福島太郎さんの著書第3段『元宮ワイナリー黎明奇譚』を読んでみた
どーも、中小企業診断士の「どばしんだんし」です。
noteで繋がりました福島太郎さんの著書第3段
『元宮ワイナリー黎明奇譚』
を拝読しましたので勝手ながら感想などを書かせて頂きます。
著者紹介
まずは著者の福島太郎さんですが、公務員歴30年のベテランで
これまでの経験を元に
『公務員のタマゴに伝えたい話』
『公務員のタマゴに伝えたい話 第2集』
(略して『公タマ伝』、『公タマ伝2』)
を出版されております。
※その2冊を読ませて頂いた感想の記事はコチラ↓↓↓
この2冊を読んでいただければ
福島太郎さんが如何に公務員らしくないかがわかります!!
(褒め言葉です笑)
そして全てとは言いませんが少しでも福島太郎さんのような
「地元愛」に溢れ、
人と人との「繋がり」を大事にし、
「変態力(アブノーマルではなくメタモルフォーゼ)」が高い
公務員の方が少しでも増えてくれることを願うばかりです。
福島太郎さんの詳細はプロフィールをご覧下さい。
あらすじ
今作『元宮ワイナリー黎明奇譚』は大きく分けて
前半の元宮ワイナリーに関する部分と、
後半の12本のコラム部分で構成されています。
前半の元宮ワイナリーの部分は
著者の言葉を借りると
公務員 × ファンタジー
ということでどこからがフィクションでどこまで本当なのかはわかりませんが、
突然降って沸いた大手企業からの企画(と呼べるほど具体的ではない)を見事ワイナリーという形に昇華させたストーリーが、
とある公務員を主人公として主にその導入、立ち上げ部分にスポットを当てて描かれています。
次に後半のコラム部分は
著者自身は“駄文屋”と称しておりますが、
仕事やプライベートな日常の中から、
はたまた歴史的逸話や物語から、
様々な想いや考えをコラムにしており
12本どれも秀逸です。
特に白いゴールデンレトリバーの話しは
おもしろい
のでぜひご一読下さい笑笑
感想①仕事上で本当に大事なもの
今回は前半の「元宮ワイナリー」についての感想を書いていきます。
前2作と同様に今作も公務員のトリセツ(取扱説明書)的な要素が盛り込まれています。
私自身、公務員の方と仕事上などで接する際、
多くの方がとても優秀で真面目な反面、
どこか当事者意識が薄く、スピード感が足りないように感じていました。
これは成果や業績に対してコミットする「民間企業」と
安全や確実性に対しコミットする「役所」という
別々の世界に住む住人同士の異文化コミュニケーションであり、
むしろ噛み合わない方が必然なのだと今作を読んで尚更理解しました。
とは言えこのチグハグ感を解消しなければ異文化のコミュニケーションは前に進みません。
その為に作中で参考になるのが
・プライベートで共通の話題を見つける
・移動の車中などで畏まらず会話する
・お酒を酌み交わしながら対話をする
という点です。
ともすると民間業者との癒着を疑われ兼ねないので嫌がる公務員の方も多いかも知れませんし、そんな無駄話は時間の無駄という合理的な考えの方もいると思います。
ただ、なんだかんだ言っても会話をすればするほど相手との距離は縮まりますし(よっぽどのコミュ障でない限り汗)、好感を持つようになるはずです。
人間大なり小なり「好きな人には喜んで欲しい」という欲求がありますから、
お互いのことを理解し仲良くなることで貢献意欲が生まれ異文化コミュニケーションが円滑に運ぶのだと思います。
仕事をする上で一見非合理で必要なさそうに見えて実はとても大事なのが「仕事以外での会話」や、「一緒に過ごす時間」なのだと今作を読んで改めて気付かされました。
感想②問題解決のカギは人
今作は主人公が民間企業とのコラボ企画を如何に役所の人々に認めさせていくかが物語の山場となるのですが、当然ながら一筋縄ではいきません。
お役所ならではの
・縦割り行政
・前例主義
・ことなかれ主義
など様々な障壁と相対します。
その姿はさながら池井戸潤の小説の主人公、半沢直樹のよう!!
実際のビジネスでも問題解決の場面で活用できそうな手法を主人公が活用していましたのでネタバレに気をつけつつ2点紹介させて頂きます。
⑴上の人の力を借りる
→自分の力だけで難航しそうな交渉の場合、相手よりも立場や力が上の人を用いることでその交渉が有利に進められ、特に公務員のような縦割りの組織に属する人ほど効果的です。
ただ、いわば相手が折れたカタチになるので禍根が残らないようその後のフォローが重要。
⑵相手の不安を煽りつつ双方にとって良い解決案を提示する
→物事の進捗が滞っている場合、滞らせている人物のメリット・デメリットをよく理解し、滞らせることによる相手のデメリットを強調しつつ双方にとってメリットとなるような解決策を提示することで交渉を進めることができます。
作中では公務員がおそらく最も嫌がるであろう、「自分のマイナス評価になる」リスクをちらつかせた上でそれを解決するための手立てを伝え相手に気持ちよく滞りを解消させるシーンがあり、見応え十分でした。
この2点を通じて今作で1番勉強になったのは公務員の方々が「縦割り行政」、「前例主義」、「ことなかれ主義」など言ってはいるものの、それは表面的な問題であって結局物事がスムーズに運ばない問題の根本は
「人にある」
ということです。
だからこそ
相手が何をしたら喜ぶのか?
相手がどうすれば嫌なもの、不安なものを解消できるのか?
を把握する為にも
相手のことをよく知る
ことが重要なのだと思いました。
最後に
私事ですが20代半ばの頃約2年間転勤で仙台に住んでいる頃、
営業で福島担当だったので郡山も何度も行っていたこともあり、
勝手ながら著者の福島太郎さんにはシンパシーを感じておりました^^
またnoteの記事や著作を読ませて頂きそのお人柄やキャラクターにすっかりファンになってしまい、この度畏れ多くも著書の感想を書かせて頂きました。
拙い文章の上に、理解度が低く著者の考えと違っている部分もあろうかと思いますが、
おもしろい
ということが伝われば幸いです。
最後に今作の中で著者の性格を表すであろう素敵なワードがありましたので引用させて下さい。
「法は守るものではなく利用するもの」
本日は以上になります。
最後までお読み頂きありがとうございました。(了)