各月からイメージするアルバム12枚を並べて最高の1年を作る ~完成(?)編~
私はとあることを思いつきました。それは、4月から始まり、各月のイメージに合うアルバムを並べて、好きなアルバムが並んだ最高の1年を作りたい、と。暇人の単なる暇つぶしとしか思えないような思いつきです。しかし、私はこの純粋なる野望に従ってアルバムの海へと漕ぎ出し、最高の1年間を考える旅に出たのでした…。
はじめに
皆さん、こんにちは。てんていと申します。
皆さん、音楽聴いてますか? 私はnoteの記事執筆の間に洋楽のアルバムを聴いてはいますが、集中して音楽を聴くということはできておりません。大変遺憾に思います、はい。
ところで、私は去年から始まって、洋楽のアルバムをよく聴いています。何なら、この文章を書きながらアルバムを聴いています。アルバムを聴く生活の中で、ふと思いついたことがあります。
4月から始まり、翌年の3月に終わる1年間。
その1年間の各月のイメージにピッタリのアルバムを並べれば、好きなアルバムが並んだ最高の1年間が完成するのではないか!?
ということです。
…暇にも程がある、ですって? おっしゃる通りです。
それでも、私はこの欲望に耐え切れず、4月のアルバムから3月のアルバムまでの12枚を選ぶことにしました。
本noteでは、私が各月のアルバムを選び、最高の1年間を作りだすまでの過程とその結果をお見せします。
それでは早速、どうぞ~。
3月 ビートルズ最後の録音作品『Abbey Road』
各月からイメージするアルバムを並べるとは言ったものの、何から始めればよいか全く分かりません。
まず、1アーティストにつき1枚まで、とします。公平性を担保する意味でも、このルールに従うことにします。
何をすればよいか分からないので、とりあえずApple Musicでビートルズのアルバムを見ていくことにしました。私は音楽を聴く際に基本的にはApple Musicを使うのです。
アルファベット順に見ていったので、最初は『A Hard Day's Night』。
これは何月に似合うのでしょうか。
どうも選ぶのが難しい…。作業を始めて早速壁にぶつかりました。考えていても埒が明かないので、次のアルバムを見ていくことにします。
次のアルバムは…。
『Abbey Road』が目に付くと、ある考えが頭をよぎりました。
『Abbey Road』と言えば、ビートルズが解散直前にリリースした屈指の名盤です。
イメージするのは「終わり」。言わばビートルズとの別れです。
そして連想するのは、別れの季節とも呼ばれる3月です。
また、B面1曲目の「Here Comes the Sun」はジョージ・ハリスンがビートルズ解散前に残した最高傑作の一つ。曲調やタイトルも相まって、やがてやって来る春を感じさせます。
一年間の締めがビートルズというのも洒落ています。3月のアルバムは、もはやこれで決まりでしょう。
6月 ザ・フーのロックオペラ第2弾『Quadrophenia』
他の月について考えます。
分かりやすい月は6月。梅雨の季節ですから、雨をイメージします。
雨が似合うアルバムといえば、私は以前「雨の日に聴きたいアルバム」の記事を書いたのでした。こちらも合わせてご覧ください。
さて、雨のアルバムはすぐに思いつきました。
ザ・フーの『四重人格』です。
ところどころに雨の効果音が入っていたり、ジャケットも相まって世界観が何となく暗かったり。総合して曇り空や雨に似合います。
ちなみに、ラストの「Love, Reign O'er Me」について。私はこのタイトルを「愛よ、俺に降り注げ」と訳していました。「Reign = Rain」という解釈です。しかし邦題は『愛の支配』ですので、これは完全に誤訳です。ですが、この誤訳の方もなかなかにカッコいいと思います。
話がそれましたが、6月のアルバムは決まりました。
8月 永遠の夏、ザ・ビーチ・ボーイズ『All Summer Long』
作業に行き詰ったので、とりあえずアルバムを流し見していきます。すると、ザ・ビーチ・ボーイズの『All Summer Long』が目に留まります。
その瞬間、
「これがあった…!」
と手を打ちます。
ザ・ビーチ・ボーイズは、「海!サーフィン!女の子!」という音楽性もあって(『Pet Sounds』以前の話ですが)、夏にピッタリです。
でもどのアルバムにしましょう。幾つか候補は挙げられますが、ここは個人的に好きな『All Summer Long』にしてみます。
では何月にしましょうか。夏真っ盛りのところに置きたいので、7月か8月です。ここは、より夏を感じられる8月にします。うん、いい感じ。
5月 大胆不敵なオアシス1st『Definitely Maybe』
5月。4月の次だなあ、などと考えます。
5月といえば新緑をイメージします。
では、緑色を想像するのはどんなアルバムでしょう。
色々アルバムを見てみると、ジョージ・ハリスンの『All Things Must Pass』が目に付きます。
また、ビートルズ繋がりでジョン・レノンの『ジョンの魂』もアリです。
しかし、5月にはやや暗いかな。候補には入れておきます。でも、1アーティストにつき1枚の中で、ビートルズメンバーのソロアルバムを選んでもよいのでしょうか。まあ、大丈夫でしょう。
他にも緑色のアルバムで思いつくのは、イエスの『Close to the Edge(邦題:危機)』、ビートルズの『Beatles For Sale』や『Rubber Soul』も思いつきますが、ビートルズはすでに選出済み。
その中で、目に付けたのはオアシスの『Definitely Maybe』。
「これがあった…」
4月や5月は「始まり」のイメージがあるので、これは良いのでは!?
1曲目「Rock 'N' Roll Star」は若者の無鉄砲さや、自分を「ロックンロール・スター」だと歌うふてぶてしさを内包しています。何より、オアシスの1stアルバムです。
5月に入れてみます。まあまあいい感じ。このまま候補に入れておいて、アルバムを見ていくことにします。
12月 ジョンとヨーコの愛の名盤『Double Fantasy』
次々にアルバムを見ていきます。すると、一つのアルバムが目に留まります。
ジョン・レノン&オノ・ヨーコのアルバム『Double Fantasy』です。
ジョンが銃撃されて亡くなったのは、このアルバムが出て数か月後の、1980年12月のことです。
このアルバムは、ラストの「Hard Times Are Over」で大団円を迎えます。
まるで亡くなったジョンに「苦しい時はもう終わったよ」と告げるようで、アルバムを通して聴くと目頭が熱くなります。
また、1曲目の「(Just Like) Starting Over」は、私の場合は何となくクリスマスを連想します。12月のアルバムとして悪くないのではないでしょうか。
7月 ロックの栄枯盛衰を歌うイーグルス『Hotel California』
どんどんアルバムを見ていきます。
すると、このアルバムを目にします。
イーグルスの『Hotel California』。ロックをメタ的な視点で皮肉りつつも、最高級のロックを奏でる「金字塔」的名盤です。
表題曲の「Hotel California」は何となく7月が似合う気がします。湿度の高い暑い日の夜にピッタリです。
ラストの「The Last Resort」も何となくリゾート感があって(タイトルにあるから笑)、7月に似合う気がします。
11月 サイモン&ガーファンクル、二人の声が極上のハーモニーを奏でる『Bridge Over Troubled Water』
ここでローリング・ストーン誌のオールタイム・ベストアルバム500を見てみることにしました。なお、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
さて、ソウルからも選出してみます。マーヴィン・ゲイ『What’s Going On』は雨が似合います。ジャケットのイメージもありますけれど。一旦保留にします。
順位を遡って見ていくと、サイモン&ガーファンクルの『Bridge Over Troubled Water』がありました。
これは秋が似合う。そう直感的に感じました。それも11月です。
このアルバムは、今にも壊れてしまいそうなガラスのように美しいメロディやコーラスを楽しめる、彼らのラストアルバムにして最高傑作になります。表題曲(邦題:明日に架ける橋)はビートルズ「Let It Be」やエルトン・ジョン「Your Song」に並ぶ名曲として誉れ高いです。
アルバムの中でも⑥「The Boxer」や⑧「The Only Living Boy In New York」は、特に秋と冬の間の少し寒くなってきた感じを想像させます。
11月のアルバムはサイモン&ガーファンクルの『Bridge Over Troubled Water』で決まりです。
1月 温かみを帯びたザ・ビーチ・ボーイズの傑作『Sunflower』
ここで、これまでのアルバムを振り返ってみます。
すると、8月のザ・ビーチ・ボーイズ『All Summer Long』に違和感を覚えます。このアルバムはたったの25分です。少し短すぎるような気がします。
もっと長いもので、8月にピッタリなものを探すことにしました。
思いついたのは、まさかのニルヴァーナ『Nevermind』です。
どうでしょう。涼し気なジャケットにビビっと来ませんか? それにハードなサウンドにはやはり夏が似合います。
8月のアルバムを『Nevermind』に変更することにしました。
さて、そうなるとザ・ビーチ・ボーイズの空席が生まれます。
ここで、秋をイメージする『Pet Sounds』と、冬をイメージする『Sunflower』が候補に挙がりました。個人的には『Pet Sounds』より『Sunflower』の方が好きですので、『Sunflower』にします。
空いているのは1月か2月。『Sunflower』は太陽の温かみを感じますし、お正月のおめでたいイメージと相まって1月が良いのでは? 2月は寒すぎますし、暗い印象があります。
特に、3曲目の「Add Some Music to Your Day」は、メロディもその歌詞も大好きな、音楽の素晴らしさを改めて感じさせてくれる1曲です。まさに太陽の温かみを感じさせてくれます。
1月には『Sunflower』が入りました。
2月 凍てついたUKロックの金字塔、レディオヘッド『OK Computer』
では、寒い・暗い2月と言えば、どのようなアルバムが当てはまるでしょう。2月の暗い印象にはポスト・パンクやオルタナティブ・ロックが合う気がします。思いついたのは、レディオヘッドの『OK Computer』です。
乾いた空気感はまさに冬にぴったりではないでしょうか。ハイライトは2曲目の「Paranoid Android」。途中のギターソロはこの動画でも取り上げられていました。合わせてどうぞ。
9月 ジャンルを超越した「雨」の名盤、プリンス『Purple Rain』
9月と言えば、暑さが残りつつも、台風の雨もあります。
思い付いたアルバムは、プリンス&ザ・レヴォリューションの『Purple Rain』です。
うだるような夏の蒸し暑さと降りしきる雨を上手く表現していると思います。表題曲の「Purple Rain」、思いっきり雨がテーマですし。
7曲目の「I Would Die 4 U」はたしか、人生で初めて聴いたプリンスの曲です。「For」を「4」と書き、「You」を「U」と書く書き方に初めて出会い、「こんな書き方があるんだ…!」と感銘を受けた覚えがあります。
いや、初めて聴いた曲は「Purple Rain」だったかな? 「I Would Die 4 U」は2番目だったかも。記憶が定かではないですが、プリンスとの出会いを構成している曲の一つです。
10月 静と動が心を揺さぶるニール・ヤング『Harvest』
10月と言えば、秋真っ盛りです。何となくイメージする色は茶色。私の場合、パッと思いつくのはニール・ヤングの『Harvest』でした。
表題曲でもある「Harvest」。その意味は「収穫」。「実りの秋」とも言いますし、秋にちょうど良さそうです。
4曲目は「Heart of Gold」。彼の代表曲でもあります。私にとってはニール・ヤングの入り口となった曲です。ニール・ヤングで初めて聴いた曲かも知れません。
10月には『Harvest』を置きます。
4月 生まれ変わったフリートウッド・マックの記念碑的一枚『Fleetwood Mac』
さあ、残りは4月だけ。
…これは難しい。なぜなら、4月と言えば「始まり」であり「スタート」。「終わり」を象徴する3月は『Abbey Road』がしっくりきますが、4月に納得のアルバムを置くのは至難の業であるように思います。言わば、これら12枚の顔に当たるアルバムです。さて、どうしようか。
明るいか暗いかで言うと、明るい方が似合いそうです。そうなるとポップ系が合うのかな?
好きなアルバムが思い付きました。それはエルトン・ジョンの『Goodbye Yellow Brick Road』。
彼の最高傑作の一つです。
でも、タイトルに「Goodbye」とあるし、これは最初の月には相応しくない気がします。やめておこう。
他に好きなアルバムを考えてみると、フリートウッド・マックの『Fleetwood Mac』が頭に浮かびました。
これは良さそうです。
1曲目は「Monday Morning」。やさしくて、ポップで、4月の明朗快活な感じが良く似合います。全体を通しても、非常にちょうど良くポップです。何より、私のお気に入りのアルバムですので4月に置きたい!
4月はこれにて決定です。
結果
結果として、私が選ぶ「各月にイメージするアルバム12枚」はこのようになりました。
ジャンルに偏りがありますね。そう、ロックやポップスしかありません! 私が聴く洋楽のジャンルは誰の目にも明らかです。
そして、私が「定盤」を聴くことが多いせいか、まるで歴代最高の名盤を並べたかのようなリストになってしまいました。
あまり面白みのないリストかも知れませんが、これが正真正銘、私の思う12枚です。紆余曲折ありましたが、これにて最高の1年間が完成しました。
おわりに
以上が、私が各月からイメージするアルバムを12枚選び、最高の1年間を作りだす過程とその結果になります。
私の場合はありきたりなアルバムが並ぶリストだったと思いますが、是非皆さんがお作りになった12枚のリストも拝見したいところです。「私を構成する42枚」との相関もある程度ありそうなところが面白いです。
皆さんも自分だけの12枚を選んでみてはいかがでしょうか。
ここまで読んでいただきありがとうございました。これにてお別れです。
あなたに良き音楽との出会いがあらんことを。