シリーズB投資|シンプルフォーム
この度DNX Ventures(以下、DNX)は、法人取引における審査を支える情報基盤の提供、運用支援を行うシンプルフォーム株式会社(以下、シンプルフォーム)の総額約40億円(借入含む)のシリーズBラウンドに既存投資家として追加出資致しました。DNXとしては、2022年に同社のシリーズAをリード投資家として出資して以降、2度目の出資となります。
シンプルフォームが解決しようとしている課題、および提供するソリューションとは?
近年、国境を跨いだマネー・ローンダリングや特殊詐欺、サイバー犯罪などの非対面型犯罪が増加しており、規制が強化される中、企業側も対策に追われています。非対面取引で審査のみを強化すれば業務効率が落ちる、利用者の利便性が低下するという課題があるなか、規制対応と利便性を両立させる審査体制の構築が求められています。
こうした背景のもと、シンプルフォームはデジタル化が劣後している審査業務のDX化に向け、国内500万法人の定性情報を収集しデータベース化して、この情報を基盤とした法人調査プロセスを自動化する『SimpleCheck』と、法人のリスク情報の重要な変化をモニタリングする『SimpleMonitor』などのプロダクトを開発しています。法人取引における審査体制の構築・運用支援を行うプロフェッショナルサービスをはじめ、金融犯罪防止や業務生産性の向上を支援するプロダクトは金融機関やカード会社などで採用されています。
シンプルフォームはこれまで金融機関、プラットフォーマーを中心とした業界トップのお客さまに導入いただき、約2年で10倍の大きな売上成長を遂げています。約3,300名に上るユーザーさまが『SimpleCheck』に2日に1回以上の定期的なログインをいただき、日々の審査業務にお役立ていただいています。2024年6月に本格提供を開始した『SimpleMonitor』は、全国500万法人の最新の動きを示すデータに当社の分析・解釈を加えることで、お客さまのリスク判断に係る負荷を軽減し、判断の高度化や、迅速なリスク低減アクションが可能となる好事例が積みあがっています。また、正社員数は60名(2024年11月1日時点)となっており、今回調達した資金を活用し、更なる既存プロダクトの強化や、新規プロダクト開発、新規事業への投資、採用・組織体制強化を行っていく予定です。
今回投資に至った経緯
DNXが今回、シンプルフォームへの投資を決定した理由は、独自データベースを強みとした大企業からの強いニーズ、マーケット、経営陣をはじめとしたチームの強さです。
1. 独自データベースを強みとした大企業からの強いニーズ
金融機関の新しい足回りを目指し、創業以来、国内500万法人に関するデータを集め続けてきたシンプルフォームの独自データベースは、他社にはない大きな強みとなっております。このデータベースを基盤として、これまでに審査業務を支援する2つのプロダクトを開発、提供しています。1st productの『SimpleCheck』は、リリース以降、大手の金融機関やプラットフォーマーを中心に強い引き合いがあり、急速にトラクションを積み上げております。一般的に大企業、特に大手金融機関は導入に際して要求水準が高い場合が多いですが、同社のソリューションはすでに多くの日本を代表する金融機関に活用いただいており、また、導入後に大きくエクスパンションする事例も多くなっております。さらに、2024年6月より本格提供を開始した2nd productの『SimpleMonitor』も、金融機関の途上顧客管理の高度化に貢献しており、多くの活用事例が生まれております。このように、シンプルフォームの強みである独自データベースを活用したプロダクト群が、デジタル時代における最適な法人審査業務を行う上で必要不可欠なソリューションとなっていることが投資の意思決定を大きく後押ししました。
2. マーケット
シンプルフォームがアプローチしている法人審査の領域は、近年国内外で急増する特殊詐欺やサイバー犯罪などの非対面型犯罪に対して相次ぐ規制強化がなされ、多くの企業が対策に追われている状況です。一方で、国内企業では非対面型犯罪の分野で専門知識を持つ人材が不足しているという課題もあり、DXの名のもとにフロント業務の非対面化・デジタル化が進んでいるものの、審査業務は大きくデジタル化が遅れています。今後もこのような規制強化とデジタル化の流れが一段と進むことが予想される中、シンプルフォームが提供するソリューションの需要がますます強くなるものと考えております。
3. 経営陣をはじめとしたチームの強さ
シンプルフォームは、田代CEOはじめ多くの金融機関出身のメンバーがいます。審査業務のDXという金融業にとって根幹をなすソリューションを大手金融機関向けに導入する上で、金融機関が抱えるペインや業界知見、金融機関の社内事情など、深い業界理解が求められます。シンプルフォームはまさにそうした深い業界理解、業界経験が豊富なメンバーが揃っており、この領域のペインを解決するのはシンプルフォームのチームメンバー以外にいないという確信がもてたことも投資の意思決定を大きく後押ししました。
シンプルフォーム田代CEOからのコメント
最後に
近年、国内外では特殊詐欺やサイバー犯罪などの非対面型犯罪が急増しております。相次ぐ規制強化がなされ、多くの企業が対策に追われている一方で、法人審査業務はまだまだデジタル化が遅れている領域です。今回調達した資金を活用し、シンプルフォームが日本の法人審査をアップデートし、「すべての法人がフェアに繋がれる世界」を実現してくれることを期待しております。
(文・新田 修平)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?