8km
広島市はコロナ禍前の2019年に、国内外から年間14百万人以上の観光客が訪れた都市ですから、郊外に広島空港があります。
私が広島に観光に行く時は新幹線か自動車を使うので、広島空港に乗降することはありませんが、どんな空港だろうと見に行ったことがあります。
案内に広島市内から50km離れているとあり、その時はバスで行きましたが、市街地からずいぶん遠い所にあると実感しました。
広島空港の地図を見ると、2kmから3kmの間隔で北を山陽本線、南を新幹線が走っています。
広島市は百万都市であり、広島空港の近くに鉄道の路線があるなら、空港に駅を設置して市街地と電車を往来できるようにすれば利便性も高まるのではないかと思って、ネットを見てると、広島県空港振興協議会と空港経営改革推進委員会の資料で鉄道によるアクセスを検討した箇所がありました。
資料を見ると、広島空港と鉄道を造って既存鉄道を結ぶなら、最短距離の鉄道地点と空港を結ぶのではなく、最寄り駅と結ぶことになるようで、新幹線なら東広島駅と、山陽本線なら白市駅と結ぶことになります。
概算事業費は新幹線建設で約386億円〜約1655億円、一般鉄道で約340億円となっていて、空港の近くを鉄道路線があっても、新路線を建設するためには巨額の費用がかかるものなんですね。
採算では、新幹線建設は投資回収見込みなしのため1992年に断念したようですが、白市駅からの延伸による山陽本線から広島空港への新線建設に関しては、2018年の検討で採算性の確保のためには、航空旅客数が1000万人〜1070万人必要と記載されてます。
広島空港の航空旅客数は2019年でも約290万人なので、現状では鉄道より道路によるアクセスを改善した方が、利用者と空港関係者にメリットがあるというわけでしょう。
そして鉄道は安易にできないと資料は示してくれました。
広島空港と白市駅間に鉄道を建設するとしたら距離は8kmとなっていて、空港のある近辺に一般の鉄道を造るなら、費用は1km10億円くらいかと予想しました。
しかし、百万都市の広島市と空港を直通する鉄道を造るとしたら、頼りない基盤のローカル鉄道ではなく、特急や快速が走れる強い基盤の鉄道が要求され、山間地域を通るためにトンネルや橋梁も必要で、空港に設置される駅も国内外から来る旅客を迎えるのにふさわしい最新の設備と外観がある方が良く、そのため1km40億円以上も建設費がかかるというわけでしょうか。
人口の少ない地方で、8kmのしっかりした鉄道路線と最新設備の駅の建設に340億円かかるわけですから、鉄道は造るのも維持するのも大きな費用がかかると、資料を見て実感しました。