ボックスシート旅情、東武6050系がいなくなる日-それまでに。
ついに東武日光線栃木ローカル運用に20400型が投入されました。しばらくは6050系との共演が見られると思いますが、それもいつまで続くのか…。
本来6050系は「東武快速」として誕生し長年活躍してきたことは前回書きましたが、デビュー当初から「しもつけ」「おじか」「だいや」など座席指定制の快速急行にも充当されていました。同列車は1991(平成3年)年に急行へ格上げされ300・350系にその座を譲ります。また、2001年には臨時夜行列車や団体列車の運用も300・350系に譲り、余剰となった車両は新栃木以北の普通に充当され5050系を置き換えます。
同時に東武宇都宮線でもその姿を見ることができるようになりました。2005年頃までの同線はワンマン化される前で、吊り掛けの5050系から10000系列、当時最新形式30000系も運用に入ることもあり、大変に賑やかなものでした。
区間快速が新設された2006年ダイヤ改正では従前の急行列車の特急化、そして通勤電車に急行を設定することとなったのですが、鬼怒川線方面の急行と下今市で連絡していた「急行連絡」という名称も消滅しています。
様々な変革が起きた同改正で最も感慨深かったのは"準急"の消滅です。正式には改正後現在に至るまで準急は設定されていますが、ここでいう"準急"とは浅草から伊勢崎線・日光線方面を結ぶ主力列車のことです。
前回にも少し書きましたが、浅草初発の準急・東武日光行き、その送り込みとなる夜間上り4両編成の新栃木発準急・浅草行き、朝の浅草発快速の送り込みとなる早朝の新栃木初発となる準急・浅草行き、そして快速の運用を終えた夜間の帰宅輸送に充当される準急・新栃木行き・・・など、出会えるとラッキーなボックスシートの乗り得準急も楽しみのひとつでした。夜間の下り準急は北千住で積み残しが発生するなど厄介な列車でもありましたが…。(いずれも改正後に区間急行として、南栗橋分断や快速・区間快速廃止前まで存続していました)
さて、話は現在に戻りますが、現ダイヤで1本のみ東武日光発上りの急行・南栗橋行きが設定されています。2017年改正での南栗橋以北の急行・区間急行新設時は、上りはすべて区間急行でした。利用状況を鑑みてなのか今年6月の改正で区間急行を格上げする形で設定されています。
下りでは午前中に栃木以北を爆走する6050系を体験できますが、上り定期列車では唯一の存在。撮影時は雨、コロナ渦ということもあってゆとりある乗車率でしたが、平常でかつ行楽期であればかなり混雑する列車となるでしょう。この列車にも今後は20400型が充当される可能性があり、旅の趣が失われてしまうのは少々残念です。
いつかは日光線で活躍する6050系がすべて20400型に置き換えられる日も来ることでしょう。それまでの残りの期間、6050系が急行・区間急行で走る姿をしっかり目に焼き付けておこうと思います。
2017年改正前の快速・区間快速最後の旅の様子も後に記事にする予定です。
【写真解説】
1枚目:2020年11月1日撮影 南栗橋
2枚目:宇都宮線に充当される6050系 2005年12月28日撮影 野州大塚
3枚目:「急行連絡」という列車 2006年1月8日撮影 下今市
4枚目:準急時代の浅草初発東武日光行き 2005年9月18日撮影 栃木
5枚目:準急時代の早朝の浅草行き 2006年3月18日撮影 牛田
6・7枚目:発車を待つ上り唯一の急行 2020年10月17日撮影 東武日光