【のらきゃっと論考】一石五鳥を落とすアイデア
以前の記事で、「Vtuberはキャラクター自身の素性を謎にするのが王道だ」という話をしたけれど、その正反対の戦略を取って成功を収めたVtuberもいる。今日はのらきゃっとの話をします。
ことの始まりはノラネコPの一連のツイート。
以前、ノラネコPのこれらの発言を受けて、
……と、視聴者とリアルタイムでやり取りする中で、どうしても設定やロールプレイに高い解像度が要求される場面があるのかなあと話していたら、後日、
……とのらきゃっとが新しい企画を始めたのだ。
おわかりいただけただろうか?
視聴者の興味の対象がのらきゃっと(キャラクター)部分に集中するからこそ、「もっと詳しく知りたい!」となってしまうわけで、視聴者の興味の焦点をキャラクターの外側、世界観に向けさせるのは実際理に適っている。
(しかも質問箱を利用するから、回答を用意する猶予も十分にある)
自分の外の出来事なら、彼女の知らないことがあってもいい。それに加えて、他人の言葉に誘発されてアイデアを思いつくことができるから、設定を考えるのもいくらか簡単になる。視聴者にとっても積極的にお便りを送るきっかけになって、しかものらきゃっとの世界観への没入感も高まる。もちろんノラネコPにとっても、待ちの姿勢で話題が増えるのはきっと嬉しいことだろう。
「アイデアは複数の問題を同時に解決するものだ」なんて格言もあるが、
一石で五鳥を撃ち落とすこのアイデアは私が今年見た中で一番の名案だ。
ボンド&モーゼズもかくやのニンジャ発想力に、私は感動を禁じ得ない。
余談
ただ、このアイデアを他のVtuberが採用するのは簡単ではないだろう。のらきゃっとの世界観・設定の強度が段違いなのは言うまでもないが、より肝心なのは、彼女の持つ世界観がなんとなく共有可能なものだったという点だ。
彼女の世界観の大枠はブレードランナーやニンジャスレイヤーといった既存の作品のオマージュで、彼女が一から十まで説明しなくても視聴者にはおおよそのイメージが共有されているが、ほとんどのVtuberはそうではないからだ。
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