ユーザーのマインドセットを使った製品デザイン
広大なモチベーションの空間で、顧客の位置をつかむために
エスター・ニタファン Esther Nitafan
メルボルンのデザインゼネラリスト
Design your products around mindsets, not just user personas
How to define where your customers sit on a vast scale of motivations.
ユーザーペルソナの問題点は、多くの場合、いくつかの仮定に基づいて特定された、ベルカーブの頂点に位置する平均的な人の説明に過ぎないということです。すべてのユーザーが平均的な人の気持ちに共鳴するとは限りません。そこで、次のような疑問が生まれます。
ペルソナがユーザー全体を表していると確信するにはどうすればいいでしょうか?
よくあるペルソナの表現は、次のようなものです。
山田花子
25歳
東京都港区在住
ネットに精通していて、スマホをよく見る
彼女はこの製品に対して
-「いい点をここに入れる」
-「残念な点をここに入れる」
これらのペルソナの組み合わせは無限に作ることができます。オーディエンスをグループに分けて、それぞれのグループの平均的な人物像ができるまで続けることもできます。
ペルソナができると、それを一つのカスタマージャーニーに割り当てしまうことが多いのですが、ペルソナは違う種類のカスタマージャーニーで使うことができますし、定義されたカスタマージャーニーを複数のペルソナで使うこともできます。主要なペルソナを中心としたマップができると、ユーザーエクスペリエンスの形が見えてきます。
このアプローチでは、重要でありながら、エクスペリエンスに当てはまらないユーザーを軽視してしまう危険性があることが問題になります。「エッジケース」と呼ばれるこうしたユーザーは、「難しい人」とカテゴライズされて、マッチする別の製品を探すことになります。
ユーザー層を特定しすぎたデザインは、ユーザーに疎外感を与えてしまいます。
幸いなことに、包括的なデザインをするためには、よりオープンなアプローチがあります。試して見ていただきたいのは、ユーザーを、製品に対する基本的な動機と結びつけた尺度でをマッピングする方法です。
マインドセットセグメンテーションが機能するのは、まさにこのあたりです。マインドセットセグメンテーションは、行動の傾向を特定するのに十分な幅広さがあります。ペルソナを名前や年齢、性別や、その他の決まった属性で規定することなく、対象者を対照的な感情面のニーズとウォンツに基づいた4つのアーキタイプに分けるやり方です。
私は以前、ダークハウスコミックスのUXのケーススタディについて書いた記事の中で、このフレームワークを使ったことがあります。デザインイノベーションスタジオのフィヨルドは、銀行での体験や、顧客にお金に関する態度をより深く理解するために、マインドセットセグメンターションを使っています。銀行のプロジェクトにおいて、マインドセットセグメンテーションを使うことはとても理にかなっています。インターネットにアクセスできる成人は、ほとんどの人が銀行口座を持っているはずですから、それぞれのタイプの人に合わせて多数の商品を提供することはほぼ不可能でしょう。
https://mindsets.fjordnet.com/reaching-the-mindsets
この4つのペルソナでは、年齢、性別、世帯タイプ、収入などの属性の内訳が明確になっています。
https://mindsets.fjordnet.com/the-four-money-mindsets
マインドセットセグメンテーションは、ある考え方に対してペルソナをどうやって割り当てるかを検討するための足がかりになります。ペルソナに考え方を割り当てるのとは逆のアプローチです。
高構造は...
ステップ・バイ・ステップの手順
秩序と論理的推論
目が肥えている
前もっての情報を好む
低構造は...
最も抵抗の少ない経路
即興
知覚する
探索
広い範囲は...
長期投資
先見性
目標設定
大きな計画
狭い範囲は...
目先の満足
摩擦の少ない
自発的な
その瞬間に生きる
議論になる態度
高構造×低構造という尺度は、積極的×受動的の態度を表しています。高構造の行動とは、過去の経験に基づいて、製品がどのように振る舞うべきかについて先入観や期待を持ち、現在の瞬間にその論理を適用することだと言えます。一方、低構造の行動は、「流れに身を任せる」という感じで、現在の経験や感情によってオープンな考え方に導かれます。
広い範囲×狭い範囲 - その時点からの期待値
広い範囲×狭い範囲の尺度は、将来の責任と現在の必要性を比較して考える傾向を表しています。広い範囲の考え方には、将来の出来事を予想に基づいて、事態に慎重に臨む傾向があります。行動が、将来の希望に沿っているかどうかを確かめることで、不安が解消されます。狭い範囲の行動は、ある時点での行動の結果も意識しますが、その行動は戦略的というよりはむしろ戦術的な方法で行われることが多く、「橋があるなら渡ればいい」という考え方で不安を最小限に抑えています。
次のプロジェクトでマインドセット・セグメンテーションを使うべき理由
マインドセットセグメンテーションは、どこに一番注意すればいいのかをつかむのに役立ちます。
逆の行動パターンをスペクトルの両端にプロットすることで、特定の反応を促すために、どのように情報を提示するのが最適かを判断できるようになります。
すべての行動には、同じ反応と反対の反応があります。問題を明確化する際に、このプロセスが触媒として機能します。問題提起のきっかけができて、適切な質問をして仮説を立てることにつながります。そして、最終的にテストを通してユーザーから学ぶためには、どの機能を重視するべきかを決断できます。
例えば、低構造×狭い範囲のタイプの人があなたのEコマースストアを訪れたとします。そのとき、こんな疑問が湧くかもしれません。
探索的なUXで誘導されるのが好きなユーザーを、どのようにサポートすればよいのか?
これに対しては、以下のような前提が考えられます。
履歴データ(ユーザー自身の閲覧履歴や似たような背景を持つ他のユーザーなど)に基づいて関連する情報を表示することで、より多くの探索を促し、コンバージョンを高めることができる。
このユーザーは購入する気満々で来たわけではない。明確な方向性を示して、製品の利点や価値提案をタイムリーに表示することで、製品の購入促進ができるようになる。
マインドセットセグメンテーションは、ペルソナよりも早く、あなたとチームを同じページに導くことができます
ユーザーの製品購入の動機をサポートするデザインは、ユーザーとチームが会社の価値観との結びつきを強化するのにも役立ちます。チームは、様々なペルソナの名前、顔、シナリオ、デモグラフィック属性をすべて記憶するのに費やす時間を減らすことができます。ペルソナは、マインドセットセグメントをより詳細に見るための基準点として機能しますが、チームはさらに一歩踏み込んで、多様な感情的なニーズやウォンツ(欲求)をサポートするためのワークができます。
マインドセットセグメンテーションは柔軟で普遍的
状況によっては、この尺度のどこに入るかが全く変わってしまうこともあります。例えば、山田花子さんは、ある時点で狭い範囲から広い範囲に変わるかもしれません。恐らく、彼女の状況は、将来の投資についてもっと考える必要があって、通常の瞬間的な思考とは異なる視点を持つことも考えられます。このフレームワークを使ってユーザーをデザインすることで、様々な人々やシナリオを考慮したユーザーエクスペリエンスを実現することができます。
注意すべき点は
ペルソナは、プロジェクトを形にする上で重要な役割を果たします。ユーザーとその傾向を知ることは、デザインを目的に合ったものにするために不可欠です。しかし、ペルソナはデモグラフィック属性から得られる仮定だけではなく、ユーザーの意思決定に影響を与える、対照的な動機のスペクトルに基づいていることを押さえておくことが重要です。
ペルソナとマインドセットセグメンテーションを組み合わせて使うことができれば、あなたとチームは、自分たちの製品デザインが間違っていないことを確信できます。
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この記事は、2019年12月に公開されました。英文はMediumで閲覧できます。
● Design your products around mindsets, not just user personas
https://medium.com/swlh/design-your-products-around-mindsets-not-just-user-personas-68b1b6f35f85
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