ的な発想ですと

半沢と大和田の仲間に黒崎が加わるのか?(友情)

銀行と箕部の闇の関係性は暴けるのか?(努力)

箕部との決着はいかに?(勝利)

が気になります。

また忠臣蔵的な発想ですと

半沢達のトップ、中野渡の信念や去就などが牧野元副頭取の自殺とどう絡んでくるのか?(切腹・敵討ちの構図)

箕部がどんな闇を抱えているのか?(箕部を倒す大義名分)

などに注目しながら残りの2話を楽しみたいと思います。

本日は以上になります。(了)









国土交通大臣の白井亜希子はその支援者である幹事長箕部の政治の力を使って金融庁を動かし、東京中央銀行に帝国航空の過去の融資に対する金融庁監査が入ります(その監査側の代表として黒崎が再登場)。

前回の融資の際に作成された帝国航空の経営改善計画が金融庁に提出したものと銀行に残されたものが違うことから吸ったもんだの展開に。

結局は銀行側の意図的な改ざんを半沢たちが暴くわけですが、実行犯は判明したもののそれを計画した黒幕が銀行内の誰であるかまでは今はまだはっきりしていません。

意図的な資料改ざんの責任から東京中央銀行は金融庁より業務改善命令を発出され、それにより金融庁長官に粛々と頭を下げる中野渡頭取の姿がテレビ中継で流れるのでした。

それを社内の大型スクリーンで観ていた半沢(と帝国航空債権回収チームのメンバー数十人)が頭取である中野渡にこの様なことをさせてしまったことを悔やむのと同時に、銀行内での裏切り者と金融庁を使ってまで今回の騒動を起こした政治家たちに「倍返し」を誓うのでした。

忠義と敵討ち
新渡戸稲造の著書『武士道』では「切腹」と「敵討ち」がなぜ合法的な制度とされたかについて言及しています。

「切腹」と「敵討ち」に共通する点はどちらも「誉(ほまれ)」つまり名誉を命よりも重きとする武士道精神が関係しています。

個人の恥や穢れを雪ぎ「誉(ほまれ))」を回復する方法として「切腹」という制度が設けられ、
主君や親の恥や穢れを雪ぎ「誉(ほまれ)」を回復する方法として「敵討ち」という制度が設けられました。

そして「敵討ち」は忠臣蔵というの作品を通じて武士道たる「忠義」を示す究極的な行為に昇華されます。

※ご参考;以前に新渡戸稲造の『武士道』について触れた記事になりますので併せてお読みいただければ幸いです↓↓↓


忠臣蔵とは
「忠臣蔵」とは18世紀初頭に起きた赤穂事件を元に創作された人形浄瑠璃や歌舞伎の演目で、現代でもドラマや映画に何度もなっている日本人に馴染みの深い時代劇の一つではないでしょうか。

赤穂事件(あこうじけん)は、18世紀初頭(江戸時代)の元禄年間に、江戸城・松之大廊下で、高家の吉良上野介(きらこうずけのすけ)義央[注釈 1]に斬りつけたとして、播磨赤穂藩藩主の浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)長矩が切腹に処せられた事件。さらにその後、亡き主君の浅野長矩に代わり、家臣の大石内蔵助良雄以下47人が本所の吉良邸に討ち入り、吉良義央を弑し、当夜に在邸の 小林央通、 鳥居正次、 清水義久らも討った事件を指すものである。(「江戸城での刃傷」と「吉良邸討ち入り」を分けて扱い、後者を『元禄赤穂事件」としている場合もある)
出所;Wikipedia「赤穂事件」より
「忠臣蔵」がここまで長きにわたり日本人に愛されるのは勧善懲悪に加えて「敵討ち」「忠義を果たす」といった武士道のエッセンスが色濃い作風だからではないでしょうか。

半沢直樹と忠臣蔵の相似点
今回のドラマ「半沢直樹」を観てなぜ「忠臣蔵」と重なって見えのか、その理由と重なる人物を3つにまとめると以下になります。

①主君、トップの名誉が傷つけられた
→浅野内匠頭=中野渡頭取

②相手側に悪意がある
→吉良上野介=白井・箕部と銀行内の裏切り者

③家臣、部下がやり返す気満々
→大石内蔵助と赤穂浪士四十七士=半沢とチームのメンバー
相手により名誉を著しく傷つけられたトップの汚名を濯ぐために部下が「敵討ち」をするという構図が半沢直樹と忠臣蔵で非常に似通っていると感じた次第です。

すり替えられてしまった論点
そもそも半沢たちは何と闘っていたのでしょう?

半沢が属するのは帝国航空の債権回収チームですから債権をできる限り多く回収することが目的であり、そのための手段として自力再建を選択したわけです。

一方白井大臣主導のタスクフォースは政府の人気取りが目的であり、債券カットは手段ということになります。

目的が合致しないわけですから建設的な話し合いになるわけがありません。

(そんな両者に振り回される帝国航空もかわいそうですが)

それでも半沢たちからしてみればタスクフォースの要求は銀行の利益と真っ向から対立するわけですから対決姿勢を明らかにしてきました。

つまりこれまでは

債券カットさせたい政府VS債権回収したい銀行
タスクフォースVS半沢チーム
という論点での対決構図でした。

ただ、これでは銀行や半沢が圧倒的に不利な立場な上に債権をカットするか回収するかの水掛け論で政府やタスクフォースを倒す必然性を感じません。

そこで必要だったのが今回の「中野渡頭取の謝罪」ではないかと思います。

これによって見事に

トップに恥を掻かせた敵役VSトップの名誉を回復させたい半沢たち
という「敵討ち」に論点に見事にすり替えられて、半沢たちは大石内蔵助と赤穂浪士よろしく「国家権力に立ち向かう忠義の人達」というラベリングが完成しました。

最後に
この論点のすり替えに対して善し悪しを語ろうとは思いませんし、勧善懲悪&敵討ちという日本人の大好物な展開に持っていくその手法には敬服いたします。

日本人の心に眠る武士道を奮い立たせるからこそ人気も視聴率も高いのでしょう。

ただ仕事柄やり方ばかりにこだわって本来の目的を見失ってしまうことが企業再生では往々にしてありますから、国と銀行の対決や敵討ちよりも帝国航空の企業ファーストな再建案が実行されることを切に願うばかりです。

来週以降も放送を楽しみにしております。(了)

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