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「声なき声」の代弁者として日本社会の「不条理」と戦った半沢直樹(ドラマ「半沢直樹」最終話より)

どーも中小企業診断士の「どばしんだんし」です。
ついにTBSドラマ「半沢直樹」が最終回を迎えました。
前回までの解説や予想も含めて、今回のあらすじをご紹介致します。
また、今作を通して半沢は何と戦い、何を得たのかについても書いて参ります。

第10話あらすじ

伊勢志摩ステートから箕部幹事長(柄本明)への金の流れが記された決定的証拠は、大和田(香川照之)と中野渡頭取(北大路欣也)によって箕部の手に渡ってしまった。怒りに燃えた半沢(堺雅人)は3人に対して1000倍返しを誓うも、帝国航空再建プロジェクトから外されてしまう。
頭取に裏切られ、バンカーとしての熱意を失いかけていた半沢だったが、森山(賀来賢人)と瀬名(尾上松也)に背中を押され、もう一度立ち上がることを決意する。そして渡真利(及川光博)と共に紀本常務(段田安則)の居場所を突き止めた半沢はある衝撃の事実に行き着くのだった・・・。
しかし、中野渡頭取が債権放棄を認める会見の日は目前に迫っていたーー。
はたして半沢はタイムリミットまでに箕部の不正を暴く決定的証拠を見つけ出し、バンカーの誇りと正義、そして銀行の未来をかけた全身全霊の倍返しを叩きつけることが出来るのか!?

※以下ネタバレあり

先週の放送をうけて

・半沢はどうなるのか?

・中野渡頭取が本当に闇落ちしたのか?

・箕部との対決はどうなるのか?

という点がどう回収されるかを楽しみにしておりました。

特に中野渡頭取の件は「忠臣蔵」になぞらえて予想をしていたので特に注目しておりましたが、予想が外れていなかったので嬉しい限りです。(前回第9話を元にした記事はコチラ↓↓↓)

ただ、まさかあの人が味方になるとは予想だにしていませんでしたので良い意味で期待を裏切られました。

かつての敵が仲間になっていくジャンプ黄金期を彷彿とさせる演出にノスタルジーを感じたと同時に、胸が熱くなった方も多いのでは無いでしょうか。(以前に半沢直樹とジャンプ黄金期について書いた記事はコチラ↓↓↓)

半沢直樹は何と戦い、何を得たのか

箕部との直接対決で半沢は「世論」をもとに債券放棄を求める政策的な矛盾を説き論破する場面があります。

確かに、業績が悪化し返済が苦しくても債権放棄など認められ無い企業が多くあるわけですから「大手企業を救う為には借金帳消しもやむ無し」というだけが「世論」ではありません。

この「世論」の他にも日本には「空気」や「雰囲気」、「当たり前」といった一種の

「圧力」

が存在し、日本人の思考や行動に大きな影響を与えています。

元来日本人は「空気を読む力」が高く、「阿吽の呼吸」、「秘すれば花」という様に「言葉は少なくとも通じ合っている」ことや「多くを語らないこと」が美徳とされた為、自分の意見を声高に表明したり皆と足並みを揃えないことはタブー視されてきました。

これは最小限のリソースでコミュニケーションが成り立ち、集団の意思決定が出来るので非常に便利かつ効率的な反面、多くの人の言いたくても言えない本音、「声なき声」が犠牲となって成立していることも忘れてはいけません。

そして集団の中で「声なき声」の犠牲があることを忘れ、集団よりも自己の利益を優先する人が現れたとき、日本的なコミュニケーションの良さは失われ、不平不満や不正の温床となり、その集団は内部崩壊を始めます。

作中でも中野渡頭取が証券会社に出向し銀行を違う視点から見た半沢に「外の世界から何が見えた?」と問い掛け、「大銀行の名にあぐらをかいた銀行の怠慢さがよく見えました」と半沢は答えますが、これはまさに「声なき声」を蔑ろにした集団の末路です。

ドラマ内に留まらず、現実世界でもこの様な「不条理」は至る所で起きており、半沢直樹はこの

「声なき声」の代弁者として日本社会に内在する様々な「不条理」と戦うヒーロー

でした。

この現実世界でやりたくても出来ないタブーを打ち破るヒーローの姿が多くの視聴者の共感と感動を生んだのだと思います。

願わくばこのヒーローにハッピーエンドが用意されていることを願うばかりですが、果たしてこの戦いによって半沢は何を得られたのでしょうか?

確かに不正を明らかにし、銀行の正義を守ることは出来たかもしれませんがその代償も大きなものでした。

銀行の正義は守られた一方、中野渡や大和田を失う結果となり銀行として、末は日本全体として果たして得たものと失ったものどちらが大きかったのか。

人間の性としてどうしても失ったモノの方を大きく捉えてしまいがち(行動経済学のプロスペクト理論)ですが、それを慮ってか中野渡は最後に半沢に以下の様な言葉を掛けます。

物事の是非は決断した時に決まるものでは無い。
評価が決まるのは常に後になってからだ。
もしかしたら間違っているかもしれない。
だからこそ今自分が正しいと思う選択をしなければいけないと私は思う。
決して後悔をしない為に!!
<TBSドラマ「半沢直樹」第10話より>

この戦いで半沢が何を得られたのか、

それは今の時点ではわかりませんし

評価も後世が決めることです。

ただ唯一得られたもの、

それは

後悔しない自分

なのだと思いました。

(以前「後悔しないこと」をテーマに書いた記事になりますので併せてお読み頂ければ幸いです。)↓↓↓

最後に

10話に渡るドラマ「半沢直樹」を見続けてきて、これほどまで役者さんの熱量を感じるものは個人的には他に見たことがありません。

もしかしたら熱量はもっと感じる作品はあるのかもしれませんが、今作は熱量だけではなく各役者さんのバックボーンから発っせられる技量と相まって、ドラマを見ていながら役者魂のせめぎ合いを見ていた気がします。

それもコロナ禍で限られた時間の中、いかに良い作品を作り上げるかという極限状態だからこそ生まれ得たものなのでは無いでしょうか。

例えば

・吉田羊の花屋さんの出番あれだけ?

・近藤はマレーシアで何やってんの?

・内藤部長がこれだけ出てこないってことは本部にいない?

・高坂と浜村の恋の行方は?

・電脳集団に出向した三笠と伊佐山はどうしてる?

などなど

本当はもう少し描きたかった部分もあったかと思いますが贅沢は禁物です。(いつの日か続編、もしくはスピンオフで見られる日が来ることを勝手ながら祈ってはいます。)

兎にも角にもドラマ「半沢直樹」

高い期待値をさらに上回る内容で最高でした。

これにて私の拙い文章も

お・し・ま・い・Death

「あばよーーーっ!!」(了)










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