伊藤聡美さんと矢口亨さんの件について〜いち羽生くんファンとして思うこと〜
大事なアイスショー(アイスストーリー)の前なのであまりセンシティブな話をSNSで広げたくない、という方もいらっしゃるかと思いますが。
いろいろと思うことがあり、Xではなくnoteでなら気持ちを吐き出していいかな、と思ったのでこちらにて記事を書かせていただくことにしました。
何があったのか、ということに関しては羽生くんや伊藤聡美さんというワードでこのnoteにアクセスしてこられた方はもう事の経緯をご存知でしょうのでその件に関しては割愛させていただきます。
ファンアートと著作権について
確か何年か前に羽生くん自身がはっきりと「ファンアートは嬉しい」と仰っていたように羽生くんサイドとしては基本的に「最低限のマナーさえ守ってもらえたら」というスタンスなのだろうと思います。
そして伊藤さんも恐らくファンアート等の存在はご存知(イラストや羽生くんの衣装から着想を得たアクセサリー等のグッズ)で、それでも最低限のマナーさえ守ってもらえたら、と黙認されてきたのだと思います。
しかし、今回はその「最低限のマナー」を逸脱してしまった。
それが一番の問題だったんでしょう。
伊藤さんも、羽生くんのことを思って折り鶴を折っています、というファンの方の思いまでは否定するつもりは決してなかったのだろうと思います。
けど、「折るのに邪魔になるからウォーターマークを消してほしい」の一言だけはどうしても許せなかったのでしょう。
海外と日本の「文化の違い」からくる行き違い
件の方の謝罪コメントを見るに、邪魔だから消してくれ、と強く言ったつもりはなく「これがなかったら綺麗に折れるのにな〜笑」と冗談のつもりで呟いたのが攻撃的に伝わってしまったようだと述べられていました。
イタリアのファンの方のようですし、英語も母国語ではないということで余計に言葉の行き違いという問題はあったのだろうな、と思います。ましてや140字と字数の限られているXでの海外の人とのやりとりは難しいものがあります。
が、それでも冗談のつもりでも言ってはいけないことはあります。
フランスではシャルリー・エブド事件といってイスラム教関係の風刺画を掲載したフランスの新聞社がイスラム過激派に襲撃されたというシャレにならない大事件に発展したこともあります。
また、著作権に関して海外と日本とでは考え方が違うのでとも当該の方は謝罪文の中で仰っていましたが、これもまた「文化の違いで知らなかった」では済まされないこともあります。
物凄く極端な例を(あえて)出しますが、たとえ大麻が合法の国で生まれ育った人であっても、日本に旅行に行く際、大麻を持っていったらその時点で大麻取締法違反で捕まります。
著作権のこととは全く違う話じゃないか、と突っ込まれそうですが要するに知らなかったじゃ済まされないこともある、その国の地に足を踏み入れる際にはその国で定められたルールを守らなければならない、ということです。
めちゃくちゃ個人的なことですが、当方富士山の見える某県に住んでおりまして、昨今の円安におけるインバウンド効果で富士山目当てに外国人観光客がたくさん訪れているのですが、一部の観光客のマナー違反に大変迷惑しておりまして…。汗
そういった個人的な事情もあって今回の「海外と日本の文化の違い」問題には余計に考えさせられるものがありました…。
日本には郷に入りては郷に従えという諺があるということをまず日本に来る前に知ってほしいです。(勿論、海外旅行に行く際の日本人のマナー(特に女性の肌の露出などを良しとしない国など)に関しても同じです。)
「羽生ファンを攻撃された!」という怒っている人達の心理
著作権絡みのトラブルから派生して、今度は伊藤さんのXとインスタでの結構感情的なコメント(そもそも彼女はSNSで厄介な人とトラブルになるのがこれが初めてではなく、何度も何度も不愉快な思いをされてきたのでもう我慢ならないといったところだったんでしょう…)を受けて、
「羽生ファンを悪者にされた!」「傷ついた!」
と怒り伊藤さんを攻撃し始める人達が現れ始めました。
(ただ、彼ら彼女らの言い分を見るに「マリニンや浅田真央の衣装の方に最近力を入れてる感じで気に入らなかった」的なことを書いている人もいたので、そういった潜在的な伊藤さんへの不満を募らせていたのが今回のことが引き金になって爆発した、という感じだったのかなと思いますね…)
これに関しても私は常々述べているのですが、「ファン」といっても一人一人は違う人間です。年齢も性別(スケートファンは圧倒的に女性が多いですが)も住んでいるところも家庭の事情も経済状況も。
そして今回伊藤さんが苦言を述べられたのは「マナーを守らない一部の人達」のことであって、著作権に関してもSNS上のやりとりに関してもアイスショーの鑑賞に関してもきちんとマナーを守っている、ましてや他のスケーターの誹謗中傷など絶対にしていない、自分は胸を張って誰それのファンだと言える、そう自分自身できちんと認識できている人は別に伊藤さんのコメントを見て傷つく必要はないんですよ。
仮に伊藤さんが「羽生くんのファンにはもううんざりだ」といったことを書かれたらそりゃショックですし、それを見て多くのファンが傷つく気持ちも分かります。
でも、スケーター個人の名前は出していないというところに、恐らく相当メンタル的にしんどい状態にあるであろう伊藤さんの精一杯の配慮(羽生くんに対してもちゃんとマナーを守っている大半の良心的なファンに対しても)を私は感じましたよ。
これまた個人的なことですが、実は私、最近流行りの「ファンダム」という名称があまり好きではありません。
ときどき、「(何かしらトラブルがあったとき)ファンダムを代表して謝ります」といった言葉や、それこそ今回のように「ファンダムを攻撃された!」といった言葉を聞きますが、ファンと一括りに言ってもいろんな人達がいるからです。
海外から見た日本人の一般的なイメージというと、勤勉で礼儀正しいというイメージがあるでしょうけど、勤勉な人ばかりだったら闇バイトなんかに手を出すバ◯はいませんし、礼儀正しい人ばかりだったらカスハラというものが社会問題になったりはしていません。
それと同じで◯◯のファン、といえど一人一人にその人の家庭があり背景があり人生があるんです。
今回の件での登場人物は伊藤さんと折り鶴を折っていた折り鶴のファンの方の二人だけ、という非常にシンプルな話です。
更に伊藤さんがSNSでこれまでも色々な迷惑行為に悩まされてきたという怒りを吐き出されていましたが、これもまた指し示しているのはその迷惑行為をしてきたごく限られた人達のことであり、決して「羽生くんファン全体が迷惑なんだ」とまでは仰ってはいません。
このnoteでもこれまで何度も口にしてきたことですが、「自他境界をしっかりしよう、他人と自分との区別がきちんとできるようになろう」というのが本当に大事だと思いますね。
(ちなみに、その後伊藤さんはXのプロフィールを更新されていて、自分が提起していたのは「一部のファン」のことであり「良識のあるファン」の方達に対しては今ありがとうございました、と述べられていました。
…これを受けて「一部のファン」を「羽生ファン」と曲解してますます暴れる人が出てこないことを祈ります…。)
矢口さんのコメントに対しての攻撃的な反応を見て
時系列順に書いていきますと、件の折り鶴のファンの方が謝罪された後、矢口さんが見かねてご自身の著作権に対する見解と伊藤さんへの配慮のコメントを出されました。
ところがこれに対しても、
「もう本人は謝ったんだから蒸し返すな、羽生くんの大事なアイスストーリーの直前なんだから」
「そもそも貴方も伊藤さんも羽生くんが苦しかったとき(特に去年の秋頃のあの件)何もしてくれなかったじゃないか、貴方も伊藤さんも羽生くんのことは金儲けの種にしか思ってないんじゃないか」
…とかなり無茶苦茶な中傷コメントが書き込まれておりました。
まず、話を蒸し返すなという件ですが、謝られたのだからもういいですよ、この話はもうこれで終わりにしましょうと言える立場にあるのは今回の件に関しては伊藤聡美さんただ一人です。
第三者がどうこう言える立場にありません。
では、矢口さんも無関係の第三者ではないかと突っ込まれそうですが矢口さんは別に謝罪したご本人をこれ以上追及したり断罪するようなことは述べていません。
また、伊藤さんと同じく矢口さんも特定のスケーターのファン全体を攻撃するようなことは一言も言ってはいません。
あくまで写真家という立場から、著作権について思うことと伊藤さんを気遣う思いをしたためられただけです。
…恐らくそれなりの数のバッシングのコメントが来るだろうと覚悟はしておられたと思うのに、スルーせずあえてコメントを出されたのは本当に勇気のある行動だったと思います。
(ちょっと話は外れますけど、Xの仕様上ポストへのリプライは制限をつけられるのに引用リポストは制限をつけられなかったら結局引用で誹謗中傷されてしまうので意味ないんじゃないかと思いますね…)
羽生くんの大事なショーの前にセンシティブな話は辞めてほしい、という気持ちは一定は理解できます。
しかしながら、未だに反省の色なく伊藤さんや矢口さんを誹謗中傷している人達を見ても「気持ちを切り替えてアイスショー楽しもう」という気持ちにはなかなかなれない、という人は実際のところ多いでしょうし、そういう人に「喋るな」というのもお門違いかと思います。
センシティブな話題に触れないようにする対策は一つだけ。
Xを見ないことです。
また、羽生くん本人が今回の件を今現在どこまで把握しているのかは分かりません。
大事な本番前に気持ちを乱したくはないでしょうし、ネットは遮断しているかもしれません。
それこそ伊藤さんや矢口さんも今は大事な時期だからと羽生くんには黙っているかもしれません。
それでも、日頃よくSNSをチェックしている彼のことだから何かあったようだ、ということは知ってしまっている可能性はあります。
しかし、少し厳しい言い方にはなってしまいますが、それでも例え本番前に何かしらのトラブルがあったとしても、メンタルも体調もできる限りしっかり整えてお客さんの前で精一杯のパフォーマンスをするのがプロの仕事だと思います。
私も羽生くんが今回のことで動揺していないだろうかと心配ではありますが、そこは家族でもなんでもない第三者でしかないファンがあまりズカズカと踏み込んではいけない部分ですし、本人を信じるしかないのかな、と思いますね。
羽生くんが苦しんでいたとき二人は何もしてくれなかった、という件に関してはそもそも二人とも羽生くんとはたくさんいるお仕事の相手の中の一人という関係でしかありません。
仕事仲間としてはいつも羽生くんのことを支えて素晴らしいお仕事をして下さっているな、とは思いますが羽生くん個人のプライベートなことまではそう簡単に踏み込むことはできないでしょう。
(スケート関係者の中では織田信成さんがプライベートなことやしそっとしといてあげてほしいな、と呟かれていましたが、羽生くんのことを小さい頃からずっと知っていて今もアイスショーで共演している距離の近い彼だからこそ発言できたことだと思います)
ただ、だからといって金儲けとしか思っていないんじゃないかというのはあまりにも暴言が過ぎないでしょうか?
恐らくフィギュアスケート観戦が趣味という方の大半は社会人、もしくは社会人経験者の方だと思いますが、たとえば取引先の大事なクライアントのことを貴方はただの商売道具としか思っていないのですか?
お仕事はお仕事、プライベートなことは干渉し合わない。
でも、大事なビジネスパートナー。
そういった関係性は働いたことのある方なら大体は想像がつくのではないでしょうか。
そして、あのとき何もしてくれなかったくせに!と怒りをぶつけるのはただの八つ当たりでしかありません。
伊藤さんも矢口さんもお顔とお名前を出して活動されている公人ではありますが、感情を持った一人の人間です。
去年の例の件のショックがあまりに大きく、立ち直れていない人がいるのは分かります。(私も未だに思い出す度になんともやりきれない気持ちになります… )
でも、自分達の抱えきれない怒りや悲しみをお二人にぶつけて発散しようとするのだけは控えていただきたいと思います。
まとめ
これまでも色々と同担のファンのやらかしに心を痛めてきた方達も今回の件には本当に大きなショックを受けておられると思います。
伊藤さんは羽生くん専属のデザイナーというわけではありません。伊藤さんの衣装を気に入っているというスケーターの方もたくさんおられると思います。
その伊藤さんがこういったことで精神的に疲労が重なり活動休止ということが続くと、羽生くんや羽生くんファンだけでなく、あらゆる方面に影響が出る可能性があります。
そういった点を考えても今回の騒動は(ファン界隈内で何かしらトラブルがあったようだと目にしてもなるべくスルーしてきた自分にとっても)とても大きな、そして辛い出来事でした…。
はっきり言ってしまうと本当に自他境界がユルユルになってしまっている人が多い。
羽生くんと自分との境界も、他のファンの人達と自分との境界も、また羽生くんと伊藤さんや矢口さんといったお仕事の相手との関係性に関しても仕事とプライベートの境界が分かってないんじゃないか?と矢口さんへの中傷コメントを見ていて思ってしまいました…。
そして誠に失礼ながら、そういった人達はごく普通の日常生活を送れているのだろうか、ちゃんと対人関係を築けているのだろうかと余計な心配をしてしまいます。
なんというか、まるでその人の世界に羽生くんしかいないかのような…。
もっと言うとその人自身も自分の世界にいなくて羽生くんしかいないんじゃないか、という気さえしてしまいます。
最近、ガールズバーで客の男性と店員の女性がトラブルに発展する事件が続いたり、はたまたホストクラブで使うお金稼ぎのために身売りをして持ち崩してしまう女性が問題になったりという話を聞くにつれてそういった推し活がある一定の(精神的経済的に困窮している)層の人達にとってのある意味でのセーフティネットになってしまっているのかな、と思うところがあります。
しかしながら、そういった恋愛商法的なものって行き過ぎると必ず何かしらのトラブルに発展してしまうものだと思うんですよ。
推しの店員とお酒でも飲みながらお喋りしてるその時間だけは楽しいかもしれない。
でも、厳しい言い方になってしまいますがお店から出たら現実に引き戻されてしまうものなんですよ。
気分転換程度の気持ちで通うのであればいいけど、それが相手への執着になってしまったらおしまいです。
フィギュアスケートのファンの方からしたら自分をホストクラブやガールズバー通いと一緒にするな、と怒られるかもしれませんが。。
でも、ホストクラブにしてもガールズバーにしてもソシャゲの課金にしてもYouTuberにしてもアイドルにしてもフィギュアスケーターにしても、対象が何であれ相手を好きだったはずの気持ちが執着になってしまったら行き着く先は皆同じ、と思っています。
また、今回、過激な反応をしているのが主に海外ファンということで、海外ファンの苛烈さに戸惑う日本人ファンの方も多く見られましたが、個人的にはまぁそうなるかもな、という感じで全く想定していなかったわけではありません。
私はハリー・ポッターが好きなのですが、トランスジェンダー関係で原作者のJKローリング氏が大炎上して自宅を晒され果てには殺害予告も出され、ハリーポッターの製作陣や一部の出演陣からも庇われるどころか「ハリポタとはもう関わらないで」と切り捨てられたという一連の騒動には本当に愕然としました。
(年の為に書いておくと彼女自身は別にトランスジェンダーの方を差別するのではなく、トイレやお風呂やスポーツなどの女性スペースは守られるべきと主張しているだけです)
更には彼女を擁護するコメントを出したハグリッド役の俳優さんの訃報の際、一部の人達が「ローリングを支持するトランス差別者が一人死んでめでたいことだ」などととんでもない中傷コメントを投稿する始末。
ハリー・ポッターという作品自体は好きなのですがどうしてこんなことになってしまったのだろう…と本当に疲れましたし、ハリポタ関連のグッズを見かけたりそれこそドラマ化の話を聞いてもあまり心動かされなくなってしまったな…と正直思います…。
大変話が逸れてしまいましたが、まぁ、それだけ日本以上に海外でのSNSにおける誹謗中傷やエコーチェンバー問題は今深刻なものになっているのかな、と思いますね…。
最近オーストラリアで16歳未満の子供のSNSを禁止する法案が通ったということからもいろんな事情が窺えます…。
まぁ、そういう日本だって決して他人事とは言えないですけどね。
とにかくまずは伊藤さんには心もお身体もゆっくり休めてほしいですし、矢口さんも殆ど八つ当たりに近いようなコメントを一部浴びせられ大変お疲れになったことでしょうしお大事にしてほしいです。
羽生くんがこのことについて知ったとき、どうするのかは分かりません。
これまで一部ファンが何かしでかしてきたときは、代わりに自分が関係各位に頭を下げてきたのかもしれません。
そうであれば今回も羽生くん本人が伊藤さん(と矢口さん)に謝罪して本人の口からは何も語られずに終わるのかもしれません。
しかし、私個人としてはファンの存在がこれだけ巨大なものになってしまってここまで沢山のトラブルが起きてしまっている以上、もう貴方一人が何もかも背負う必要はないんだよと言いたいです…。
というか、推しに執着し、推しの周辺の大事な人達を傷つけるようになってしまった時点でもうその人はファンではなく足を引っ張る存在でしかないのですから。
真っ直ぐに自分のことを応援してくれるファンと、自分の関係者を傷つけ足を引っ張る存在でしかない人達。
その区別はきちんと付けてほしい。
ましてや自分がそういった(精神的にぎりぎりの状態で生きている)人達のセーフティネットになってあげようなどとは思う必要はないんです。(まぁこんなことを羽生くん本人が考えているのかなんて分かりませんが、もしかしたら?とふと思ったことなので…)
この件を知った羽生くんがどう受け止めたのか、またファンに対して何らかのコメントを出すのか出さないのかは分かりませんが(これまでもそういったセンシティブな話題はあの週刊誌に対しての言葉だけだったので、今回も特にファンに向けて何か発信することはないような気がします…)、ファンの一人として静かに見守っていけたらと思います。
以上、色々と思ったことを吐き出させていただきました。