『IRE produced by 高橋サブミッション』見どころはここだ!!
こんばんは、(自称)日本一のコンバット柔術通のまごっとです!
さて、2021/01/10(月)に『IRE』が行われます。
IREとは「イマナリ ロール エクスタシー(Imanari Roll Ecstacy)」の略で、今成正和選手が行う格闘技の大会です。
今回は高橋サブミッション雄己選手がプロデューサーとなり、Abemaで放送されます。
さて、今回のIREはコンバット柔術ルールの試合がメインです。
度々私のnoteで取り上げているコンバット柔術ですが、改めてご説明したいと思います。
コンバット柔術とは?
以前のnoteでも書いたことがありますが、改めておさらいしましょう。
コンバット柔術とは、アメリカの伝説的柔術家Eddie Bravoが創始したルールです。
英語では「Combat JiuJitsu」、略して「CJJ」です。
特徴としては「グラウンド状態のみ、掌底による打撃攻撃が可能」なルールです。
すごく平たく言うと「少なくとも一人が横になっていたら、ビンタ攻撃あり」
ブラジリアン柔術と総合格闘技の真ん中のようなルールです。
今回の『IRE』で行われる「今成コンバットルール」は、ほぼEddie Bravoのコンバット柔術のルールと同じです。
「ほぼ」というのがなかなかポイントになるのですが、後述します。
(便宜上、Eddie Bravoが作ったのは本家コンバット柔術ルールと呼びます)
コンバット柔術のこれまでと現状
コンバット柔術はアメリカでちょいちょい大会が行われてきました。
今月もフェザー級の大会が行われて、Keith Krikorianという10th Planet Freaks系列の黒帯の超強いグラップラーが優勝しました。
過去のアメリカでの大会では日本人選手も参戦していて、所英男選手が2回、今成正和選手が1回参戦しました
さて、これは私の見解になりますが、コンバット柔術の現状を考えるに、コンバット柔術はまだ単なるグラップリングの域を出ていません。
なんだかんだアメリカの大会でも優勝するのほ寝技が強い選手です。KO勝ちもほとんどありません。
つまり、掌底攻撃が有効に使われていないのです。
そこに対して一つの新しいメタを感じさせたのが、過去に私がnoteで書きましたが、以前行われた『IRE』でのタツノスケ選手だと私は考えています。
すごい直接的な表現をすると「相手の選手を本気で掌底で殴り、意識を吹き飛ばす」という姿勢をかつてないほど私は感じました。
この掌底攻撃を有効的に使うところに、コンバット柔術としての進化の可能性があると思います。
また、タツノスケ選手は師匠の岩崎正寛さんと掌底打撃の研究を重ねていたようです。その研究もあり、メタの進化を私は感じ取ったのだと思います。(岩崎さんは「殴りすぎ」とタツノスケ選手に反省を伝えていましたが。笑)
そして!!!!!満を持して、今回の『IRE』では打撃メインの選手が出てくるのです。
現在発表されているカードのまごっと的見どころや見解を1試合ごとに書いていきましょう。
今成正和VS石黒翔也
(試合発表画像はすべて高橋サブミッション雄己選手のツイッターより拝借しております)
今回のメインカードになる、足関十段こと今成正和選手とギありでは日本最強の石黒選手。
これは今成選手と石黒選手、それぞれ勝つパターンが明確です。
今成選手であれば、足を絡んで足関節を極めるパターン。
逆に、今成選手が負けるとすればバックを取られてチョークを極められるか、足関節の取り合いで逆に取られるパターン。
しかし、後者の今成選手が足関節を逆に取られるパターンは今回は絶対に起こり得ないと考えて良いです。足関節を今成選手から取るとすれば世界トップレベルの足関節テクニックがなければ取れません。今まであったのは、Garry TononとTom Halpinから取られたパターンですが、両選手ともADCC本戦出場の世界トップのグラップラーなので、石黒選手の足関節ゲームがここまでのレベルに到達している可能性はまずないでしょう。前者のバックからのチョークは、Nicky Ryanや岩本健汰選手に今成選手はこのパターンで負けました。(岩本選手は詳しくは肩固めです)
つまり、現実性が高いのは石黒選手がパスガードをしてサイド、そしてバック、そしてチョークという流れだと私は考えています。これが石黒選手が勝つパターンです。
石黒選手がこの流れに持っていくために必要なのは、足関節を取られない防御力です。
私はこれまでグラップリングの試合でギあり専門の柔術家がノーギ専門のグラップラーにヒールフックを取られて負けるという流れを山ほど見てきました。石黒選手の足関節への防御力が不十分であればそうなるでしょう。
逆に、石黒選手が今成選手の足関節を防げれば、勝ちの流れが来るでしょう。
また、私が気にしている掌底攻撃ですが、この試合ではあまり出ないと私は考えています。
今成選手はたしかに総合格闘家でもありますが、寝技主体の選手です。また、石黒選手は柔術家なので、掌底攻撃は慣れていません。
この試合は純粋な寝技対決になると思います。
そして、今成コンバットルールは本家コンバット柔術ルールと「ほぼ」同じであると述べましたが、ここでちょっとしたポイントがあります。
今成コンバットルールでは両者スタンドで一定時間が経過すると、強制的に50/50もしくはサドルポジションとなるのですが、これが足関節にいける最高のポジションなのです。本家コンバット柔術のルールではバタフライガードなので、ここが違います。
実は、足関節への防御力が高い人にこのポジションに持っていくのが難しい!私自身も足関節が得意なのですが、うまい選手はまずその
50/50もしくはサドルまでいかせてくれません。
つまり、今成選手がわざとスタンドを維持すれば、そのポジションに自動的に入ることができるのです。
さらには、制限時間がすぎると、50/50もしくはサドルでの攻め・守りのPKのような延長戦に入ります。本家コンバット柔術ルールではバックもしくはスパイダーウェブのポジションになります。
まとめると、強制的にグラウンドに移行もしくは延長戦に入ると今成選手が超有利!そこに持ち込まずにいかに石黒選手が足関節への防御力を発揮しつつ、パスガードをできるか、ここがこの試合のポイントになるでしょう。
魚井フルスイングVS村田卓実
この試合は一番コンバット柔術として盛り上がると私は考えています。
魚井フルスイング選手はRIZINにも出ている総合格闘家で、打撃が得意な選手。その名の通りフルスイングな打撃が特徴的です。
村田卓実選手は総合格闘技の試合に以前出たこともありますが、今は今成選手のもとで練習する足関節グラップラー。前回の『IRE』ではタツノスケ選手相手にあわやKO負け寸前でした。
つまり、「本格的な意識を飛ばすような掌底攻撃VS足関節のテクニック」という構図になるのです。
しかし、これまた私がこれまでグラップリングの試合でよく見てきたのは「寝技にそこまで慣れていない総合格闘家がグラップリングであっさり負ける試合」。こうなる可能性もあります。
つまり、まず注目なのは、魚井フルスイング選手のグラップリングテクニック。RIZINでは寝技を披露することがあまりなかったので、どれほどの対応力があるのかがポイントです。
そこが一定レベル以上あれば、恐ろしい掌底攻撃が飛んできて試合を動かすでしょう。コンバット柔術史上最高の破壊力がある掌底攻撃が見れる可能性もあります。
あと、私が気にしているのが「レフェリーが試合を止める基準」です。プロの総合格闘技の試合ではないということで早めに止めるのか、プロの総合格闘技の試合と同じレベルで止めるのか。そこも影響してくるでしょう。
ジェイク・ムラタVS清水俊一
両選手とも総合格闘技の選手で、これまでほとんど見ることなかった「両者総合格闘家がコンバット柔術で戦う」という試合。今まではほぼ全てがどちらかは寝技専門のグラップラーでした。
どちらも寝技が得意な選手ではありますが、「グラップラーが掌底攻撃をしたらどうなるの?」という文脈から「総合格闘家が打撃は掌底攻撃だけになったらどうなるの?」という別文脈での試合となるでしょう。
結構バチバチな掌底の出し合いの試合になる可能性があります。迫力がある試合になるでしょう。
杉内由紀VS石黒遥希
女性選手によるコンバット柔術対決。実は本家コンバット柔術でも女性の大会は行われていました。
客観的・医学的事実として、基本的に女性は男性より力が弱く、パンチ力(掌底力)も男性よりも弱いです。そのため、掌底でKOしたり、試合を動かすということは頻度が低くなるため、純粋な寝技対決になると考えられます。
どちらも足関節というより腕やチョークを狙うベーシックな柔術スタイルであるため、純粋なグラップリング対決になるのではと思います。
しかし、唯一KOがあるとすれば、マウントからの掌底連打です。男性でも同様ですが、女性といえどもマウントから掌底が連打されればレフェリーは止めざるを得ないでしょう。
実はこの両選手、今年ギありの大会で対戦しています。そのときは石黒選手が勝っていましたが、今回はノーギ・ヒール外掛けありあり・掌底もありのルールでどちらが新しい能力を魅せるかが注目です。
倉本一真VS寒河江寿泰
倉本選手はレスリングエリートのRIZINにも出ている総合格闘家、寒河江選手は足関職人グラップラーという対決。
スタンド勝負をやれば倉本選手のレスリング能力で簡単にテイクダウンされるでしょう。
しかし!!!!!そこからは寒河江選手は「いらっしゃいませ」状態。下から足関節取るのが非常に得意です。
その足関節を防御できたらどうなるか?掌底の登場です。倉本選手は総合格闘家。しかもレスリング出身。パウンドは得意でしょう。寒河江選手はかつてない掌底でかつてない脳の揺れを感じることになるかもしれません。
そこで下手に嫌がって寒河江選手が立てばどうなるのか?ジャーマン・バスター、レスリング仕込みの鋭い投げの連続です。倉本選手は特にジャーマンスープレックスが得意で、永久に投げることができます。
寒河江選手はこれまでコンバット柔術の試合を数試合やっているとはいえ、「かつてない打撃の恐怖」を感じることになると思います。
それと同時に、倉本選手も「かつてない足関節の恐怖」を感じるでしょう。
これも魚井選手VS村田選手と同じような試合の構図になるとは思います。
寒河江選手がさくっと足を取るか、足を取れずに殴られ投げられ脳が揺れるか、そんな試合になるのではないかと思います。
まとめ
私が考えるに、少し前までノーギグラップリングはギあり柔術の延長線でした。最近ノーギグラップリングは専門選手が生まれて、ギあり柔術家や総合格闘家はノーギグラップリングの土俵ではノーギグラップリング専門家に敵わなくなりました。
歴史を振り返ると、このような専門性の分化は繰り返されています。
現在、コンバット柔術はノーギグラップリングの延長線でしかありません。しかし、今まさに「コンバット柔術の専門性の分化」が行われつつある、と思います。
ノーギグラップリング専門家同士で行われるコンバット柔術ではなく、魚井選手や倉本選手という本格的な総合格闘家が参戦することによりコンバット柔術の分化と進化が「促進」されるでしょう。
2022年1月10日(月)19:00~、ぜひ格闘技の新しい局面が拓かれるのを目撃してみてはいかがでしょうか。