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『ぼったくり』の語源と米騒動の意外な関係 歴史に学ぶ企業経営#5

どーも、中小企業診断士の「どばしんだんし」です。

 自分の好きなコンテンツ(歴史、マンガ、アニメ、ドラマなど)に絡めて企業経営に役立つ情報配信を(なるべく)毎日配信中です。

 7月23日、今日は何を隠そう?「米騒動の日」に認定されていますが、この米騒動と『ぼったくり』の語源が関係しているって皆さんご存知だったでしょうか?

 本日は

米騒動 ×  『ぼったくり』の語源 ×   三方よし

について書いていきます。


米騒動

米騒動とは
1918(大正7)年,米価騰貴が直接の原因でおきた全国的民衆暴動
第一次世界大戦に参戦以来,物価は高騰を続け,特に米価はシベリア出兵を見越した米商人・地主らの買い占めと売り惜しみにより1917年ころから暴騰(戦前の1升約12銭が'18年8月には50銭)。'18年7月に富山県魚津町の主婦たちが米価引下げを求めておこした実力行使(越中女一揆)を契機に,3か月にわたり1道3府38県70万人に及んだ。政府は軍隊を出動させこれを鎮圧。これにより寺内正毅内閣は倒れ,代わって原敬内閣が成立した。
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

 「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」はマリーアントワネットの有名な言葉ですが(ここでは真偽についていは深掘りしません)、当時の日本で食料といえば「コメ」しか無かった訳です。

 その主食の価格が3、4年で4倍以上になる訳ですから経済的な打撃は計り知れません。

 第一次大戦後の好景気による物価上昇や、仕事を求めて人材が都市部に流出し米を作る人材が減少していたこともこの米価の値上がりの遠因ではありますが、短期間でこれだけの価格上昇した直接の原因は「儲けのために買い占められた」ことが挙げられます。

 このことが民衆の怒りを買い実力行使につながったのが「米騒動」です。


『ぼったくり』の語源

 政府もただ単にこの様な状況を手をこまねいて見ていたわけではありません。

 1917年には買い占めなどを取り締まる「暴利取締令」を公布するなだ対応をするものの残念ながら効果はありませんでした。

暴利取締令とは
第一次大戦時の物価の暴騰に際し、買い占めや売り惜しみなどを抑制するために定められた農商務省令。大正6年(1917)公布。第二次大戦後、物価統制令に吸収された。
出典 小学館デジタル大辞泉

 この「暴利取締令」の「暴利(ぼうり)」が「ぼる」、「ぼった」、と略され、「ぼったくり」の語源になったとのことです。


三方よし

 『三方よし』とは「売り手よし」、「買い手よし」、「世間よし」の三つのよしのことで、直接商売に関わる売り手と買い手が満足すると共に社会にとっても有益な価値を提供できることが真の商売であるという近江(今の滋賀県)商人の心得です。

 目先の利益を追い求めるとどうしても無理が生じて「売り手」、「買い手」、「世間」のどれかにしわ寄せが行く為この三方よしは成立しません。

 『三方よし』を実現し、信用を構築することが商売を長く続けていく為には必要です。

 最近はゴーイングコンサーン(企業の継続性)やSDGs(持続可能な開発目標)などという言葉も浸透してきましたが、この様な言葉が生まれるずっと前から近江商人は商売の心得が「長期的な視点に立った信用作り」にあると分かっていたわけです。


歴史に学ぶ企業経営

 近江商人は『三方よし』の他にも商売十訓なるものがあります。

近江商人の商売十訓
①商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
②店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
③売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
④資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
⑤無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
⑥良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
⑦紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
⑧正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
⑨今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
⑩商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ

 今の世の中にも十分に通じる教訓ですね。

 今回の米騒動における買い占めや売り渋りだけではなく、目先の自分たちだけの利益に走った人間や組織が決して長生きできていないことは歴史が証明してくれています。

 長期的な視点に立って信用を得ることが商売の基本であり、組織・企業を長生きさせる心得でもあります。

歴史という先人たちの知恵を借りることで今を生きるヒントになれば幸いです。

 ご不明な点や疑問点などありましたらば何なりとコメント下さい。

本日もお読み頂き有り難うございました。


 


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