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小栗有以のエースを背負う覚悟の1曲 ~アイドルなんかじゃなかったら~
第1回目に取り上げるのは2023年9月27日に発売されたAKB48の62枚のシングル『アイドルなんかじゃなかったら』としてみた。
小栗有以が2018年5月発売の『Teacher Teacher』以来5年4ヶ月ぶり2度目のセンターを務めた楽曲だ。
少し発売までの経緯に触れると4つ前のシングル『根も葉もRumor』のセンターを務めたエース岡田奈々は男性スキャンダルを経て2023年4月に卒業した。そして3つ前のシングル『元カレです』1つ前のシングル『どうしても君が好きだ』のセンターを務めた小栗と同期の本田仁美も2023年8月30日に卒業発表している。
そのような状況の中、小栗有以が実に5年4ヶ月ぶりにセンターを務めることになったのがこの楽曲である。
小栗有以はAKB48のメンバーの中で唯一のゼスト所属である。ゼストはAKB48の創設者でありプロデューサーの秋元康が株主を務める上場企業株式会社KeyHolderの子会社である。
立て続けにセンター経験者が卒業する。そのような場面でAKB48のエースの座は小栗有以に託されたのである。
『アイドルなんかじゃなかったら』の注目すべき点はその歌詞だ。
アイドルなんかじゃなければ 好きだと伝えられるのに
初めての切なさ どうやって隠せばいい?
アイドルソングらしからぬアイドルが恋をする歌である。
小栗有以はインタビューだかMCだかで歌詞を初めて見た時はどんな気持ちで歌えばよいのか分からず戸惑ったと言っていたと記憶している。
また本人も春コンサート2024inぴあアリーナMM昼の部のMCでフルサイズでないと意味が伝わらないと言ってたが、この曲は1番だけ聞いていたら全く意味が伝わらない。1番だけだとアイドルを辞めて恋をしたいという曲になってしまう。
しかし、2番、落ちサビと聞いていくとようやく意味が分かる。
あんなにも憧れてた 歌って踊れる日々よ
燃えるような恋をしてみたいけれど
今じゃないってきっと神様が言ってるわ
アイドルになってよかった
卒業する時 言いたい
絶対 それまでは 誰も好きにならない
せっかく憧れのアイドルになれたのだから、スキャンダルを起こして卒業するよりアイドルを全うして「アイドルになってよかった」と言って卒業をしたいという決意表明の曲なのだ。
当時のAKB48のことを少しでも知る人がこの曲を聞いた時、誰もが「あれっ?この曲ってあの人のことじゃ」思ったはずだ。
現にケンドーコバヤシもラジオで歌詞をイジってくれており、柏木由紀がアイドルをやるぞという決意の曲だと否定している。
誰もが特定の出来事を思い起こすような曲を小栗有以にセンターで歌わせる意味は何か。
私は「小栗有以にAKB48のエースは任せた。お前だけはスキャンダルを起こさないでくれ」という秋元康の祈りが込められているのでないかと思う。
この曲をセンターで歌いながら万が一スキャンダルを起こしたらどうなるか。そのリスクを考えたら絶対に頼りにできる人にしか歌わせられない曲だ。
そしてセンター曲『アイドルなんかじゃなかったら』を引っ提げての日本武道館コンサートを迎える。初日の10月20日はこれまでのAKB48の歴史を振り返る内容であり柏木由紀の卒業発表という大事件が起こる。翌21日は公演曲のリクエストアワーという企画色の強いコンサートであった。
そして3日目のコンサートが『アイドルなんかじゃなかったら発売記念コンサート』である。
https://www.lvtimes.net/broad/51935/
日本武道館は当日券が余ってるくらいの客入りである。今のAKB48は残念ながら日本武道館を満員にする集客力がないのが現実である。そして、その日は過去のAKB楽曲の力を借りず、原則として2018年以降の曲だけでセトリを組むというチャレンジングな内容であった。歴史が長いAKB48のファンには過去の曲が好きというお客さんも多い。言い訳maybeや大声ダイヤモンドなどのライブ定番曲を披露しなければせっかく足を運んでくれた客に満足してもらえないかもしれない。
そのような中、コンサートが幕を開ける。
いつものovertureが終わり1曲目。
いきなりの『アイドルなんかじゃなかったら』である。
小栗有以の切なそうな表情から始まり、客がMIXやゆいゆいコールをする。
そして、落ちサビ後、いつもなら自己紹介時の撮っちゃうポーズをする部分で小栗有以が全力で「最終日盛り上がって行くぞ!」と煽りを入れる。
私の全身に鳥肌が立つ。観客のボルテージも1曲目からいきなり最高潮になる。エースとしてこのコンサートを迎えた小栗有以が1曲目からこのコンサートの大成功を確実なものにさせた瞬間だった。
そしてコンサート終わり、2日前に卒業を発表したレジェンド柏木由紀と小栗有以だけがステージに残る。柏木由紀が小栗有以に「これからのAKB48は任せたよ」と声をかけコンサートは幕を閉じた。
小栗有以はバックステージに戻ると大号泣していたとのことである。
(BAYFM 柱NIGHTwithAKB48 2023年10月22日 23時放送分)
https://program.bayfm.co.jp/akb/2023/10/
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『アイドルなんかじゃなければ』は、MVも良いがやはりコンサートで映える曲だと思う。
最初のMIX、「はいっ、せーの!」「フゥフゥ」などの定番のコールも入れやすくコンサートでとても盛り上がる。
また小栗有以は演技に力を入れているだけのことはあり、曲の流れに沿った表情での演技も見ものだ。
冒頭でアイドルの象徴とされているリボン付きマイクを置く際の表情やその後アイドルをするんだ決意する表情、大サビでの弾ける笑顔など1曲の中で様々な小栗有以が楽しめる。
上記の煽りも含め日本武道館での小栗有以のパフォーマンスはカラコンウインク初回限定版TYPE-Cに付属するBlu-rayで見ることができる。
ファンの方もそうでない方も是非一度見て欲しい。
アイドル?とか小栗有以?という方でも一度見てもらえれば確かにこの曲の小栗有以のパフォーマンスは良いねと思ってもらえると思う。
https://shop.akb48.co.jp/selection/detail/99043
コンサートの2ヶ月後、2023年12月8日18周年公演で行われたメンバー間投票によるMVPには小栗有以が選ばれた。
そして2024年12月31日大晦日公演で行われたメンバー間投票でも小栗有以はMVPに選ばれ2連覇をした。
・MVP賞
— 小栗有以 (@yuiyui_maromaro) December 31, 2024
・ベストリスペクト賞
頂きましたー!🥲🏆✨
今年も色んな事がありましたが
本当に周りの皆さんの支えで
色んな事を乗り越えられて
素敵な賞を頂きました…
なんといっても…
MVP"2連覇"うれしいー!!
やりきったと言える年になって
本当に嬉しい
心が報われた気持ちになりました😌#AKB48 pic.twitter.com/nmoHy8xk0K
2024年、小栗有以はシングル曲もアルバムリード曲もセンターを務めていない。にもかかわらず小栗有以が2年連続のMVPに選出されたのだ。
今のAKB48のエースはシングルのセンターをしていようといまいと小栗有以だということである。
『アイドルなんかじゃなかったら』は「AKB48の絶対的エースは小栗有以である」ということを決定づけたシングル曲になったのではないかと思う。
選抜発表
劇場披露
※自己紹介記事を貼っておきます。
俄かファンなものでして誤りなどがありましたらお教えいただければ幸いです。