同じ地獄で待つ
地獄でなぜ悪い
星野源の『地獄でなぜ悪い』と『ばらばら』を交互に、たまにどちらかを連続で聴きながらこの文章を書いている。
第75回紅白歌合戦の源さんの歌唱曲が変更になった。
当初『地獄でなぜ悪い』を歌唱すると発表された時、わたしは2022年10月18日に放送された声優の中村悠一さんとライターのマフィア梶田さんがゲスト出演した星野源のオールナイトニッポンのことをぼんやりと思い出した。
2年も前なので細かい話は覚えていなかったが、マフィア梶田さんがとてもピュアに「地獄でなぜ悪い」を自分にとって一番の応援ソングだと仰っていたことにシンパシーを感じた記憶があった。
(ちなみにマフィア梶田さんとわたしは同い年だ。オーマイ。そんな風に見えないよ)
星野源のオールナイトニッポンは神コンテンツなので、Spotifyでいつでも聴き返すことができる。
マフィア梶田さんは「地獄でなぜ悪い」について次のように語っていた。(1:18:40くらいから)
"本当の閉塞感を知っている人にしか書けない曲だと思った。"
"地獄だと分かった上で、その地獄を楽しく生きていくというメッセージを感じた。"
"この人は本当の絶望をちゃんと知っている。"
"勝手な解釈だが、星野さんの曲にはストーリー性がある。そのストーリーと自分の人生を重ねて合わせて、ファンは曲を受け取る。その重ね合い方はそれぞれ違うが、何かしら重なるところがある、というところにすごくハマった。"
"ネガティヴだけど明るくて、ネガティヴなままでも前に進んでいい、と思えた。"
"何処までもはぐれものとして生きていくのは間違いない。それを肯定してくれる歌だった。"
そのメッセージに対して源さんは「" 嫌な場所だけど楽しんで生きていこうぜ "というよりか、こうするしかない!そうしないと死んじゃうんだって!という部分があって書いた曲なので、そういうところを受け取ってくれてよかった」と答えていた。
ばらばら
世界はひとつじゃない。ばらばらで一つになれない。わたしの地獄とあなたの地獄は違う。源さんの地獄とマフィア梶田さんの地獄は違う。えなこの地獄と赤見かるびの地獄は違う。みんな、そのまま何処かに行く。
だけど、どこかで重なっている。だから好きになる。わたしはこれからも「地獄でなぜ悪い」をたくさん聴くだろうし、聴くたびに、星野源にとっての地獄とわたしにとっての地獄を手に乗せて比べたりして、ネガティヴになったりポジティヴになったりするのだろう。
(体調によって、その日によって、変わります。)
いつでもどこかできっと重なっているから、源さんに付いていこうと思わせてくれる。
同じ地獄で待つ
紅白の歌唱曲が変更になったこと、基本的には残念だと思う。源さんにとって大切な曲だろうし、わたしにとってもそうだ。右目が見えなくなった時、この曲を聴いた。崩れ去って真っ暗になった右目に、地獄を重ねた。"生まれ落ちたときから、出口はないんだ。"
源さんの闘病中に書かれたこの歌詞は、多くの人を救ってきたと思うし、それはこれからも変わらない。
そして、NHKの演出の方が「地獄でなぜ悪い」が好きで、2024年の紅白歌合戦で星野源に弾き語りで歌ってほしいと依頼したという事実は嬉しく思う。
いつか笑って話せる日が来るかなぁ。どうだろう。それまでわたしもこの地獄で生きていられるだろうか。
ALWAYS MIDNIGHT. WW58
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?