REALITY企画王感想
Twitterに書いたものをほとんど使いまわし。
審査基準は
・エンタメ性
・新規性
・コンセプトの良さ
・番組プロデュース力
・REALITYとバーチャルキャストの相互性
……とのこと(アーカイブ8分頃より)。
この情報が発表者たちに前もって伝えられていたのか、また予選審査も同じ基準で行われていたのかはとても怪しいものがある(後述)が、ひとまずせっかくなので私もこの基準で☆〇△をつけてみる。
インサイドちゃんMark2さん
最初からいきなり強そうな案が出て、「うちの推し大丈夫か? 決勝戦は全員がこのレベルの企画書を持ってきてるのか!?」と不安になった。
番組内容がとても具体的で(しかしそれ故に拡張性は少ない)とも言える、制作に必要な道具やツールが一切ないことからも、これは絶対にgdgdにならないだろうなと思える安心感がある。
拡張性の少なさという一点だけを除けば、正直、林檎様のプレゼンよりも良かったと思う。
エンタメ性:☆
新規性:〇
コンセプトの良さ:〇
番組プロデュース力:☆
REALITYとバーチャルキャストの相互性:〇
ラムダさん
率直に言うと、気の会う仲間とやる分にはとてもいい(内輪感がちょうど面白いくらいのニッチさ)けど、"番組企画としては"かなり厳しいものがあると感じた。
パラパラというニッチで拡張性のない題材もさることながら(例えばこれがダンス全般ならまた違ったと思う)、それなりに不特定多数の視聴者が楽しめるか?という点や、VRセットの動きづらさ、REALITYやVCを使う必要性など、リアルタイムに見ていても問題点が気になる。番組としてでなければ、決して悪い趣味ではないと断言できるんだけどね 。
エンタメ性:△
新規性:〇
コンセプトの良さ:△
番組プロデュース力:△
REALITYとバーチャルキャストの相互性:△
朝ノ瑠璃さん
トークがメインのよく言えば手堅く、悪く言えば散々出尽くした(特にVtuberの世界では)企画。
「無難に売れるモノを作る」という企画会議なら確実にナンバーワンだけど、「面白いと感じた企画を採用する」というコンテストではやはり難しいよなぁ。
エンタメ性:〇
新規性:△
コンセプトの良さ:△
番組プロデュース力:〇
REALITYとバーチャルキャストの相互性:△
よーへんさん
個人的には「予想以上にいつものよーへんさんだ! っていうかKarinさんが来てたのはそっちの応援か〜!」って気持ちになった。番組テーマもそれはそれは興味がある(私はVAV女優Karinの親友だぞ?)けど、「それなりに不特定多数に楽しんでもらえる企画か?」「わざわざ公開コンテストで選ばれるべき企画か?」と言うと、やはり厳しいものがあったと思う。
幸いにも今まで通りのやり方でも問題なくできる内容だったから、あくまでニッチな場でだけど、個人的にとても応援したい。
エンタメ性:△
新規性:△
コンセプトの良さ:〇
番組プロデュース力:△
REALITYとバーチャルキャストの相互性:△
フィオさん
感情的に訴えるものがあった(それもVtuberのメインストリームに入り込んでいれば入り込んでいるほど強く感じるタイプのやつだ)けど、番組企画のプレゼンとしては情報が不足していて、またどのようにして視聴者を積極的に楽しませるかという視点が欠落しているように感じた。
1時間で「テーマ発表、リスナーからの質問への回答、エントリー・審査」や「エントリー作品の発表、結果発表、モデリング」、「モデラー紹介、お披露目、記念グッズ制作」のそれぞれが本当に進められるかというと、具体的な説明がなければ絶対に無理だと感じてしまうし、視聴者として楽しめる番組だともあまり思えない。
衣装やデザインの制作や発表を題材にした番組という前例はないという意味での新規性はあるのかもしれないけど、「どうして今までなかったかっていうと、現実的にはそれはだらだらした配信に陥ってしまうからだよね」という意味での新規性はなし。
エンタメ性:△
新規性:△
コンセプトの良さ:△
番組プロデュース力:△
REALITYとバーチャルキャストの相互性:△
九条林檎様
私の推しティーンエイジャー。
プレゼン中に実演を交えたのはいかにも王道定石から学ぶ彼女らしい。
あの人はあの口調で喋るだけで迫力が出るからズルい(わざといつもよりも癖を強く出してたよね)
企画自体は大雑把に言ってしまえばミニゲーム集なのに、プレゼン内ではひとつしか紹介していなかったので具体的な詰めが不確か。リアルタイムではかなり不安に思った。
プレゼン自体は、たぶん林檎様の頭や心にある全体像のごく一部しか表現できていなかった(これは大きな改善点、或いは伸び代なんじゃないかと思う)ものの、プレゼン外の発言で大きく補えていたと思う。
「他の企画案はあるんですか?」「REALITYと組むメリットはありますか?」あたりは予期した通りの質疑応答なんだろうけど、裏テーマの部分はプレゼン後の雑談ではなくプレゼン内で話すべきだった。
特に、審査中にしれーっと言い放った「VCIを持ち帰ることで番組内での遊びを視聴者同士でも遊べる」の部分は絶対にプレゼン本編に入れるべきだった。林檎様の企画の一番の魅力ななのに、もったいない!
「視聴者同士でも…」はつーちゃんの企画にも言える内容ではあるんだけど(……というか他の多くのVR企画にも言えそう)、「バーチャルキャストの楽しさをみんなに知ってもらいたい!」を前面に押し出している林檎様が言うと破壊力が段違い。これは絶対にプレゼンに入れなきゃでしょ!
(……以上が昨日の時点での感想)
今日のShowroom配信で、「リハーサルで大幅に時間が超過したから、質疑応答に期待して話す内容を大きく削った」「雑談の時間を有効活用する前提だった」と種明かし。……かなり大胆な賭けだ。
エンタメ性:☆
新規性:☆
コンセプトの良さ:☆
番組プロデュース力:△
REALITYとバーチャルキャストの相互性:〇
審査員さん
ありがとう。
細部はもはや覚えていないけど、審査員の質問の鋭さはその背後にある評価軸の確かさを感じさせてくれるものだったし、「この審査員で大丈夫か?」という不安は一切なかった。
だからこの配信のMVPは、この公開コンテストの公正さ・信頼性を”視聴者にハッキリと実感させた”審査員三名の側だったと思う。
漫画やアニメなら、真の悪役が攻めてきたときに真っ先に人類を守って立ち向かうタイプの審査員だよ。本当に強い。
そんな3人に決定権を全部委ねた番組運営、あんたもエラい!
具体性と拡張性について
これが本当に悩ましいところで、企画に具体性があると聞いていて安心できる(この点でつーちゃんのプレゼンはズバ抜けて優れていた)反面で、ネタ切れやマンネリ化が起こりやすいリスクもある。
そして何より重要なことに、このリスクは短時間の審査では見落とされやすい(たぶん)。採用からしばらくして初めて、「これ本当に大丈夫?」と不安になるタイプの問題だ。
勝負は時の運
今回のコンテストで、具体的で安定したつーちゃんではなく、詰めが不確かだけど拡張性のある林檎様が選ばれたのは、この2人の企画・プレゼンの優劣自体よりも、他の4人の内容や順番も込みでの部分がとても大きかったんじゃないかと思う。
拡張性に問題を抱えたラムダさんのパラパラが2番目だったからこそ、審査員は拡張性の大事さを念頭に置きながら全員のプレゼンを聞いたというのがひとつ。
ふたつめは、「エンタメ性」「新規性」「REALITYとバーチャルキャストの相互性」という3つの要点を満たしているのが最初と最後だけだったおかげで、中の4人が候補として弱く、最終的に一騎打ちの比較になったこと。
林檎様の"ミニゲーム集”はつーちゃんの"ミニゲーム単体"にとっての上位概念で、一騎打ちになると相性がはっきりとついてしまう。「"カレーライス"と"食べもの"どっちが好き?」と聞くようなものだ。
審査基準への疑念
ここまで、私はあくまで冒頭にあげた5つの審査基準(司会者が口頭で説明し、テロップまで出ている)に従って6人の企画を自分なりに審査し、また3人の審査員も同様だっただろうけれど、そもそもの話として、この基準が発表者に前もって伝えられていたのか、そして予選審査でも同じ基準で選抜が行われていたのか、考えれば考えるほど怪しく思えてくる。
この基準に照らし合わせて考えるなら、つーちゃんと林檎様以外の4人の企画は、決勝戦に出たところで最初から優勝できる可能性はほとんどないし、そもそも趣旨にそぐわないものとして予選審査で除かれるべきだろう(アイデアはじゅうぶん魅力的なのに、審査基準を大きく外しているからだ)。……だが、現にこうして彼女らはこうして決勝戦に進み、胸を張ってプレゼンをした。
単刀直入に言って、この審査基準は決勝戦の配信が始まるまで出場者には知らされていなかったし、予選審査もこの基準とは無関係に行われたと考えるのが自然ではないか?
参加者全員が平等に知らされていなかったという点でアンフェアではないし、「面白い企画を募集します」と言って後から基準を具体化するのは嘘をついたことにもならないが、サッカーの全国大会で急に水泳を競わせるような大会は決して良い印象にはならない。参加者全員に失礼だ。
2019/09/24追記
REALITY企画王の評価基準とは別に、「バーチャルキャストそれ自体がエンタメや配信コンテンツとして面白いわけではない」という根本的な問題を改善するという意味でも林檎様のアイデアは優れているね。