「カジュアルで安心な専制君主」

九条林檎No.5はもはや単なる『バーチャル蠱毒の覇者』や『愛されるアイドル』というエンタメではなく、『(賢くて面白くて弁が立って優しい人気者による)専制君主制』というエンタメに足を踏み入れつつある。

「カジュアルで安心な専制君主」

……彼女はそう呼ぶに相応しいだろう。誰かが冗談交じりに彼女をヒトラーに例えたらしい(伝聞の伝聞なので信憑性は読者に委ねる)が、実際かなり的を射ているんじゃないかと思う。

ヒトラーの例だけだと絶対に余計なニュアンスが混じるから他に例を挙げると、カエサルの凱旋やナポレオンの戴冠や、その手の"国民を代表するアイドル"の一大イベントに例えてもいい。
信頼のおける『自分のことをよくわかってくれている、理想的な代弁者』に守られる安心感だとか、コール&レスポンスに参加する興奮だとか、エンタメ的な側面を取り出してみると結構よく似ていると思わないか?


ただ、私は危険性を訴えかけたいわけではない。
もっとエモーショナルな話をさせてくれ。


貴様らも好きだろう?



人の智恵 vs 人の性

九条林檎No.5がヒトラーやその他と決定的に違うのは、十二分な良心と良識をもって、ファンの妄信と暴走を予防しようと努めている点だ。

「くれぐれも我を教祖にだけはしてくれるなよ?」
「他の参加者もみな魅力的だぞ」
「ファンコミュは推奨しない」
「タワーは一日一本まで」
……etc.

彼女のファンならみな知っての通り、九条林檎No.5は考えうる限りの不健全な出来事を積極的に牽制し、ブレーキを踏み続けている。あくまで「カジュアルで安心な」コンテンツであり続けるために、努めて人の智恵をはたらかせているのだ。
実際、良心と良識とを兼ね備えた彼女のことを、私はかなり信頼している。

私に言わせれば、むしろ信頼できないのは人間の性の方だ。
(存命の人の中では)他に例を見ないほどのカリスマ性で人を魅了する彼女の前に、果たしてファンは言いつけを守って暴走せずにいられるのか。

人の智恵 vs 人の性、これほどまでダークライに邪魔をされたくない対決は滅多にない。……といった所で、『九条林檎』というコンテンツに対する私の新しい楽しみ方の紹介を終えたいと思う。

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