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日本における年に一度のセミとクモの間の被食者と捕食者の相互作用と体のサイズの関係(Suzuki & Mukaimine, 27 Jan 2022)
抄録:セミの出現は,陸上食物網に多様な影響を与える主要な資源振動である.しかし,セミと捕食者の相互作用や捕食者の大きさに関する知見はほとんどなく,セミ-鳥類系に限定されているのが現状である.ここでは,日本におけるセミとクモの相互作用に注目した.直接観察およびインターネット上のSNSやブログへの書き込みから,(1)セミの捕食者であるクモの主要な分類群を明らかにし,(2)クモの餌であるセミの主要分類群を明らかにし,(3)セミとクモの餌-捕食者の体長関係を特徴付けることを目指した.その結果,コガネグモ科の大型造網性クモ〔ナガコガネグモArgiope bruennichiを含む〕がセミの主要な捕食者として同定された.クモは多様な種類のセミを捕食し,捕食者の種構成は多様であった.体長比については,クモは自らより大きなセミを捕食する傾向があった(捕食者体長比>1).このことから,造網性クモは年1回のセミの重要な捕食者の1つとして機能している可能性が示唆された.年1回のセミと周期的なセミは,異なる採餌モード(造網型または徘徊型のハンター)を用いる捕食者によって捕食されている可能性がある.このような捕食者-被捕食者間の相互作用をさらに検討することで,セミ-捕食者系の理解に貢献することが期待される.
Suzuki, Y., Mukaimine, W. 2021. Prey–predator interactions and body size relationships between annual cicadas and spiders in Japan, Journal of Natural History, 55(43-44), 2749–2760.
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