用語解説集 02


1. イコライザー(Equalizer)
• 音の周波数帯域を調整するための機器または機能。イコライザーは特定の周波数範囲をブースト(強調)したりカット(減衰)したりすることで、音源の音質やバランスを整え、クリアなミックスを作り出すために重要です。イコライザーの調整によって、各楽器の分離を改善し、特定の帯域で発生する音の干渉を解消することも可能です。
2. コンプレッサー(Compressor)
• 音量のダイナミクス(音量変動)をコントロールするための機器。コンプレッサーは音量が一定の閾値(スレッショルド)を超えた際に自動的に音量を抑え、全体のバランスを安定させます。これにより、録音やミックスにおいてクリアで聴きやすい音像を作り出せます。特に、音のピークを制御し、全体の音を持ち上げることで、密度感や存在感のあるサウンドが得られます。
3. 基音(Fundamental Frequency)
• 音の最も基本的な周波数成分で、その音の高さを決定します。基音が音のピッチ(音程)に直結しており、楽器や声の音色の根幹を成します。基音がしっかりと聞こえることで、リスナーは音程やメロディーを明確に認識できます。
4. 倍音(Harmonics)
• 基音に対する整数倍の周波数成分で、音に独特の色合いや豊かさを加えます。倍音の構成や強さによって、楽器や声が持つ固有の音色が形成され、これにより同じ音程でも異なる音質が感じられるようになります。倍音をコントロールすることで、音色のキャラクターや響きを細かく調整することが可能です。
5. 音程(Pitch)
• 音の高さを示し、主に基音の周波数によって決まります。音楽では、音程がメロディやハーモニーの形成に重要な役割を果たします。正確な音程は音楽の聴きやすさや調和を決定し、各音源の基音が明確に聞こえることで、楽曲の整合性が高まります。
6. 干渉(Masking)
• ある音が他の音の一部または全体を覆い隠して聞こえにくくなる現象。特に似た周波数帯を占有する音が複数重なると、音が干渉してお互いの存在感が薄れます。適切なEQやパンニングを用いることで、干渉を軽減し、各音源が明瞭に聞こえるミックスを実現することができます。
7. 近接効果(Proximity Effect)
• マイクが音源に非常に近づいたときに、低周波(低音域)が強調される現象。特にダイナミックマイクや一部のコンデンサーマイクで顕著です。これを利用することで、声や楽器の音に温かみや厚みを加えられますが、過度な低音の強調を避けるためには適切な距離を取るか、低音域のEQ調整が必要です。
8. エンベロープ(Envelope, ADSR)
• 音の時間的な変化を示す指標で、音の輪郭や強弱を決めます。エンベロープは「アタック(Attack)」「ディケイ(Decay)」「サステイン(Sustain)」「リリース(Release)」の4つの段階で構成され、音が出現してから消えるまでの動きを示します。これにより、音の立ち上がりや余韻をコントロールし、楽器や声に独特の表現力を与えます。
9. ゲインステージ(Gain Stage)
• 各機材の間で信号の入力と出力レベルを適切に設定し、ノイズやクリッピングを抑えつつ、音の明瞭さとダイナミクスを確保するプロセス。ゲインステージを適切に行うことで、最終的な音質に大きく影響を与え、全体の音のバランスが整えられます。
10. ドライブ(Drive)
• 音に負荷をかけて歪みやサチュレーション(飽和)を加えることで、音を厚く、豊かにするプロセス。ギターアンプやサチュレーションプラグインで多用され、倍音が強調されて密度のある音像を作り出すことができます。
11. 倍音構成(Harmonic Contents)
• 基音に対して含まれる倍音の割合や組み合わせ。倍音構成は音色を決定する要因で、楽器や音源ごとに異なる倍音構成が独自の音質を生み出します。倍音構成を調整することで、音の質感やキャラクターをコントロールすることが可能です。

この用語集は、音響とミックスに関わる基本から応用までをカバーし、専門家や学習者が録音やミックスの技術を深く理解するためのリソースとして活用できます。

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