学歴ロンダ回顧録
自分は飽きっぽい性質で基本的に物事に熱中しないタイプである。ずっと同じことをやっているとなんか新しいことをやってみたくなったり、同じ環境にいるのもなんか性に合わず、しばらくすると新しい環境に身を置いたりしてみたくなる。
そんなんだからか急にやりたいことができたり、他大の大学院に進学したり、今までしてきた仕事とは全然関係の無い分野への転職を経験している。
今回は他大学の大学院に進学(所謂、学歴ロンダ)した経験を、そのきっかけから就活までだらだら書き連ねてみようと思う。正直誰かの役に立つものではないと思う。
転職編はまたいずれ書くかも。
マリアナ海溝くらい意識が低い学部生時代
高校生のうちから将来自分が就きたい仕事を思い描き、そのために必要十分条件となる大学、学部選びをしている学生はどれくらいいるだろうか。
少なくとも自分は「模試の偏差値がほかの科目より高い」、「直感で」という理由で物理学科を選んだ。物理は得意であったが、別に好きではない。物理学科で学ぶことがどういう仕事に繋がるのかなんて当時考えもしなかった。大学院は大変そうだし、学部卒で適当に就活するか~なんて思っていた。ここまで書いていて我ながらなんて意識の低い学生だったのだろうかと思う。意識が低すぎてマリアナ海溝の底にいたそんな私だが、学部3年生の時に大学院行こうと思うきっかけがあったのじゃった…
せっかくだし大学院行ってみるか!(失敗したらニート確定)
私がいた物理学科ではB3(学部3年生)から専門性に特化した科目を履修する。物理学科で深める専門性とは主に宇宙や物性、素粒子のことで、それらに関連する講義は多く用意されているが、物理学の王道から外れた異色な講義も少しだけある。そのうちの1つに「地球物理学」という講義があるのだが、この講義がきっかけで大学院進学を決めることになる。
多くの物理学徒の興味の対象は宇宙や物性、素粒子であり、"地球"は興味の対象外なのだが、楽単で有名な講義だったので単位稼ぎとして履修する学生が多く、私自身もそうだった。
しかし受講してみるとめちゃくちゃ面白い。「風はどのように吹くのか」、「この地域の気温はどうやって決まるのか」という気象現象が身近すぎるが故に考えたこともない事象を数式で支配できることに感銘を受けたのだ(この授業は気象予報士試験を受けるきっかけにもなった)。
元々、B3で就職を考えていたが、せっかく面白いと思える分野に出会えたし、修士行って気象学の研究してみっか!とノリに近い勢いで大学院進学を決めた。今思えば、この授業を受けるまで気象学なんて一切知らなかったし、就活もしておらず失敗したらニート確定路線だったのでかなり世の中を舐めている決断だ。しかも通っていた大学を検討せずに東大1本に決めたので結構リスクが高かったのではないかと思う。
結果的に非常に良い決断だったと思うので、何かに挑戦する際は舐めてんのか?と思われるくらい軽く考えてみていいのかもしれない。
1番大事!研究室選び
大学院進学を決めたはいいが、当時いた大学に気象学を研究している研究室はひとつも無かった(地球物理学の講義も他大学の講師に委託していた)ので、他大学の大学院に進学するしかなかった。
研究室探す際にやったことは主に2つ。1つ目は研究室訪問(2-3月くらい)、2つ目は院試受験者向け説明会&研究室紹介(3-5月くらい)への参加である。
研究室訪問では、気象を研究している研究室のHPを片っ端から読み漁り、気になった研究室の先生に個人的にメールして研究室訪問をさせていただくというようなことをしていた(「うちの研究室のどういうところに興味持ったの?」と聞かれて答えられなかったら印象最悪なので、訪問先の先生の論文を数編読んでから訪問していた記憶がある。今思い返せば非常に重要な事だった)。
院試受験者向け説明会&研究室紹介は、色んな大学で研究科単位で開かれるので、参加して興味のある研究をしている先生のお話を聞くということをしていた。
この研究室選びが今後の研究室生活の質を左右するのでかなり必死にやった。研究内容だけでなく学生やポスドクが何人いるか、論文は定期的に出しているか、どれくらいブラックか、指導教員と性格が合いそうか、就活にはどれくらい寛容か…等色々考えることはあった。特に指導教員と性格が合いそうかは研究内容より重視した。少なくとも修士の2年間は一緒に生活することになるため、合わなかったら絶望しかない。
院試対策は過去問ゲー
色々悩んだ挙句、東大のA専攻のX先生とB専攻のY先生の研究に興味を持ち、この2専攻を受けることにした。東大はテスト日程さえ被らなければ複数の専攻を受験可能だ。
2専攻ともに記述試験と面接があるのだが、記述試験は過去問で対策していくだけ。。。と思いきやA専攻の英語はTOEFL ITPを採用しており、別に問題集を買って対策した記憶がある。何にせよ記述対策は過去問とTOEFL用の問題集のみを解きまくって、間違えた部分を教科書などで復習するくらいしかしていないので特筆すべきことは無い。
面接対策は行きたい研究室の先生の論文を読みまくったり、自分がやりたい研究を具体的にして言語化できるようにしていた。これから大学院受ける人はとりあえず論文読んでやりたいこと決めていこうね。
言うて受かるっしょガハハハ→首の皮一枚で合格
A専攻は浅野キャンパスか弥生キャンパスのどこかのホールで受験した。数学や物理は特に問題無く解けたが、英語がかなり厳しかった。この会場、音がかなり反響するのである。英語のリスニングの音がホール内に反響しすぎて全然聞き取れず撃沈したのだが、試験後、東大内部生が「リスニング反響しすぎて全然聞き取れなかった🥲」と言っているのを聞き、差がつかないことを死ぬほど祈った。祈りが届いたのかA専攻の記述は通った。面接は記述試験合格後にあるのだが、一番最初に「試験どうでしたか?」と聞かれ、英語リスニング以外はまぁまぁできたっしょと思いつつ謙虚に「正直あんまできてないかもですぅ…」と答えたところ複数の先生がコクコク頷いていたので、どうやら全然できていなかった模様。数学や物理は問題なく解けたと書いたが多分嘘ですすみません(この専攻は依頼すれば点数開示ができたが面倒でしなかったので実際のところは分からない)。
B専攻は特筆することが無い。面接で「3分で喋れ」と言われたことについて1分で喋り終えてしまい沈黙が続いたこと以外は。
なにはともあれA専攻もB専攻も首の皮一枚で合格を貰った。4ヶ月悩んだ結果、B専攻に進むことにした。
バカも秀才もブスもイケメンも東大に行け
東大での研究生活は本当に素晴らしいものだった。東大行く決断をした過去の自分をヨシヨシしてあげたい。個人的には大学院進学に迷っている人には東大を選択肢に入れることをお勧めしたい。「東大?無理に決まっとるやろボケ!カス!○ね!!」と言いたい人もいると思うが、学部から入るのと比べると大学院から入るのとでは難易度に天と地ほどの差がある。もちろん大学院から入るのが楽である。気になったら興味ある専攻の過去問を見てみて欲しい。案外解けると思う。
東大に行って良かったと思えることを列記していく。(以下に記した内容は私の主観・意見でしかないことに留意されたい。すなわち、以下に記したことが東大の研究室や学生、先生の代表値ではないことに留意されたい。)
・研究資金が膨大すぎ
研究室や分野にもよるが、研究資金が膨大にあった。とりあえず○○買っとく?みたいな感じで結構な金額のサーバを購入していたり、1研究室に秘書が複数人いたり等、研究を妨げるハードルは全て金で解決していた気がする。PIが雑務することはほぼなかった。
上記にもあるが、資金力の有無は上記の通り研究室や分野による。金が無いところは無いようだ。(友人の出身研究室は学会のための出張費を学生が自費で払っていたらしい。。)
・先生、学生の人格良すぎ
学部生時代の学生、先生よりも圧倒的に人格が良い人が多かった。自分の周りにいた人がたまたまそういう人が多かっただけかもしれないが、学生同士が仲良くフォローし合い、指導教員は学生に対して積極にコミュニケーションを取って研究だけでなく、プライベートや就活についても相談事に乗ってくれた。
私は頭も人格も終わっているが、そんな自分でも素晴らしい方々に囲まれて楽しく生活できたし、皆の有意義なコメントのおかげで高い研究成果を出すことができた。
・就活強すぎ
東大理系院卒というカードは強い。就活ではほとんど負けなかった(上位のコンサルや外銀等はそもそも受けてすらいないが…)
肩書きは去ることながら、化け物級に頭が良い方々に囲まれて研究していく中で論理的思考能力やら何やら人事が評価する能力が鍛えられたのかもしれない。強い環境は人を強くする。
・コネ強すぎ
研究室の先生にもよるが、大企業の人事や役員へのコネが腐るほどある。コネをコネコネして大企業に入社する学生を何人か観測した。
まとめ(雑)
ざっとまとめると以下である。疲れて来たので雑にまとめている。
・新しいことやったり環境を変える時は気軽にやるくらいがよい
・研究室選びに力を入れよう
・大学院から入ると比較的楽
・東大めっちゃ良かった。メリットがたくさんある(ハズ)
みんなも素敵なキャンパスライフ送ろうね🤘