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コガネグモ属のクモの糸の装飾:パターン変異の集約と特異的シグナル機能(Walter, 16 Sep 2019)
クモの網に施された糸の装飾は視覚信号と考えられている.しかし,模様のバリエーションが多いため,単一のシグナル機能である可能性は低く,現在の文献ではしばしば矛盾した説明がなされている.そこで本研究では,網の装飾の形状が特定の機能を果たすのか,あるいは様々な配置が単一の機能を果たすのかについて議論した.私は,ナガコガネグモArgiope bruennichi (Scopoli, 1772)の絹の装飾形状の変化に固有の特性を,野外および不変の実験室条件下で研究した.その結果,ナガコガネグモは数日のうちに,しかも少ないパターンのレパートリーで,頻繁に装飾の形状を変化させることがわかった.この変化は予測可能なパターンに従っており,ランダムとは大きく異なることが,野外および実験室のデータから明らかになった.クモは2本線の装飾を好み,1本線の装飾を作るよりも全く装飾をしない.クモにとって形状は重要であるため,網の装飾のパターン変動が存在するにもかかわらず,単一の信号関数が存在するという考えを支持するものである.
Walter, A. 2019. Silk decorations in Argiope spiders: Consolidation of pattern variation and specific signal function. The Journal of Arachnology, 47(2), 271–275.
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