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Privacy by Design Conference 2024での補足説明(2)

(1)の続きです。

第ニの要点は、日本には専門職向けのフレームワークは数多く存在していますが、基礎~中級(Digital Skills Toolkitでの定義)の全世代向け・包括的なフレームワークが日本にはありませんよね、という問題提起です。
総務省もそれに近い事はされてはいますがテイストとして子供を持つご家庭向けの印象ですし、では具体的にどういう項目がどの程度できれば達成か、の視点が弱い気もします。
デジタルスキルについての包括的・全体的フレームワークがないというのは、省庁の管轄を横断してしまい主管がどこになるのかわからない、というのもあるのでしょうけれど。

(このあたりは、SDGsでも具体的なターゲットとして挙げられているのですが、何故か日本でスルーされている気がします。)

では、どうすればいいのでしょうか?

解決案の一つとして、「他所から引っ張ってくればいい」を私は提案しています。
デジタルスキルは世界共通の必須事項です。基準(参照元)を他国と同じにすれば、人材の育成・評価のボーダレス化が可能となるでしょう。また、ISOはモノ(有形)→サービス(無形)→人材と対象を広げていますからこの動きに沿うことにもなります。

では、何が一番妥当かと問われれば、私はEU委員会の『The Digital Competence Framework for Citizens (DigComp) 』だと考えています。

ざっくりとした概要は、

にありますので、ご一読ください。
Xにも同じような内容を投稿しています。

このDigCompは、UNESCOをはじめ、OECDや世界銀行などから出されたデジタルスキルに関しての報告書に頻繁に登場します。いわばデジタルスキルの世界共通認識です。
視界に入れていないのは日本だけかもしれない。
日本のデジタルスキル教育の各種フレームワーク(学習指導要領など)をこの共通認識に紐づけていけばかなり整うでしょう。

私は、ICDLのフレームワークを日本に広める活動をしています。
なぜICDLなのか?
それは、共通認識であるDigCompと非常に親和性のある教育プログラムを頒布しているのが理由です。実は、DigCompもICDLも出所(発想元)は同じ団体、CEPISなのです。日本でいう日本IT団体連盟 のようなものです。
分かりやすく言うと、DigCompはEUに養子入り、ICDLは分家としてそれぞれの道を進んでいる、といった感じです。

世界共通認識であるDigCompのフレームワークに沿ったICDLのデジタルスキル認証プログラムを使えば、世界中どこにいても同じ基準でその人のデジタルスキル評価が可能となるのはとても便利なことだと思うのです。
少なくとも、「今度入社してきた人はExcelが得意だといっていたけど、期待していたほどでもなかった」「セキュリティについて一通り学んだと聞いたけど、わかっていなかった」なんてすれ違いを防ぐことができます。

(3)に続きます。