(読んだ気になれる)幸福の「資本」論
こんにちは。ネタバレをそこそこに、読んだ本を紹介していくブログです。今回は橘玲氏の「幸福の資本論」について書いていきたいと思います。資本論といえばカール・マルクス。それから100年以上が経ち、資本の考え方は大きく変わってきています。
この本では3つ資産と、8つの人生パターンがあると述べています。それぞれをざっくりまとめて、みなさんを読んだ気にさせたいと思います。とはいえ、本の中には非常に多くの内容が書かれていますので、興味を持った方は是非お手に取ってくださいね。
橘玲さんの本は非常に勉強になりますよね。このブログでも何度か取り上げたいと思います。さっそく見ていきましょう。
1.3つの資産とは。
[1] 金融資産。ようは財産。
[2] 人的資本。働いてお金を稼ぐ能力です。
[3] 社会資本。家族や友人などのネットワーク的な資本です。
金融知識のある方からすると「資産」と「資本」は別物だと思いますが、本書の中ではちゃんと関係を説明しています。気になればお手に取ってくださいね。
2.8つの人生パターン
上記3つの資産を持つ / 持たざるによって、人生のパターンがあります。計算の早い人は何パターンあるか気づいたでしょう。そう、8パターンです。見ていきましょう。
[1] どの資産も持っていない。貧困パターン。
[2] 社会資本のみを持つ、プア充パターン。友人同士の助け合いネットワークによって楽しい生活を送っています。そのネットワークからハブられると終わります。
[3] 人的資本のみを持つ、ソロ充パターン。結婚などに興味を持たず、自分の趣味に生きる人生です。
[4] 金融資産のみを持つ、退職者パターン。典型的な年金生活ですね。
[5] 人的資本と社会資本を持つ、リア充パターン。高収入な仕事につき、友人や恋人がいる人たちです。
[6] 人的資本と金融資産を持つ、金持ちパターン。個人投資家の方に多いようです。
[7] 社会資本と金融資産を持つ、旦那パターン。リタイア後に気前よく財産をばらまいて人気者な人たちです。...旦那ってなんだ?笑
[8] 全てを持つ、超充パターン。誰もがうらやむ生活をしている人です。ちょっと想像が難しいですね。
2.自由のための金融資産
目指すべきは全ての資産を手に入れる事ですが、果たして可能でしょうか?一つずつ見ていきましょう。まずは金融資産です。
どこまでいくと人は安心するのでしょうか。それは約1億円です。2つ目の資産でも言及しますが、経済学には限界効用の逓減という言葉があり、約1億円くらいまで貯まると人は安心し、幸福は飽和します(頑張って貯めてやろうという気を失います)。現在のマーケットでは株よりもリスクの低い債券にカネが流れて金利が低下している上に、マイナス金利やゼロ金利政策によって利回りが期待できな状況になっています。過度な期待をせず、全世界株への分散投資をしながら運用するのがベストのようです。
3.自己実現のための人的資本
上の金融資産でも少し触れましたが、給与に関しても「限界効用の逓減」が働きます。年収800万円を超えると、人の幸福は飽和し、逆に年収を求めすぎると幸福になれません。2010年プリンストン大学では7万5000ドル(当時は円高だったので日本円で630万円)で生活の満足度は頭打ちになるという研究結果も出ています。アメリカも地域によって物価の違いがあるので、あくまで参考レベルですが、感覚的に800万円あれば多少の贅沢をしながら生活ができる事はイメージできるでしょう。これは一人で生きる場合なので夫婦2人では1600万円です。累進課税の観点からも共働きで目指していくのが効率的でしょうね。
また、最近になって「ジョブ型の人事制度」という流行りワードがあるように、日本的な雇用形態が崩れようとしています。これから求められる人材は従来の日本のサラリーマンのようなゼネラリストではなく、スペシャリストです。自己実現のためにも本書では以下の事を提言しています。
「好きな事に人的資本の全てを投入する」
「好きな事でマネタイズ(ビジネス化)できるニッチを見つける」
好きな事、得意な事。自己実現において重要ですね。
4.幸福のための社会資本
社会資本。それは人的なネットワークという事でした。これは家族や血縁などの「強いつながり」と友人などの「弱いつながり」におおきく分類されます。社会資本を豊にするには「弱いつながり」を広くもち、「強いつながり」を極小化していく事にあります。上記の「自己実現」のところでも書きましたが、好きな事をマネタイズ化し、フリーエージェント化からの知的コミュニティという社会資本の獲得が重要であると説いています。大企業には生み出せないコンテンツやテクノロジーを楽しむという生き方で、アメリカではボボス(BOBOS:ブルジョワジー&ボヘミアン)という新しい生き方が生まれています。
5.最後に
このような生き方が現代の資本主義社会で幸福に生きていく方法の1つとして書かれています。実際、本書は非常に多くの示唆に富んでおり必見です。興味のある方はお手に取ってみてくださいね。