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DNXの伴走者:創業経験を有する白石由己の伴走支援

みなさん、こんにちは。白石由己と申します。
今朝DNXが新たに発表した、B2Bソフトウェアの創業ベンチャースタジオ「DNX Studio」のニュースはご覧いただきましたでしょうか。DNX Studioが提供する3ヶ月〜6ヶ月の創業プログラムでは、起業家に対して1名のDNX Venturesの投資担当者が事業のテーマに応じてアサインされ、二人三脚で創業を伴走します。数ヶ月の限られた時間の中で、一緒に新たな事業アイデアを発散・取捨選択し磨いていきます。

私もDNX Venturesの投資担当者として、DNX Studioで起業家候補の皆さんと一緒に歩む機会をいただいています。私自身の創業経験や長年の起業家支援、キャピタリストとしての経験を活かし、新たな挑戦者たちをサポートできることを嬉しく思います。今回は、そんな私の経験と起業家支援に対する思いをお話しさせていただきます。

「教育×テック」で挑んだ30代の創業物語

私のスタートアップ世界との出会いは2002年にさかのぼります。当時、慶應ビジネススクールの大学院生だった私は、ベンチャーキャピタルの創設にインターンとして参画しました。起業家と伴走できる仕事に夢中になり、そのまま卒業後もVCの道を歩み始めました。その後、同VC投資先の経営者、社外取締役、そして共同創業者として、スタートアップの世界で20年以上を過ごしてきました。

私の専門領域は、ディープテック、ヘルスケア、そして教育です。これらの専門領域も、こうした経験を通じて自然と形成されていきました。

特にディープテックは、テクノロジーやサイエンスをコアにした領域で、私が以前所属していたバイオテックに特化したVCでの経験に根ざしています。サイエンスをいかにビジネスにつなげるのか、という挑戦的なテーマに私は強く惹かれます。ヘルスケア分野については、バイオテックVCでの経験と、その後の同VC投資先企業での経営経験が大きく影響しています。オーストラリアの上場企業への事業売却を実現した経験は、ヘルスケア分野のビジネスについて実践的に学ぶことができました。

そして教育分野では、新井豪一郎氏と共にCLEARNOTEを創業しました。日本の教育に課題を感じ、Edtechの領域で共同創業し、COO&CFOとして資金調達からシリーズDラウンドまで実施、11年後に大手文具メーカーへ売却しました。この経験は、教育分野での深い専門性を築き上げただけでなく、スタートアップ経営の全般的な知識と経験をもたらしました。起業の現場で直面する様々な課題や、事業を軌道に乗せるまでの苦労を身をもって体験したことは、現在の投資活動や起業家支援において大きな糧となっています。

社会を変える情熱と、ビジネスで成功する意志

私が特にご支援したいのは、日本の社会が抱える課題の解決に強い情熱を持ち、それをビジネスとして成立させる意志のある方々です。「パーパス」と「資本主義」のバランスを取れる起業家、言い換えれば、社会的インパクトを目指しながら、資本主義のシステムを活用して問題解決とリターンの両立を信じる経営者です。大きな社会的インパクトを目指す熱意を持ちながら、同時に資本主義のシステムを理解し、それを活用して世の中の問題を解決し、結果として関係者のリターンにつながるという野心を持つ人ですNPOや社会起業家ではなく、社会課題の解決を持続可能なビジネスモデルに昇華させたい起業家と一緒に歩んでいきたいと考えています。

創業からエグジットまで:リアルな経験が導く伴走支援

創業からエグジットまでの経験を得た私の強みは、スタートアップが直面する様々な局面で、自身の経験を客観視して抽出したアドバイスを考えられることだと考えています。CLEARNOTEでは共同創業者として、採用、営業、資金調達、コーポレートなど、多岐にわたる業務を経験してきました。また、いわゆるスタートアップで起こりうる「ハードシングス」をほぼ全て経験してきたのではないかと思います。そこに、今のDNXにおける投資経験が加わっており、その経験値が、他のVCにはない私の強みだと自負しています。

例えば、私が担当させていただいているROMSの代表 前野さんからは毎日のようにSlackでメッセージをいただきますが、自分が起業家だった時の経験を参照しながら、起業家である前野さんの心に届く回答を意識しています。社外取締役を務めているメダップでは、病院向けというGo-To-Marketに時間がかかる中で、資金の使い方や組織のありようなど、経営の勘所やスタートアップの落とし穴についてお伝えできるよう尽力しています。

私自身の創業経験とDNXが持つ知見を通じて、創業からミドルステージのスタートアップが直面する課題に関しては、実践的なアドバイスをご提供できるのではないかと考えています。私なりに起業家の皆さんに真に寄り添える支援をご提供したいと考えています。

High Alphaメソッド:体系的アプローチで不確実性に挑む

DNX Studioでは、High Alpha Innovation(以下HAI)のメソッドを活用して創業支援を行っています。HAIのメソッドとは少し異なりますが、私自身、CLEARNOTE時代には「デザインスプリント」を活用し、その有効性を身をもって体験しました。このメソッドはGoogle Ventures発祥の手法で、短期間で集中的にアイデアを具現化し、新規事業を検証するのに非常に役立ちました。この経験から、体系的なメソッドを用いることの有用性は、私も深く理解しています。

HAIメソッドは、より包括的で長期的な視点から創業をサポートする手法です。このメソッドを通じて、アイデアの創出から事業化、さらには成長戦略の策定まで、起業の各段階を効果的にサポートできると考えています。

ただし、起業した経験から、どんなメソッドにも限界があることも理解しています。起業成功の方程式とも言われるリーンスタートアップは、「大胆な計画のない単なる反復」(ピーター・ティール)とも揶揄され、ゼロからイチを生み出さないという批判もあります。つまり、大胆な発想と細かい改善を行ったり来たりすることの重要性、大きな構想を描くこととMVPを作ることのバランス、これらを適切に組み合わせていくことが肝要なのだと思います。優れたHAIメソッドの枠組みの中で、自身の経験を活かしながら、各起業家に最適なアプローチを提案していきます。

重要なのは、最終的な意思決定は起業家自身が行うということです。私の役割は、できる限り不確実性を見える化し、背中を押すことだと思います。HAIメソッドを通じて情報を整理し、それでも残る不確実性と向き合う勇気を持つこと。そこをサポートしていければと考えています。

「内なるマグマ」が起業の原動力

私は今年50歳になります。人生100年時代と言われる中で、人生の折り返し地点を過ぎたところです。振り返ってみると、自分の人生の中で起業にチャレンジできたことを心から誇りに思っています。それは、自分にしかできないことに挑戦できたからです。自分が生み出さなければ、その先はなかった事業を形にすることができました。大変でしたが、この経験は何物にも代えがたいものでした。

一方で、今すぐにもう一度起業するかと問われれば、私の答えは100%ノーです。起業には、ある種の「マグマ」のようなものが必要だと考えているからです。起業とは、あるときあるタイミングで生まれたエネルギーを持ってしてでしか表現し得ないものだと思います。世の中への怒り、それを変えたいという強い想い、そしてビジネスとしても成功させたいという野心。このエネルギーが、起業には必要だと思います。

DNX Studioは、そんな「マグマ」を持ちながらも、どう形にしていいかわからない方々をサポートする場所です。自分の中にあるエネルギーに向き合い、悶々としている人にこそ、ぜひ挑戦してほしいと思います。

私は新井氏という心強いパートナーがいたからこそ起業できました。一人で全てを背負うのは、さらに大変なことでしょう。だからこそ、DNX Studioという場で、志を同じくする仲間と出会い、互いに高め合いながら、新しい価値を生み出していってほしいと思います。

皆さんの中にある「マグマ」を、社会を変える力に変えていく。そんな挑戦に、私たちDNX Studioが寄り添い、サポートしていきます。ぜひ、一緒に未来を創っていきましょう。

DNX Studioに関心を持ってくださった方へ
詳細情報や応募方法については、DNX Venturesの公式ウェブサイトをご覧ください。皆さまからのご連絡を心よりお待ちしております。

(文・白石由己、編集/写真・上野なつみ)


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