読谷村の「にくや」で「おばぁの謎肉スープ」の謎が解けた件
沖縄県那覇市内を車で走っていると「にくや」という精肉屋さんを通りがかる。沖縄県産の上質な肉を取り扱うお店だ。
「ボーナスが出たら、ここで上等なサーロインステーキ肉を買うんだ!」
と毎回思いながら、通り過ぎること約数年。
「いや、そもそもステーキってさ、自分で焼くよりプロに焼いて欲しいし」
そんな言い訳を自分に言い聞かせ続けている。
本当は、分厚い高級肉の調理方法がわからない。
それに、ボーナスが入ったら高級肉ではなく、先に支払うべきものがたくさんある。なんていうのは、情けなさすぎて口には出せない。
今考えてみると実家にいた頃は、牛肉を使った料理が定期的に出ていた気がする。
焼肉、カレーライス、すき焼き。
どれも「懐かしい」という感情を呼び起こすくらいに、定期的に食べていた。実家にいた時って、贅沢してたんだなって思う。
牛肉料理の思い出の中に、ひときわインパクトがある牛肉料理がある。
「懐かしい」ではなく「忘れようとしても、忘れられない!」という大きなインパクトがある味わいの料理だ。
兵庫県に住んでいた沖縄生まれのおばぁが作ってくれた(おそらく)牛肉を使った汁物料理。
当時の私は、まだ幼かったため、そのインパクトのある味が牛肉のものだとは思わず・・・。
見た目がアレで味が「未知との遭遇」すぎたので、当時の私は、「謎肉スープ」と呼んでいた。
本日は、そんな「謎肉スープ」の謎が解けるきっかけとなった精肉店兼食である「にくや」の話と、おばぁとの思い出を紹介しようと思います。
牛肉料理が堪能できる精肉店「にくや」読谷店
夢の高級肉を安価で購入することができ、さらには店内で食べることができるお店があります。
「にくや」の読谷店だ。
ある日のこと。
読谷村の残波岬に行く機会があり、58号線沿いに良い感じのお食事どころがないか探していました。
すると、読谷村の伊良皆に「にくや」の文字が。
淡いピンク色の建物に力強い「にくや」の文字。
Googleストリートビューで近づくとお食事メニューが書かれた看板が。
「え?ここ、精肉店じゃないの?」
そう思い、某食べログをのぞいてみると、分厚い高級肉を10枚ほど載せた「ステーキ丼」の写真が・・・。
焼き加減はレアくらい。
真っ白なご飯が見えなくなるくらい分厚いカットステーキがのせられていました。A1ソースらしきタレがベシャベシャにかかった写真が目に入る。
「こんなのウマイに決まってるじゃないか・・・!」
私の心の中の声が、「孤独のグルメ」の五郎さんの声に変換されました。
しかもステーキ丼の値段は1,020円。
え?この物価高騰の時代に?
他のメニューを見るとどれも1000円前後。
お店の経営状況が心配になるくらいに良心的な値段設定です。
「にくや」行くに決まってるじゃないか
ストリートビューで一目惚れした「にくや」。
そうだ、今度残波岬に行く予定があるから、その時に「にくや」に行こうと考えた。
いや、むしろ「にくや」に行くために、残波岬に行くのだ!!
そして、とある日の休日。
残波岬へ足を運んだ私は、その後すぐに「にくや」に直行。
残波岬公園の中をクタクタになるまで歩き回り、いい感じにお腹が空いていた。
牛汁そばに惹かれて
ピンクの外装が目印。建物の一階部分にある「にくや」。
「にくや」の店内に入ると、たくさんの美味しそうなメニュー写真が。
ステーキを食べる気満々でいましたが、パッと目に入ったのは「牛汁」の文字。
ちなみにこの時の私は、おばぁの「謎肉スープ」のことをすっかり忘れてしまっていたため、「牛汁」という文字を見ても「へぇ、牛肉の汁物メニューって珍しいなぁ」と、ぐらいにしか思っていませんでした。
「牛汁」かなり気になる。
ただ、「牛汁」って牛肉独特の風味がありそうで、全部食べれるかが心配。
だって牛肉の汁物ってカレーとか、ビーフシチューとか、スパイスで臭みを封じ込めたものが多いんだもの。
と、「牛汁」の隣に「牛汁そば」の文字が。
「そばだったら食べれそう!」
今考えると、「これなら食べれそう!」というものを、なぜわざわざ頼むんだろう、と思います。
絶対に美味しいってわかってるステーキを食べたらいいのに。
しかし、休日の私は「ここでしか食べれないもの」を食べてみたくなるクセがあった。
「牛汁そば」もその一つ。他の店ではあまり目にしないメニューだな、と思ったのです。
箸が止まらない牛汁そばの味
実物の牛汁そばを目にした瞬間、ギョッとしました。
大量のごろごろ牛肉と、牛肉の中身(内臓)らしきものがたくさん。
まだ麺をすする前から牛肉の強い風味が漂います。
思わず「おぉぅ・・・」と声が出ます。
しかし、どこか懐かしい香り・・・のような。
そんなことを考えながら、いざ実食。
麺をすすり、スープを味わいます。
「おぉぅ・・・」
スープに解け出した牛肉独特の風味は正直なところ「うまーい!!」というリアクションにはなりません。
しかし、なぜだか箸が止まらない。
ごろごろの牛肉はほろほろ柔らかく、中身はプルプルで食べても胃もたれしなさそうな感じ。
しかし、カレー粉などに邪魔されない牛肉特有の風味が、脳みそに直接届いているような感覚に襲われます。
それはもう、頭の奥の方で「モォォオ〜ゥ」と牛が鳴いているような気がするくらいに。
なのに、箸が止まりません。
「クセになる」とはこのことか!!
そして、頭の中では、幼い頃の思い出が鮮明に思い浮かんでいました。
おばぁの謎肉スープの謎が解けた瞬間
幼い頃の私は虚弱体質で、その年頃の女の子と比べるとガリガリで背も小さく、周りから心配されるほどでした。
そんな私が、おばぁの家に遊びに行くと、おばぁが毎食山のように高カロリーな料理を振舞ってくれました。
通常より1.5倍サイズのサーターアンダギー、とんこつラーメン顔負けの油こってり沖縄そば、大皿が山盛りになる量の天ぷら、肉の比率が高い野菜炒め。
そして、ガリガリだった私に「あんたは体が細いから、いっぱい食べなさい」と、お椀にたっぷりよそってくれた「謎肉スープ」。
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