「大MOGRAファンコットまつり2022」閉幕、ファンコット軍人の選曲について
はじめに
2022年5月21日、土曜日。
「大MOGRAファンコットまつり2022」を秋葉原MOGRAで開催し、無事に終了することができた。
私たちの想像を超えるほどの人数が秋葉原MOGRAまでお越しになり、地下1階のフロアは常時人でいっぱいだった。
シャンパンボトルは2018年ほどではなかったが、それでも21本を空け、1階ラウンジの在庫は枯渇したと聞いた。
そのような状況でありながらも、イベント後に体調を崩したなどの報告は、現在まで特に上がることはなかった。
当日、他にも魅力的なクラブイベント・DJイベントが目白押しだったように思われるが、そのような中でも「秋葉原でファンコットを聴く」という選択をしてくださった皆様に、まずは実行委員会の一人として感謝したい。
本当にありがとうございました。
関係者の皆様へ謝辞
イベントが開催できたのは、ひとえにたくさんの人々の協力があったからに他ならない。
まずは、当日出演頂いたDJの皆様。イベントの趣旨を汲み取った選曲と盛り上げ方を、それぞれの得意な範囲で実践頂いたと思います。ファンコットを通して長い付き合いになりますが、今後とも変わりないお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
次に、VJのお二方、ふざけすぎだ……普段やりたくてもできなかったプレイを出来たのではないかなと感じています。6時間ほぼ任せきりにしていましたが、楽しかったとの声を多数頂いております。これからもファンコットを好きでいてくださると嬉しいです。
MCとしてほとんどの時間をブースとフロアで対応してくださったデス山さん。無茶な要求だったかなと思いますが、デス山さんのファンコットを楽しむ気持ちがフロアにも伝わっていたと思います。
フライヤーとタイトルロゴを手がけてくださった無想りんねさん、もう7年ほどの付き合いになりますが、毎度素敵なイラストをありがとうございました。イベントのイメージアップに大きく貢献頂いたと思います。
そして、実行委員会として、イベント運営に尽力したイベントスタッフの皆に感謝したい。至らないところがあり色々ご迷惑をおかけしたかもしれません。しかしながら、筆者一人ではこの規模のイベントを成功させるのは難しかったと感じています。本当に助かりました。
何より、私に会うたびに「まつりはいつやるのですか?」と声かけいただいたり、時々Twitterなどでまつりのことを書いてくださったり、なぜかひとりでにPVを自作する方がいたり、とイベントの開催を待ってくださった方、応援して下さった方が複数いらっしゃったことが、何よりの力となりました。
運営チーム「ファンコットまつり実行委員会」の代表として、改めて感謝いたします。
ファンコット軍人のセットリスト
ここからは、筆者GunjiDJの当日の選曲について、その意図などを解説したい。
私はクラブDJとしては上手な人間ではない…言い換えると「どこの現場でも通用するようなDJではない」と自己評価をしているのだが、今回「まつり」を開くにあたって、それ相応の気持ちを届けたいと思い、自分なりに今できうることを考えた。
フロアにどこまで伝わったか、独り善がりになっていなかっただろうかと思う気持ちもあるのだが、自己反省も兼ねてここに発表することにしたい。
Claris - コネクト
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」のOPテーマソング。
イベントでは2018年に筆者が趣味で製作したBootlegリミックスを選曲した。
1曲目からそれなりの大ネタで勝負するあたり、全くもって上手ではないDJであるが、それでも頭にこの曲を掛けたい気持ちが大きかった。
アニメを観るとわかるが、この歌には「親しき人との約束を忘れずに戦い続ける」というテーマがある(と筆者は解釈している)。
筆者は何度となく挫けそうになったが、「まつり」を開催するという「約束」を忘れることは無かったのである。
ちなみに選曲の意図の中に、今一部で話題のとあるFF10ネタの音MADは含まれていない。事実としてクラブハウスで聞くファンコットは気持ちよすぎるのだが。
福山芳樹 - 真赤な誓い
ニコニコ動画の弾幕でおなじみ(この例えも古い?)の熱い楽曲である。
こちらもアニメ「武装錬金」のオープニングテーマソングである。
イベントでは2019年に筆者が製作したリミックスを選曲している。
Dugem In Da VR・Race氏のリクエストで製作したという経緯があり、DIDVチームの次のDJということも踏まえて、2曲目に思わず選曲した。
この曲もまた、戦いや約束に対する気持ちを歌った曲であり、コネクトからの繋ぎにふさわしいのではないかと思ったのである。前日までゾンビランドサガと迷った
しかし、曲にこもっている思いが熱すぎたのか、ここで筆者は疲れを覚えてしまう。
イベント中盤の中、2曲目でこのテンションではフロアももたないのではないか!?
不安に思った筆者が次の曲に選曲したのは・・・
MAHO堂 - おジャ魔女カーニバル!!
落差が激しいぞ。
ご存知、アニメ「おジャ魔女どれみ」1期のオープニングテーマであり、発表から23年経った今でも色褪せることのない名曲である。
筆者が2018年に趣味で製作したリミックスを選曲した。
「おジャ魔女どれみ」というアニメ作品には基本的に「敵と戦う」という概念が無いのだが、作品の大きな軸として「子供の精神的な成長」がある(と筆者は解釈している)。
筆者はおジャ魔女どれみを通して道徳を学んだと言ってもいい(言い過ぎ)。子供に観せたいアニメのひとつとして、今なお良き思い出として残り続けている。
そんな素晴らしいアニメの冒頭に、子供の夢を描いたような感じの素敵な歌が流れる。
イベントは土曜日に催されたけど、きっと毎日が日曜日、MOGRAの中に遊園地。嫌な宿題は全部ゴミ箱に捨てちゃえ。
もしかして本当に、あの日の「まつり」では実現できていたのかもしれない。
ドキドキワクワクは年中無休。
ちなみに会社員が休みの日曜日にドキドキワクワクすることといえば、午後3時からテレビで中継されるあの国民的スポーツの観戦・・・
これについては後半に大きな比重がかかっているので、また改めて書きたい。
余談だが、筆者はこちらの曲のリミックスを過去数回にわたって取り組んでおり、本イベントで流したものは「およそバージョン4」となる。
五條真由美 - DANZEN!ふたりはプリキュア
アニメ「ふたりはプリキュア!」のオープニングテーマである。
2017年頃に筆者…の友達のDJ MAHO-SHOUJOという国籍不詳(?)のトラックメイカーが製作したリミックスを当日は再生した。
初代プリキュアは2004年に発表された作品だが、なんと現在も新作が作られ、実に19シーズン目(2022年当時)の大規模なシリーズとなっている。
それだけ偉大な作品であり、認知度が高いと判断したのと併せて、おジャ魔女どれみと繋げるなら、ニチアサの後輩であるプリキュアだろうと思い、選曲を実施した。
なお当該楽曲のファンコットリミックスには先駆者がおり、筆者…の友人によると、「本楽曲リミックスの先駆者であり、日本にファンコットをもたらした一人であったとある先輩に、敬意を示しながら製作した」との事である。
ちなみに、「プリキュア」で筆者はあの伝説的大逃げレースを想起するし、「ワラウカド」に「フクキタル」で、あのマチカネの名馬たちを連想する。
ただ単に筆者が競・・・これもまた後で詳しく書くことにする。頑張るぞ。えい、えい、むん!
姫川友紀(CV.杜野まこ) - 気持ちいいよね 一等賞!
ゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」のキャラクターソング…と称していいかは微妙だが、アイドルソングのひとつである。
2015年に漫画家の「新幹線と腕相撲をするおじいさん」……もとい、ファンコットのトラックメイカーとして国内外に多数のファンを持つshisotex氏が、ニコニコ動画にて発表していたリミックスを選曲した。
(本当はニコニコの動画を貼り付けたいのだが、削除されているようである)
後半の選曲にも関わってくることだが、筆者はスポーツ観戦を趣味としており、選手たちの活躍を応援することを楽しんでいる。
プロ野球を愛するアイドルである姫川の気持ちが、少しならずとも共感できるのだ。
また、本リミックスにはファンコット特有のダウンビート(曲のテンポが落ちて別ジャンルに移行し、最後にふたたびテンポを上げてファンキービートに戻る構成)を含む曲である。
先の4曲で力を入れすぎたのもあり、少し呼吸を整える意図で選曲したという側面もある。ジャイポンビートを通してフロアにいた皆様の呼吸は整っただろうか。
余談だが、筆者がデレマスを意識しはじめた頃に、まず最初に興味を抱いたアイドルは姫川友紀だった。私もやきう民なので。
その後、白坂小梅と運命的な出会いを果たし、しばらく彼女に狂い倒すことになるのだが、それはまた別の話。アイマスに競馬好きなアイドルはいますか?
乱数調整のリバースシンデレラ feat.彩宮すう
アニメ系のネタが続いたこともあり、少し変わり種を挿入したくなった。
漫才コンビ「霜降り明星」のツッコミ役として、はたまたフリップを中心に漫談を行うピン芸人として日本の芸能界を席巻する男、粗品の製作した楽曲である。
本イベントに向けて、筆者が趣味で製作したリミックスを当日選曲した。
まだ知らなかった人には、PVや歌詞と合わせて、「これが本当のどんでん返しというやつだ!!」と思ってしまう作り込みの高さを楽しんで欲しい。多彩なギミックに頭がやられてしまう感じがする。
本楽曲をリミックスの題材に選んだのは、楽曲の作り込みの素晴らしさもあるのだが、なにより氏がYouTubeチャンネルで、面白い試みをしているからに他ならない。
2021年の秋より、粗品……の友達の「生涯収支マイナス1億円君」が、毎週土曜日にYouTubeで日曜日開催される競馬のメインレースの予想を発表し、日曜日にその結果と感想を発表しているのだ。
これだけなら誰でもできることなのだが、氏は予想をことごとく外しているのだ。
特別穴狙いというわけでも無いのだが、買い方が極端なのか、だいたい3ヶ月に1回しか予想を的中させていない計算になる。
今や氏の本命に指名されることを「粗品の呪い」と称されてしまっている程だ。
ここまで競馬予想というありふれたコンテンツを、たった一人で、ひとつの一人芝居…エンターテイメントにまで昇華させた例を、他には知らない。
少なくとも「マイ億君」は企画・構成・出演・編集を粗品一人で行っている(※2022年頃に編集を外注するようになったとのことです)。
流石に、M-1グランプリとR-1グランプリという、2つの演芸のコンテストで優勝した経験を持つ、お笑いのトッププロはやることが違うと感じざるを得ないのだ。
これほどの逸材が筆者と同世代に存在していることが、誇らしくもあり、羨ましくもある。
そんな「マイ億君」を筆者も観ているうちに、スポーツを純粋に楽しもうというところから、徐々に極端な感情が湧いてくる。
どんなに期待していても、馬が思い通りに活躍できないこともある。
その時人はどのように思うのか。
もしも手元に大金を握りしめていたら……
……この楽曲に対して少し申し訳ない気持ちになってきた。原曲自体にはそういう要素はないのに。
もしも本人がこのリミックスを聴いたら、「ボケェイ」で済むのだろうか。
totsumal - Bailar Shogun
2014年に発表された、「暴れん坊将軍」をサンプリングしたインストの楽曲である。
シンプルな構成ながら、和太鼓とBailar(歪んだアシッドベース音)が響き、例の殺陣のメロディーが流れる、気持ちが昂るナンバーの一つである。
筆者はかつてあらゆる現場で本曲を選曲してきたのだが、そのほとんどで外れ知らずの印象だ。
先ほどの曲と合わせて、いよいよ隠しきれなくなった裏テーマを明らかにしようとしていく。
将軍は、「馬」に乗って現れる……。
そういえば、松平健は昨年JRAの重賞であり年末のグランプリレース「有馬記念」のキャンペーンに登場していた。
その名も「マツケンアリマ」。
マツケンサンバの替え歌を歌ったり、マツケンが自宅のテレビで競馬を観戦したり。
挙句の果てにはマツケンと有馬記念を観るのが目標の乙女ゲー(?)まであった。
筆者も当時遊んでみたのだが、選択肢を間違えるとマツケンが眠りさえ忘れて踊り明かしてゲームオーバーになり、そのたびに腹筋がちぎれそうな思いをしたものだった。
(ところでマツケンサンバのファンコットリミックスって存在するのかな)
ここまでで筆者はセットの中に、「本当にやりたかったこと」としての伏線を張り巡らせていた。
もう隠しようが無いので書くが、すべてはこの後に「競馬」を、「ウマ娘」を持ってくるための準備だった。
筆者は小学生の時にゲーム「ダービースタリオン」と出会って以来の競馬ファンであり(馬券を買い出したのはここ最近の事)、近年ウマ娘を通して様々な人が競馬への解像度を上げつつある状況を楽しんでいた。
「まつり」に競馬ファンがどれほどいたかどうかは定かではない……そもそも「まつり」は競馬のイベントではないので「競馬って何ですか」と言われても当然ではあるが、それでも筆者の中でどうしてもやりたいという気持ちが大きかったのである。
そして次の曲で、筆者はいよいよ文字通り、馬脚を表すのだ。
ライスシャワー(CV. 石見舞菜香) - ささやかな祈り
ああ、とうとうやってしまった。
メディアミックス作品「ウマ娘プリティダービー」のキャラクターソングであり、アニメ2期7話のエンディングテーマでもある楽曲である。
本イベント用に、筆者……の知人である「ファンコットを選曲する競馬騎手 ティケ豊」が個人的に製作したリミックスである。
(なお実在の競馬騎手との関係は無いとのことです)
筆者が競走馬のライスシャワー号を知ったのは、小学生の頃だった。
当時すでにライスシャワー号はこの世を去っていた。
何がきっかけだったかは朧げだが、自宅にあった競馬に関する読み物で、彼の生き様を紹介していたように思える。
何度競争しても追いつけなかった最強の二冠馬ミホノブルボンを、初めて追い抜かした菊花賞。
三連覇の期待がかかるメジロマックイーンをマークし、直線で追い抜きそのまま先頭でゴールした春の天皇賞。それから2年間に及び1着になれなかった、長いスランプ。
2年ぶりに出走した春の天皇賞で、直線で先頭に立ち、追いかける馬を抑えての1着。
その勝利が大きく讃えられた矢先に、グランプリレースの宝塚記念で故障して……
その儚くも印象深い生涯に、当時幼かった筆者はディープインパクト……もとい深い印象を受けた。
以後「結婚式の時にお米を撒くやつ」という意義を理解するまで、いや今なお、筆者の中でライスシャワーと言えば非業の死を遂げた伝説の名馬のことなのである。
2012年に放送されたJRAのCMも強烈だった。映像の格好良さと共に、ひとつのフレーズが心に突き刺さった。
「ヒールか、ヒーローか。悪夢か、奇跡か。」
(本当に格好いいので全員観て欲しい ウマ娘2期8話でもオマージュされていたCMです)
当時ライスシャワーに対する世間のイメージは、悪役の存在だったという。
ライスシャワーは関東(美浦トレーニングセンター)の所属だったこともあり、京都開催の1993年天皇賞・春では、当時関西テレビのアナウンサーだった杉本清より「関東の刺客」と称されていた。
しかし、ライスシャワーを所持するオーナーや、この日に向けて仕上げてきた調教師や厩務員にとっては、まごう事なきヒーローだったのである。
そして、1995年の天皇賞・春を制したことで、ライスシャワーは文字通りのヒーローとなったのである。
「おそらく、メジロマックイーンも、ミホノブルボンも、喜んでいることでしょう」
1995年天皇賞・春。重い怪我をもとに先に引退したライバルの名前を挙げながら、杉本清アナウンサーはライスシャワーのその走りを讃えた。
ウマ娘のゲームアプリで、ライスシャワーはメインストーリー2章の主役を務めている。
ライスシャワーの競走バ生活を、史実をモチーフにしながら描いたストーリーとなっている。
2回目の天皇賞・春で優勝した後のウイニングライブでライスシャワーが歌うのが、この「ささやかな祈り」という曲なのである。
筆者……の知人も、杉本清アナウンサーのようにライスシャワー号を讃える気持ちを持って、リミックスを製作したつもりである。
ちなみに本リミックスのイントロ・アウトロに流れるシンセフレーズは、インドネシアのポピュラー音楽「Cinta dan Benci」のサビから引用した(とリミックスした者が話していた)。
いわゆる失恋の歌(そういえばファンコットで人気のあるインドネシアの曲は失恋の歌が多い)なのだが、タイトルの意味は「愛と憎しみ」。
曲の意図からは少し離れているかもしれないが、ライスシャワーもまた、憎まれたり愛されたりした名馬だったのである。
そしていよいよ、私が一番本イベントで選曲したかった曲に移る。
うまぴょい伝説(WINNING LIVE 01)
ご存知「ウマ娘 プリティダービー」のメインテーマ?エンディングテーマ?と呼ぶべき楽曲である。
こちらは2021年夏に、筆者……の知人のティケ豊が製作したリミックスを当日選曲した。
(ティケ豊氏について、実在の人物との関係は無いとのことです)
(イベントで選曲した楽曲とは別バージョンです)
アニメやゲームアプリが好評だったこともあってか、歌番組でも歌われたり、競馬場で海上自衛隊が演奏していたり……
情報量の多いアイドルソング文脈、有り体に言えば「電波ソング」の文脈で制作された「うまぴょい伝説」も、一定の市民権を得ているように思える。
(海上自衛隊によるブラスバンドアレンジ、本当に素晴らしいので皆聴いてみて欲しい)
ただし筆者は、歌詞や曲展開の奇抜さだけでは、この楽曲はここまで広く知られることになったとはあまり感じていない。
もちろん曲自体の完成度の高さもあるとは思うが、それ以上にもっと大きな因子があると感じているのだ。
2021年3月。筆者はウマ娘のキャラクター一覧を眺めていたら血が滾ってしまい、ついついアプリをインストールしてしまった。
まだリリースして1ヶ月と経っていないタイミングだったと思う。
あまり課金せずにプレイするスタンスを取っていたこともあり、育成のURAファイナルズを攻略できるまで、数週間の時間を要した。スマートフォンゲームの宿命として、ガチャの引きに能力が左右されるのだ。
色々試行錯誤していくうちに、ついに私はURAファイナルズで優勝し、シナリオを攻略した。育成したのはサクラバクシンオーだったと思う。
ウイニングライブが始まる。曲目は「うまぴょい伝説」。
変な曲だな〜と思いながら聴いていたら、サビに入るところではっと気がついた。
「君の愛馬が! ずきゅんどきゅん走り出し(ふっふー)」
このメロディ、育成が終わる度に流れるやつじゃないか。
そう、ウマ娘プレイヤー、もといトレーナーは、知らず知らずのうちにうまぴょい伝説のメロディが刷り込まれていたのである。
歌が流れると共に、ウマ娘を通して積み重ねてきた思い出が、ばきゅんぶきゅん駆けていった。こんな思いは初めて。
大変に充足した気持ちを抱きながら、ウイニングライブを聴き終えたのである。
以来、筆者は「うまぴょい伝説」について、特別な感情を抱くようになった。
その思いが抑えきれなくなった筆者(の知人)はDAWを起動し、楽曲の耳コピを開始したのである。
先に述べた通り、筆者の競馬の原体験はゲーム「ダービースタリオン」なのだが、最初に触れたのは1997年リリースのプレイステーション版と、1994年リリースのスーパーファミコン版の2つだった。どちらも親戚が所持していたものだった。
遊んでいると、当時活躍していた名馬がライバルホースとして(SFC版は変名で)登場する。
もちろん先に述べたライスシャワーも天皇賞に出てきた記憶がある。
さらに凄いことに、ダビスタの攻略本を買うと、登場する種牡馬や繁殖牝馬の解説が記載されており、現実の代表産駒に関する解説まで掲載されていたのである。ゲームの本筋には関係ないのに!
かくしてゲームと書籍に触れた結果、筆者は90年代の名馬についてやたらと詳しくなってしまったのである。
以後、タニノギムレットのダービーから、時々テレビで競馬中継を観たりしていた。
ディープインパクトの三冠達成はこの上なく感動的だった。
ウオッカの牝馬ダービー制覇には、ただただ驚くばかりだった。
オルフェーヴルの凱旋門賞挑戦に、涙したこともあった。
2014年頃からDJ活動を開始し、日曜日に(だいたいクラブイベントに遊びに行ってたことで)テレビを観る習慣がなくなったことで、競馬を真剣にたどることが難しくなってきたのだが、それでも時折ニュースなどで名馬の活躍を見ては心が弾んだものだった。
そういう訳で、2021年にウマ娘のアプリがリリースされると知り、キャラクター一覧を眺めていたら、血が滾ってしまったのである。
名前を見たことがある、書籍やWEBページでその生涯を調べたことがあるウマが、ずらりとラインナップされ、美少女化されているのだ。
しかもそれぞれのキャラクターに、実際のウマの性格や勝負服の意匠、名前の意味や騎手の素質まで生かしたものになっているではないか。
このプロジェクトは相当に品質を上げてきたに違いない……
よくウマ娘は「競馬ファンをも唸らせる」と形容されるが、「馬券は買わないけどレースは観る」「ウマの血統表を眺めてニコニコできる」筆者は、十分に唸ったものであった。
そんな「ウマ娘」のテーマソングとして存在する「うまぴょい伝説」に、筆者はどうしても特別な感情を抱かざるを得ないのである。
ここまで書いてふと思ったが、DJのセットリスト解説というより、筆者の思い出話ばかりになってしまった。
リクエストフォームにて「できる限りセットリストの公開をして欲しい」とのご意見を頂いたこともあって、筆者のセットを公開しようと思い書いたのだが、果たして参考になるのか。選曲したトラックがそもそも過去に配布した実績のない楽曲ばかりというのもあるが。
しかしながら、筆者は「まつり」のDJセットリストを組むにあたって、曲の良さ以上に「思い入れ」をストーリー仕立てで語りたい気持ちになっていたのである。
果たしてこれがDJとしての正解かどうかはわからないのだが、少なくとも筆者が影響を受けたアーティストは、曲に対して一定の意味を、含みをもたせてセットを組み立てているように感じる。
そういうわけで、選曲の意図を語るとなると、思い入れの話にどうしてもつながってしまうのだ。「知らんがな」と言われて終わりや。
かくして筆者のDJセットはウマ娘でひとつの完結を迎えた。
しかし、まだ持ち時間が少しばかり残っていた。次のDJへのつなぎという側面も考慮し、もう一つ楽曲を選曲することにした。
Lia - 鳥の詩
ビジュアルノベルゲーム「AIR」のテーマソングである。
イベントでは、いわゆる「FLASHBIRD」というトラック名で知られる、大先輩Jockie "MASTA BASS"Suama氏が制作したBootleg Remixを選曲した。
(当時の録音がYouTubeにありました 1曲目です)
2018年の開催時にもB2Bユニット"Real megudeminA"が選曲していたとのことで、「まつり」のリクエストフォームにてもう1度聴きたいという意見が入った為、それに応える形で選曲した。
リクエストされた方はご都合が合わず当日いらっしゃらなかったとのことだが、筆者としても好きな楽曲のひとつだったこともあり、選曲に至った。
独特な美しいメロディーが印象的なナンバーで、筆者より上の世代のPCゲームファンにとっては文句なしの名曲として記憶されている。
本来なら「AIR」に関する思い入れも書くべきだと思うが、それに対応するのは難しい。
なぜなら筆者は「AIR」をプレイしようとしてiOS版をダウンロードしたのだが、神尾観鈴の声を聴くだけで泣いてしまったので、なかなかプレイを進められずにいるのだ。アニメも視聴しようとしたが同様の理由で中断してしまった。
ゴールすることはできるのだろうか。
おわりに
かくして、「大MOGRAファンコットまつり2022」を実施することが出来たのだが、終わった後に聞こえてくるのはこの声だ。
「大MOGRAファンコットまつり、次はいつやりますか?」
これについてすぐに答えを出すことは難しい。
しかしながら、本イベントで実現できなかった企画や座組があるのも事実であり、また一つの「約束」として叶えるべきものではないかと捉えている。
筆者もまだまだやり残したことがあると感じているので、少し時間はかかるかもしれないが、気長にお待ちいただけると幸いである。
今度は何の気負いもなくイベントができることを願って。
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