用語解説集 01
1. ゲインステージ(Gain Staging)
• 各機材を通過する信号レベルを適切に調整すること。音質とノイズレベルに影響し、クリアな音を保つために重要。過剰なゲインはクリッピング(歪み)を招き、不足したゲインはノイズの原因となる。
2. クリッピング(Clipping)
• 信号が機材の処理上限を超えることで生じる歪み現象。特にデジタル環境ではクリッピングすると波形が平坦化し、音が割れる。アナログ環境では、ある程度のクリッピングがサチュレーションとして利用されることもある。
3. 位相(Phase)
• 音波の周期的な位置関係。2つの音が位相が合っていると相乗効果で音量が増すが、位相がずれると一部が打ち消し合い、音が薄くなることがある。特にマルチマイク録音では位相管理が重要。
4. 位相差(Phase Difference)
• 2つ以上のマイクが同じ音源を異なる距離で捉える際に発生する位相のズレ。これにより空間感が生まれ、左右の認知に影響を与えるが、ズレが大きすぎると音が不自然になる。
5. サチュレーション(Saturation)
• アナログ機材(テープや真空管)で信号が飽和状態になり、自然な歪みが加わる現象。デジタル環境でもサチュレーションシミュレーションで暖かみや厚みを加える手法として利用される。
6. パンニング(Panning)
• ステレオ音像を左右に振り分けること。複数のマイク信号を左右に配置することで、リスナーに空間的な広がりを与え、音の定位をコントロールできる。
7. 横方向の認知(Lateral Perception)
• 音が左右のどちらから聞こえるかを感じる認知要素。到達時間の差や位相の違いが左右の広がりに影響し、リスナーが音の横方向の位置を感じ取る要因となる。
8. 反響音(Reflection/Reverb)
• 音が壁や天井に反射して聞こえる音。部屋の音響特性を反映し、録音に奥行きや臨場感を与える。遠くのマイクは反響音を多く拾い、自然な広がりを加える効果がある。
9. プロキシミティ効果(Proximity Effect)
• マイクに非常に近づくと低音が強調される現象。特にダイナミックマイクやコンデンサーマイクで顕著で、音に温かみを加えるために利用されることがある。
10. テープシミュレーション(Tape Simulation)
• アナログテープのサチュレーション効果をデジタルで再現するプラグインや技術。音に厚みや暖かさを加え、ヴィンテージ感を演出する際に使われる。
11. ヘッドルーム(Headroom)
• 信号がクリッピングせずに余裕をもって処理される範囲。適度なヘッドルームを残すことで、予期せぬ音量のピークにも対応しやすくなり、クリアな録音が可能。
12. 反射音と直音(Direct and Reflected Sound)
• マイクが捉える音は、音源から直接到達する「直音」と、部屋の壁などに反射して届く「反射音」に分かれる。直音は音源の細部を、反射音は部屋の音響特性を示し、両者のバランスが音質に影響する。
13. マイクプリアンプ(Mic Preamp)
• マイクからの信号を増幅する機器。信号レベルを適正に引き上げ、後の処理や録音機器に送る役割を担う。ゲイン設定により音質が変わり、録音の基礎を支える重要なステージ。
14. SSLコンソール(Solid State Logic Console)
• Solid State Logic(SSL)社製のプロ用ミキシングコンソール。音質や信号フローのコントロールが極めて高い精度で可能で、プロのレコーディングスタジオで広く使用されている。特にSSL独自のサチュレーションやダイナミクス処理が特徴で、音のクリアさと存在感を保ちながら、非常に高い柔軟性を提供する。
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