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AIは自転車のようなもの。乗りこなせば世界が広がるけど乗り方を間違えると転びます。

松田雄馬先生が教える「AIの本当の姿」

「AI博士と経営の大先生の意外な共通点」
面白いエピソードがあります。経営学の世界的権威である野中郁次郎先生(「知識創造理論」で有名)が、松田先生のAI解説を聞いて「ようやく腑に落ちる説明が聞けた」と感動したそうです。
野中先生は「難しい技術用語より、人間らしい視点が光っている」と評したとか。プロ同士のこのやりとりから、松田先生のAI論の特徴が見えてきます。

AIは本当に人間のように考えられる?

スマホの顔認証やゲームのキャラクターが自分で動く仕組みなど、私たちの身の回りにはAI技術がいっぱいです。でも「AIって本当に人間みたいに考えられるの?」「将来ロボットに仕事を奪われる?」そんな疑問に答えてくれるのが、京都大学出身のAI研究者・松田雄馬先生のお話です。今日は難しい言葉を使わずに、松田先生の考え方を一緒に学んでみましょう!

AIは本当に人間のように考えられる?

「AIは人間の脳をコピーしたもの」と思っていませんか? 実はこれは大きな誤解です。松田先生は「AIは優秀な計算機」と説明します。例えば将棋AIは何百万もの棋譜を覚えて最善手を選びますが、勝った喜びや負けた悔しさは感じません。これは冷蔵庫が食べ物を冷やしても「冷やそう」と思っていないのと同じです。

面白い例えで言うと、AIは「ものすごく勉強が得意な友達」のような存在。数学の問題を解かせたら瞬時に正解を出しますが、「なぜこの公式を使うのか」は説明できません。松田先生は「AIができることはパターン認識(形や規則性を見つけること)だけ」と指摘しています。

ロボットが椅子に座れない理由

「AI搭載ロボットに『椅子に座って』と命令したら?」 実はこれが意外と難しい課題です。松田先生の著書『人工知能はなぜ椅子に座れないのか』では、人間が当たり前にできる動作の複雑さを解説しています。

私たちが椅子に座れるのは:

  1. 赤ちゃんの頃からの練習の積み重ね

  2. 体のバランスの感覚

  3. 椅子が壊れないか無意識に判断する力

これらをすべてプログラミングするのは大変!AIは姿勢制御は得意でも、急に壊れそうな椅子を見たら「これは危ないかも」と自分で判断できません。つまり、AIには「経験から学ぶ本当の意味での知能」がまだないのです。

AIと人間のいい関係の作り方

「AIが進化しすぎて人間を支配する?」 そんなSFのような心配について、松田先生は「現在のAIは冷蔵庫と同じ『道具』」と説明します。でも正しい使い方を学ぶ必要があります。

<AIとの付き合い方のポイント>

  • 良いところ:大量のデータ処理、単純作業の繰り返し

  • 苦手なこと:創造的な発想、感情の理解

  • 注意点:AIの判断を盲信しない

例えばテストの採点をAIに任せる場合:
○ マルバツ問題の採点 → AIが得意
△ 作文の評価 → ニュアンスを理解できない可能性
× 人生のアドバイス → 絶対に任せてはいけない

松田先生は「AIは鉛筆のような道具。使い方を間違えると危ないけど、正しく使えば可能性が広がる」と教えてくれます。

未来のAI社会を生きるヒント

「AI時代に必要な力って?」 松田先生が特に重視するのが「自分で考える力」です。AIが答えを教えてくれる時代だからこそ、大切なことが3つあります:

  1. 疑問を持つ力:AIの答えが本当に正しい?

  2. 創造する力:AIにできない新しい発想

  3. 人間関係を築く力:相手の気持ちを理解する

学校の勉強でも変化が起きています:

  • 従来:知識を暗記 → AIに任せられる

  • 今後:知識の使い方 → 人間が考える

例えば歴史のテスト:
×「応仁の乱が起きた年を答えよ」→ AIが即答
○「SNSがあったら応仁の乱はどう報道される?」→ 人間の思考が必要

松田雄馬先生からのメッセージ

野中先生が共感したように、松田先生の考え方は「技術よりも人間」が基本。AI時代を生きる私たちへのメッセージはこう締めくくられています:

「AIは自転車のようなもの。乗りこなせば世界が広がるけど、乗り方を間違えると転ぶ。大切なのは、どこに行きたいか自分で決めることです」

このエピソードから学べるのは、AIを理解するカギが「人間らしさ」にあるということ。難しい数式より、私たちの日常にあるヒントが大切なんですね!

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