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時間は水のように流れて

7月5日午前11時

心療内科の待合室。混んでいる。色んな人がいる。心療内科に来ているのだからみんな何かしら精神に不具合を抱えているのだろうけど、どう見ても元気そうな人もいる。目の前にいるおばさんは、心療内科にいる人にしてはお喋りがすぎる。さっきからずっと喋っている。
「5月に手帳の申請をして、8月に病院に届くと聞いたんですけどどうなってます?」と質問しているが、今は7月なのでおそらくはどうもなっていないだろう。

受付の人は「届いたら自宅にお電話しますね」と答えた。小慣れた対応だ。彼女はどんな病気を持っているのだろう。会計を済ますと丸みの目立つ身体をドコドコと揺らし何かを一人で喋りながら立ち去っていった。

わたしとは真逆の人間に見える。
わたしを"鬱"とするならば彼女は"躁"だろう。

まぁ、この病気はそれほどシンプルではないのでパッと見ではどうも判断はできない。もしかしたら時間帯によって気分が下がったり上がったり感情をコントロールしにくくなるようなことがあるのかもしれない。

"自分より元気そう"というのはあまりにも主観的すぎる。意味のない感想だしまず彼女に失礼である。もし身体を交換して彼女の人生を代わりに歩めと言われたらそれはそれで嫌だ。彼女は彼女で大変なのだ。
でも、どう見ても元気そうだ。

午前12時

"午前12時"というのは、"午後0時"のことで、"正午"でもある。書いてみると正午が一番しっくりくるが、正午というのは12時01分の1分間だけを指すのだろうか?正午12時5分というのは聞いたことがない。
普段なら"まいっか"と言って放り投げてしまう疑問だけど、今は暇なのでWikipedia先生に聞いてみよう。

正午(しょうご)とは、地方時において、天球上を一定の速さで動くと考えた平均太陽が地平線より上で子午線を通過(正中:南中または北中)する時刻をいう。地方時における昼の正12時を指す。


…うーん、分からない。"昼の正12時を指す"。しか分からない。もう少し調べてみよう。

なるほど、"地方時"というのは時差の基準になる経度とか緯度のやつだ。日本だと東経135度が基準になっていると学生時代に習った。
つまりは昼12時が正12時で、子午線を通るから"正午"と言われているのだろう。つまり正午は12時01分のみを指すのだ。よかったよかった。勉強になった。


午後12時34分

診察に呼ばれた。

熊のような先生に「スナノさん、おかげんはいかがですか?」と質問されて少し過眠気味であることを話した。

時間は水のように流れて7月11日午後8時8分


体調が悪くて困る。診察を待つ間に"正午"という言葉の意味を調べていたのが金曜日で、今日が木曜日だ。
先週の金曜日は暑すぎた。10キロ歩いて帰ってきたのが完全に裏目に出た。内臓も皮膚も全てにダメージを受けてしまった気がする。
お喋りで元気そうに見える患者の悪口(悪口)を書いていたときはまだ元気だった。やれやれ。電車で帰れば良かった。

今日は雨が降ったり止んだりして湿度が高い。
エアコンを「除湿」に設定する。"冷房"と"除湿"は結局どういう違いがあるんだっけ?以前調べたような気がするけど忘れてしまった。

今月はエッセイを全然書けていない。

「書くだけでいいんだから書けよ」ともう一人のわたしが言う。わたしは「いや、意外と元気じゃないと書けないのよ」と答える。
「書けないっていう苦しみをエッセイに残せよ。それくらい出来るだろ?ていうか、それしか出来ないんだからそれをしろよ、シンプルだろ」
「…ハイ」

わたしは一人で会話する。

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